叔父さんの家へ
多美子が叔父さんの家にようやくたどり着きます。多美子のこれからの運命を楽しみにしてください。
体力の尽きかけた多美子は、普通なら1時間ぐらいの道のりを
土砂降りの雨の中、ゆっくりと休みながら、
カタツムリのように歩いて行った。
多美子はそれほど衰弱して、体力が残っていなかった。
土砂降りの雨の中、雨で霞む視界の先に、やっとスカイコーポを見つけると、
安堵のあまり、その場所にへたり込んでしまった。
左腕の時計を見ると、11時。しばらく休んで立ち上がると101号室へ向かう。
アパートは二階建だった。建物の脇に郵便受けがあり、
101号室を見ると城田とある。間違いない。
多美子は101号室の前に立つと、部屋のインターフォンを押した。返事がない。
伯父さんが普通に働いているなら、この時間に家にいるわけがない。
多美子はもう戻るところがない。
多美子は叔父さんが帰ってくるのを待つことにした。
多美子は101号室のドアを背にして、体育すわりでしゃがみこんだ。
空を見上げると土砂降りの雨が降っている。もう動けそうになかった。
いつの間にか多美子は眠ってしまっていた。誰かが側に立って、
多美子をゆすり起こす。多美子は天使か悪魔が迎えに来たのかと思った。
ついに自分は死んでしまったんだと思った。
ぼんやりと目を開けて、自分をゆすり起こしている人物を見上げた。
ひょろりとした、痩せた体型で、メガネをかけている。
背はそれほど高くはない。曇ったメガネから、優しそうな目が覗いている。
その人物が多美子を揺すっている。
「君は誰だ?こんなところで何をしている?」
読んでいただきありがとうございます。ご意見ご感想を聞かせてください。