始まり
あぁ、凛ちゃん……
これは私のための物語ね。
私の居場所は、私が今まで出会ってきた愛の中にある。
いつだって。
ずるいよ、凛ちゃん
こんなことされたら……
私、凛ちゃんのことどんどん好きになっていってる。
「これでこそ五月先生です!」
笹山さんは声を上げた。
「これでいきましょう!」
先週とは違い、すぐに話し出した。
「ありがとうございます」
凛ちゃんの表情は変わらず固いままだ。
「さて、実はですね、あえてお話していなかったのですが新作会議が明日なんですよ。急ではありますが今日この場でもう少し話を詰めていこうかと……」
「小川さんは、」
「はい!」
「小川さんはどう思いましたか?」
「……えっと……すごく、好きです……。ありがとうございます」
想いが溢れ、涙が出そうになるのを堪える。
笹山さんがいなかったら泣いていたかも。
凛ちゃんは口から大きく息を吐き出した。
「よかった〜〜〜!!」
両手で鼻と口を覆い、勢いよくソファーにもたれかかった。
なんだか照れる。
凛ちゃんはすぐに勢いよく起き上がり、笹山さんに話しかけた。
「で!なんでしたっけ?会議?」
そのキラキラした笑顔がずるい。
「えっ、あ、はぁ……。ではここからは担当の小川に仕切ってもらおうかな」
「はい!えっと、ではまずは章と節の確認から……」
この本の最初の読者になれるなんて。
これから凛ちゃんと私の本作りが始まるのね。
私、もっともっと凛ちゃんに近づいていいのかな。
元同級生でいい。
作家と編集者でいいから。
「では一ヶ月以内に初稿をお送り下さい。打ち合わせに関してはまた日程調整しましょう。まぁ何かありましたら遠慮なく小川にご連絡くだされば」
打ち合わせは三時間ほどで終わった。
「はい。ありがとうございます」
「本日はご足労いただき、ありがとうございました。」
笹山さんに合わせて私もお辞儀をした。
そっか……
しばらく凛ちゃんに会えないのか……。
「では失礼します」
凛ちゃんが去っていったのを確認して、笹山さんはこぶしの親指を突き上げて言った。
「な?先週俺が来て正解だっただろ」
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いつもありがとうございます。
一章再会編はこれでおしまいです。
長らくお付き合いいただきありがとうございました。
次回からは二章恋愛編が始まります。
しかしその前に一章の改稿期間に入ろうと思います。
近況。
改稿途中ですが、文章力の無さに悲しくなり、
現在は文章の修行中です。
しかし、資格試験勉強の追い込みのため、
しばらく更新は難しそうです。
来年2月くらいまで待って下さい!




