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第93話 教えてポチ先生

昨日はすいませんでした。

ちょっと考えてた設定が使えなくなったので別の案を考えていました。

 ロックさんとの交渉を終え、事務室から出る。

 部屋の前には不思議そうな顔をしてミケちゃんとポチ君の二人が待っていたので、部屋に戻りながら交渉の結果を話す。

 部屋へと戻り、それぞれベッドに腰掛けた。


「にゃー? それで何が問題だったのかにゃ?」

 ミケちゃんは俺の顔が芳しくないのはわかるようだが、交渉の話自体にはあまり興味がないらしい。


「あー……、そういうことですかー」

 ポチ君はわかったようだ。


「本当ならもっと高く売れて、安く情報を買えたかもしれないのに俺がポカしちゃったんだよ」


「そうなのかにゃ?」


「うん。リーダー、交渉では先に頭を下げちゃダメなんですよ。それは相手に白紙の委任状を渡すようなものですから。

 そこから考えたらロックさんの条件は少し値切ってくれたし、手心を加えてくれたんだと思いますよ」


「そうなのか……」


「それと一番最初に失敗したのが何かわかりますか?」


「え、何だろう? 情報を聞こうとしたこと、とか?」


「それもあるんですけど、最初のスロットの交渉をまとめずに次の交渉に入ってしまったことです」


「そこですか」


「はい、交渉は一つずつ決めたほうが纏まりやすいです。今回、スロットの話は向こうから持ってきてくれと言われてたんですから、こっちが有利だったんです。

 逆に情報の件は教えてくれる向こうが有利で、引き分けの話だったんですが」


「俺が交渉を纏めずに次の話に入り、さらに頭を下げたことで二つとも向こうが有利になったのか!」

 もやもやとしていた頭が、だんだんとすっきりとしてきた。


「そうです。それでロックさんもちょっと悪いと思って、少し値下げしてくれたんだと思います」


「そうかぁ」


「しょうがないにゃあ。次は頑張るにゃ」


「そうですよ。次は大丈夫ですよ」


「そうだね。二人ともゴメン。次は頑張るよ」


 遺跡の攻略のことで焦っていたのかもしれない。

 こっちが焦っている事なんか向こうにはまったく関係無い話なんだから、常に平常心でいないとな。

 二人に頼られるようにもっとしっかりしないと。

 それから代金の8000シリングは3人で2600ずつ分けて、余りは夕飯の食事代にした。

 現在の所持金は74025シリング、ずいぶんと余裕がある。

 これで遺跡に向けて装備を整えるか。

 ギルドに借りてたリアカーを返し、いつものうさぎのおばさんの屋台で食事を摂って、その日を終える。

 眠る前に明日はしっかりしようと心に誓い、瞼を閉じた。





 窓から朝日が入ってくる。

 遠くから鳥のチィー、チィーという鳴き声。

 鼻を通り肺へと、朝の新鮮な空気が涼しさを持って入る。

 その刺激に徐々に眠気が引いていった。

 んー!……と一つ伸びをして眠気を振り払う。

 朝の身支度を簡単に終え、今日の支度へと。

 今日は……ロックさんの情報待ちだから遺跡には行かないかな。

 バックパックから使わなそうなデュプリケイターとかロープとか出しておくか。

 貴重品は金庫へ。

 そうこうしてるところへ二人が起きてきた。


「うにゃぁ……」

 寝ぼけ眼をこすりながら洗面台へ。

 ポチ君はベッドの上で四つんばいに伸びをしている。

 顔を洗った二人の頭にブラッシングをして、肩も揉んでおく。


「にゃー……眠気が覚めてきたにゃぁー」

「ブラシもっとしてー」


「はい、はい」

 目覚めた二人と共に朝食を摂り、宿で朝の支度を終える。


「今日はどうするにゃー?」


「まずロックさんに話を聞いてからだね」


「じゃあ聞いてくるねー」

 ポチ君が部屋を出て、数分後戻ってくる。


「二日待ってくれってー。その間に例のガイドさんに連絡を取るって言ってたよ」


「じゃあ、今日はオフにしようか」


「オフって何にゃ?」


「休みの日って意味だよ。これまでずっと働き詰めだったし」


「ん? それぐらい普通じゃないかにゃ?」

 ミケちゃんが首を傾げるが。


「川で小物獲りなら普通だけど、大きな獲物を獲るハンターは数日に一回休むって聞いたことあるよー」

 ポチ君が補足する。


「確かに! あちきらのようなC級ハンターなら休みは必要かにゃ? なら休むにゃ」


「俺はバザーに銃を見に行くけど。二人はどうする?」


「あ、はーい。あちきも行くにゃ」

「僕もー」

 勢いよく手を挙げる二人と笑いあいながら、外へ行く支度をする。

 受付でロックさんに挨拶してバザーへ。



 南門近くのバザーは朝から人が行き交って、にぎやかだ。

 人並みではぐれない様に手をつないで、ガンショップへと向かう。

 前に弾を売った事のある店へと入ると、カウンターで銃を磨いていた店主が声を掛けてきた。


「いらっしゃい。ん? たしか前にも来たことあるよな」

 スキンヘッドで口の周りにヒゲを生やした店主が眉尾を上げる。


「はい、前に弾丸の買取で」


「ああ、マグナム弾売りに来た人だな。今日は持ってきたのか?」


「いえ、今日は買い物に」


「そうか、見ていってくんな」

 興味を無くしたのか、また銃を磨く作業へと入った。


「おー! いろいろあるにゃぁ……」


「レーザー、レーザー♪」

 二人が店内を見渡す。

 ポチ君がショーケースに入ったレーザーガンを見て声を上げるが、値札には20万と書いてあった。

 流石に買う気は無さそうだが、目に焼き付けるようにじっと見ている。


「おじさーん、でかいのは無いかにゃ?」


「でかいのって何だよ……?」


 ミケちゃんが何か尋ねているが俺は長物の棚を見なければ。

 狙いはショットガンだ。

 大量のグール相手には有効だろう。

 最悪、逃げるだけの隙ができれば良い。

 遺跡中央部はかなり危険だから身の安全を重視だ。

 いつもの狩りではなく、身を潜めて行うスカベンジャーとして行動した方が良いだろう。

 そう考えながら棚を見ていくが。


「物は2種類、結構するなぁ」

 見つけたショットガンは2つ。

 一つは銃身が2つ横にくっついた2連式ショットガン。

 西部劇に出てくるようなやつだ。

 格好良いのだが、装填できる弾数は2つ。


 もう一つはもっと近代的になったポンプ式ショットガン。

 銃身の下に弾を収める弾倉パイプが付いていて、こちらは縦に2つパイプが連なったような形だ。

 横の仕様書を見るには最大装填数は7つ。

 こっちの方が実戦的だがちょっと高い。

 2連式ショットガンが2万で、ポンプ式ショットガンが5万だ。


「んー、どうするかなぁ……」

 装填数の違いはでかいよなぁ、と考える。

 いざという時に装填しながら戦うというのは、今のところあまり機会が無い。

 レイダーたちが相手の時ぐらいか?

 ミュータントたちはまっすぐこちらに突っ込んでくるので、装填する暇なんか無いし。

 そもそもグールと言ったミュータント相手にショットガンを求めてるわけで……


「やっぱ高い方か」

 考えが纏まるが、……ポンッとは出せない額だ。

 宿代が素泊まり50シリングの世界だからな。

 1シリング=100円と考えたら、前の世界で500万円相当の買い物になる。

 うん、昨日ポカをしたばかりだし、今日は慎重にウィンドウショッピングだけにしよう。

 そう決めた時、店内が騒がしくなる。


「こら! 勝手に持つな!」

 店主の怒鳴り声、それに続き……


「おにいさーん! 見て見てー!」

 ミケちゃんが両手に太い鉄パイプのようなものを持ってくる。

 いや、赤いから銅か?


「でっかいにゃー!」

 見せてくるのは一瞬グレネード砲かと思ったが、それにしては倍以上太く、なにやら古めかしい装飾。

 持ち手は木製だが銃身に沿うようにまっすぐ後ろに伸び、グリップの部分で曲がってないのでこん棒の様にすら見える。

 銃口は指が何本も入りそうだ、40mmぐらいか?

 銃身の厚みも20mm以上ありそうに見える。

 まるで大砲を小さくしてミニチュア化した様な……


「え? 大筒?」

 戦国時代劇に出てくるようなでかい火縄銃だった。



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