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第92話 ロックさんと商談

遅れました、すいません。

ギガント討伐の話が前後でおかしくなってたので修正しました。

「ガイド……そんなハンターもいたんですか」

 ハンターの仕事と言えば狩猟とスカベンジャーぐらいかと思ってだのだが、それ以外にもあったとは考えなかった。


「ああ、辺境の危険地帯などの道案内を生業としているハンターもいる。

 真似しようとするなよ? 地図やセーフゾーンの作成に道の開拓。

 それらを行なう最前線の仕事だからな」


「危険なんですね」


「ああ、それ故にガイドはなり手が少ない。

 ギルドでも見込みのありそうな奴に特定の地域を任せられないか、話をかけたりしているらしいんだが。

 まぁ、大抵は断るわな。腕の良い奴は好き勝手やるのがこの業界の常だしな」


「うん? それじゃ、その人は何で?」


「何か探し物があるみたいでな。同族で協力して探索してるそうだ。

 ガイドは副業みたいなものだな」


「なるほど」


「さて……、ガイドはその性質上、高ランクがなるものだから依頼料は高いぞ。

 そして……仲介料もな」

 ロックさんが新しいタバコに火を着け、ニコリと笑みをこちらに向けてきた。


「うぐ……いくらになりますか?」


「ガイドは昔と変わらなければ10000シリングと言ったところだな。

 俺へはその半額で良いぞ」


「ちょ! 高いですよ! ……もう少しまかりませんか?」


「ガイドへの依頼料はどうにもならん、が。仲介料は少し負けてやろう。

 スロット2台でどうだ? 格安だぞ」


「え? 1台3000の約束でしょ?

 逆に上がってるじゃないですか!?」

 そう言った瞬間、ロックさんの口元がニヤリと笑う。


「そうだな、1台3000(・・・・・・)の約束だな。

 それじゃ2台に対して、釣りの1000を渡そう」

 しまった……、やられた。

 ロックさんが懐から1000シリング紙幣をテーブルに載せる。


「ちょ、ちょっと待って……」


「さらに仲介料を1000負けよう」

 さらにもう一枚上乗せしてきた!


「え、え、待ってください! もう一度最初からやりなお……」


「えー? 何でだ? こっちは負けに負けて2000も差し出してるのに。

 さらに毟り取ろうとするのか? ひどいなぁー」

 いや、その計算式おかしいだろう!?

 マズイ、マズイ!


「さぁ、これ以上は負けないから。これで決まりだな?」

 ロックさんがニヤリと笑いながらこちらに紙幣をズズイッと差し出してきた。


「あ、あ、ポ、ポチくーん! ポチくーん!!」

 こうなったらこっちも伝家の宝刀、ポチ君に丸投げするしかない!


「あ、バカ! あの坊主は呼ぶな!」


「……呼んだー?」

 遠くからポチ君の返事が聞こえ、トテトテとこちらに足音が向かって来る。

 だが、ロックさんが咄嗟に席を立ち。

 扉のカギを閉めた!


「あ、ずるいですよ!」


「いーや、これは男と男の話し合いだ。さぁ、どうするんだ!?」


「うう……」

 どうする?

 一応、少し負けてくれたしスロットでの現物払いが出来るのはメリットだが。

 安いのかどうかがわからない……。

 話を断ることも出来るが、一度断ってからポチ君にバトンタッチしたのではロックさんからの印象は悪くなるだろう。

 現在、唯一の手がかりを持つロックさんから情報が入手できなくなっては探索が行き詰ってしまう。

 本当なら現金のやり取りをする前に情報を少しずつ聞きだし、互いの妥協点を探るのが良かったのだろうが。

 聞き手側になったことで場をロックさんが支配することになった。

 やはり俺は交渉が向いていないなぁ。

 選択肢はある様でじつは無い。


「……わかりました。その条件で」


「よし、スロット4台12000に仲介料4000だから、差し引き8000を渡すな」

 ロックさんがウキウキと奥の金庫からお金を引き出してくる。


「条件を飲んだんですから、その代わりもっと話を聞かせてくれませんか?」


「ああ、いいぜ。注意ぐらいはしておこうと思ってたしな」


「中に進む上で必要な物とかありますか?」


「そういうのはガイドに直接聞いた方がいいな。

 中ではグール、アメーバ、ハゲネズミがよく出るから、それに合わせた装備をした方がいい。

 特にグールは集団で迫ってきたりするから、ショットガンかサブマシンガンがあった方が良いな」


「なるほど」


「後は食料と水か。ガイドに任せればセーフゾーンを用意してくれるだろうから。

 泊りがけの探索が出来る。すぐに帰ってくるつもりでも、3日分は用意しておいた方がいいな」


「日帰りのつもりでもですか?」


「中ではグールが大量に湧き出して追っかけてきたりするからな。

 隠れてやり過ごしたりするから食料は必須だ」


「なるほど、わかりました」


「後はギガント対策か。アレに対してはとにかく逃げろ」


「……何か弱点とかは無いんですか?」


「でかいからな、どうにもならん。銃は効かないし、刃物も刃が通らん。

 皮が硬く分厚いんだ。手持ちの武器じゃどうしようもないな。

 戦車でも使わない限り、無理じゃないか?」


「そうですか」

 たしかにあの大きさじゃ怪獣と言ったところだもんな。

 指の先ほどの弾丸でどうにかなるとは思えない。

 ……ん? 

 そう言えば、あのギガントは腕を1本、肘から先を無くしていた

 大砲担ぎと言う人の仕業らしいが、どうやったんだ?


「大砲担ぎと言う人はどうやったんですか?」


「あれは文字通り戦車砲を担いで撃ち込むからな。

 あれなら手傷を負わせられるみたいだが、それぐらいじゃなきゃ無理だな」


「戦車砲ですか」

 

「ああ、あんなのを担げるならな」


「そうですか」

 その時、扉をコンコンと叩く音が聞こえてきた。


「俺からは以上だ。他に聞きたいことが出来たら聞きに来な。

 迎えも来たみたいだしな」


「ええ、ありがとうございました」

 笑顔のロックさんと握手をし、扉へと向かう。

 さて、話し合いは円満に終わったが二人にどう説明しよう?



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