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第78話 ビルの探索7

 27階までのグールを掃討したので29階からまた探索再開だ。

 最上階ではパソコンやカーテン、空き瓶、酒などの雑貨も手に入ったが、これより下の階では何が手に入るか?

 ルーブルも順調に増えている。

 今日手に入ったのは275ルーブル。

 グールを55体もエレベーターシャフトに落とした。

 直接相手したのはその半分ほどで、残りは奇襲を掛けて一気に倒した。

 一々トドメを刺さなくても手足を折れば、後はエレベーターシャフトに落とすだけの作業のような戦いだ。

 ポチ君が落ちかけたりアクシデントもあったが、慣れれば他のビルでもガンガン攻略できそうだ。


 29階を手分けして探索していく。

 グールの掃討で廊下には入ったが、部屋の探索はまったくしていない。

 俺が入ったのは階段近くにあった大部屋。

 何が出るかとワクワクしながら入ったところ、思ってもいない光景に遭遇する。

 中はスロットやダーツ、ルーレットに何かのテーブルゲームが広がっており、まるでカジノのようだ。


「……遊戯室?」

 ドアにはそう書いてある。


 ここの社長の趣味だろうか?

 上の社長室らしき場所もおもちゃがいっぱい飾ってあったが。

 それぞれを見て回る。

 状態は良さそうだ。

 これなら売れそうだが、問題は大きさだなぁ……。

 これだけの物を運ぶとなると昨日のギルドの出張買取並みの大仕事となる。

 3人で持ち帰るには大きすぎる。

 とりあえずスロット1台だけ持って帰ってみるか。

 もしかしたら高値が付くかもしれないし、新しい売却先を見つけられるかもしれない。

 ポン造さん辺りに見せてみるか。


 部屋に入ってからアーティファクト探知機も点滅して、その存在を主張してくる。

 待て待て、とホクホク顔で操作したところ。

 ルーレットの上で放電現象が起き、中から1つの石が出てきた。

 取り出したのはスパークトルマリン。

 スタミナや電気に関連する力を持ったネオンブルーの鮮やかな6角柱の宝石。

 すでに人数分は持っている石だが、予備として取って置こう。

 それからミケちゃんとポチ君と合流したところ、二人が探索した部屋も似たような感じだったらしい。

 この階はまるまる遊戯フロアなのか?


「よくわからないのがいっぱいあったにゃー。

 アレ、売れるのかにゃ?」


「んー、わかんない。とりあえず1つ持って帰ってポン造さんに相談してみよう」


 このフロアの構成がちょっと気になったのでエレベーターまで行ってみる。

 エレベーターの横の埃を被った案内板を手で拭う。

 それを見た所、最上階が社長のフロアで26階から29階は資料階となっている。

 ……ドアには堂々と遊戯室と書いてあったが。

 25階から下が役員や一般社員の仕事場のようだ。

 26階から上は社長の個人フロアということか?

 ……生前はすごいワンマン社長だったのだろうな。

 まぁ、企業のトップとなると重責のプレッシャーもすごそうだし、ちょっとでも仕事から距離を取りたいというのはわかるがな。

 ミケちゃんたちは酒瓶などを手に入れたようだ。

 荷物もかなり増えてきたし、今日の探索は次の階までかな?




 28階へと下り、また手分けして漁っていく。

 今度は資料室と書かれたドアを見つけた。

 おお、まともだと感心し中に入ったところ、棚一杯の漫画やデータディスクらしきものが。

 大きな映像プロジェクタらしきものもある。

 部屋の隅にはドリンクバーのような機械が。

 漫画喫茶かここは?

 だが、これは売り先を見つければ良い金になりそうだ。

 棚の漫画を見ていったところ成人指定のも紛れ込んでいた。

 こちらの世界の女性も前の世界と変わらないのだな、と学術的探究心で読みふけっていたところ……

 バンッ!と突然ドアを開けられた!


「すごいの見つけたよ!」

 ポチ君がしっぽを大きく振りながら入ってきた。


「ひっ!?」


「ん? どうしたのリーダー?」


「いや、なんでもない……。で、すごいの、とは?」


「とにかく来てー」

 ポチ君が俺の手を両手で引っぱっていく。


 ポチ君に連れられて向かった部屋には個人的資料室、絶対入るな!と書かれていた。

 ポチ君に急かされて中へと入る。

 中には、壁一杯に飾られた銃が!

 自動拳銃にリボルバー、ライフルなどが壁狭しと並べられている。


「な!?」


「ね? すごいでしょー」


「お、お、どうしたにゃ?」

 騒ぎに釣れられミケちゃんも顔を出してきた。


「おー、すごいにゃ! ポチ、お手柄にゃ。

 褒めてつかわすにゃ」


「えへへ」

 ポチ君のしっぽがさっきから揺れっぱなしだ。


 早速、3人で手分けして回収していくが、何か変なことに気づいた。


「コレ、何か軽くないかにゃ?」


「うん、コレ金属じゃないね。僕らのハンドガン(グロック17)に似た手触りだけど……。

 軽すぎるよね?」


 持ったときの軽すぎる実感にプラスチック製の見た目。

 見覚えのある手応えに思わず、スライドを引いてみる。

 バネが強く、重い。

 やはりエアガンだ、コレ。


「コレ、おもちゃだね」


「ええー……」


「おもちゃ、かにゃ……」


 二人が意気消沈してしっぽを垂らしてしまった。

 ポチ君がおもちゃのリボルバーを触りながら、シュン……としている。


「! まぁまぁ、コレはコレで売れるかもしれないし」


「……おもちゃじゃ高くは売れないにゃ?」


「う……、売れなくても自分たちでも遊べるかもしれないし」


「本物を持ってるのに、かにゃー?」

 ミケちゃんがエアガンの1つへと手を伸ばす。


「ココを引っぱるにゃ? お、結構固いにゃ」

 ミケちゃんに使い方を教え、横でポチ君も真似している。


 二人が壁に向かって撃ってみた。

 カシュッ……カシュッ……と軽い射撃音を立てながら、壁にプラスチックの弾が当たる。


「ん? これはこれで……良いにゃ」


「うん! なかなかだねー」


 二人が機嫌を戻し、ホッとしてこれもバックパックに仕舞っていく。

 銃の練習用に使えそうだし、これなら的を部屋に飾れば室内でも練習ができるようになるな。

 上の階で見かけたダーツの的も持って帰るか。

 エアガンは動力がバネ式のと電気式のがあったので両方とも持って帰ってみる。

 充電は出来るし、自分たちのは電気式でポン造さんにバネ式のを見せてみるか。

 他には程度の良さそうなカーテンを手に入れたところで荷物が一杯になったので帰ることにした。

 

 荷物を全て屋上に運び、オブシディアン・タールで軽くしたのを背負い、3人で手分けして地上へと下ろしていく。

 リアカーは荷物で満杯だ。

 やはり運ぶのが問題だ。

 次は市場価格を調べて、高く売れるのから運び出さないとな。




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