第72話 お宝?
またこちらも再開します。
よろしくおねがいいたします。
前回までのあらすじ。
都市遺跡のビルで、地下に漁りに行ったらロボットが居た。
「お宝探しですか?」
「そうにゃー! 上の階は同じのばっかしでちょっと飽きてきたにゃ。
変わったのないかにゃ?」
ヤ、ヤバイ、怒られるかも
「僕もー、食べ物とか……もがもが!?」
ポチ君の口を押さえる。
「いや! 誰も住んでいなかったらちょっと見てみようかなー、と思ってただけで無理に持っていこうとか考えてないですから」
「はぁ……、私はここの管理を任されているだけでここにあるものは全てご主人様の物です。
ですが、そのご主人様が亡くなられてしまいましたから……次に受け継ぐ人の物でしょう。
連邦法ではロボットの財産権は認められていませんから、私は受け継げませんし」
「ん? んー、それは俺たちが受け継ぐと宣言すれば俺たちの物になるということかな?」
「ええ、連邦裁判所がそれを認めれば」
「その裁判所が無い場合は?」
「現行の政府の法令が優先されるのではないでしょうか?」
「なるほど。現在の政府、都市同盟法だとこの都市の物は拾った物勝ちになっているのだけれど」
「……ここは無法地帯ですか? それは本当に法なのでしょうか?
その場合だと私はどうなるのでしょう?」
「今はロボットたちの国というか、勢力というか、そういうものがあるから。
ロボットの人権みたいなものもあるんじゃないかな?」
でなければロボットの商人たちは都市同盟内で安全に商売が出来ないだろう。
ロボットたちを襲ったら、逆に人間側が負けるだろうけどな。
「そうですか」
「にゃあ、にゃあ? 何を話してるんにゃ?」
「このシェルターの物はクーンの物だということだよ」
「あー、やっぱしそうなるかにゃ。残念にゃ。
でも、いらないものがあれば何でも引き取るにゃ。あちきたちは荒野の回収屋にゃ!
空きビン、空き缶、古着、何でもOKにゃ!」
ミケちゃんが両手を振り回しながら力説する。
「そうですか、時代は変わったんですね。私の物だと認めてもらえるのなら、ココの物を持っていかれてしまうと困ってしまいます。
私の仕事が無くなってしまいますから」
「で、ですよねー」
「でも、要らない物でしたらありますので、どうぞ」
そう言って、クーンが奥へと向かい、金属製の箱を抱えて戻ってきた。
「これをどうぞ」
そう言って俺たちの前に箱を下ろし、フタを開ける。
プシューッと空気の漏れる音が立ち、中には……
犬や猫の絵の描かれた袋が。
これってまさか……
「そちらのお嬢さんたちは猫と犬なのですよね?
私のデータベースだと言葉を喋る種はわからないのですが、間違っていますでしょうか?」
「彼らは亜人と言って、人に近くなった動物たちだよ。
クーン、君と一緒で今では人権も認められている」
「それは……私と同じ存在ということでしょうか?」
これの答えを俺は知っている。
ロボットたちと同じで神が関わり、動物たちが人と同じような存在になったのが亜人だ。
具体的なことまではわからないが、神直筆のガイダンスに書いてあったことだ。
あれ? そう考えるとあのガイダンスって神聖な物のような気がしてきた。
聖書のような、厄介物のような。
「そうですか、本当に世界は一変したんですね。
それだとコレをお出しするのは失礼でしたね。すいません……」
そう言って箱を下げようとするが、そのアームをミケちゃんが押さえた。
「ちょっと待つにゃ。貰えるものは何でも貰うのがあちきたちの流儀にゃ。
で、コレ何にゃ?」
「えーっと……、昔のイヌ族、ネコ族用の食べ物だよ」
「にゃ! ごはんにゃ!」
ミケちゃんが箱に手を突っ込みペットフードを抱え上げた。
ポチ君もわーっと箱に駆け寄る。
「保存状態は完璧です。酸素0、窒素ガス充填の長期保存用の物で、保存ボックスも作動して外気を遮断していましたから」
「コレ、袋破ればいいにゃ?」
「あ、俺が開けるよ」
ミケちゃんから猫の絵の書かれたキャットフードを預かり、ぺりっと開ける。
「どれどれ……、良い匂いにゃー」
ミケちゃんは開け口に鼻を寄せ、スンスン……と香りを楽しみ。
中身を摘み上げ、口へと放り込む。
カリカリッと音を立て、ミケちゃんの目がまん丸に開かれた。
「コレ美味しいにゃ! 噛むたびに焼いたお魚の香りが口いっぱいに広がるにゃー。
あ、でも薄味だにゃ。塩が薄いにゃー」
ミケちゃんは気に入ったようでスナック菓子の様にパクついて、カリカリと音を立てている。
ポチ君も犬の絵の書かれたドッグフードを俺に差し出してきてので、ぺりっと袋を開けた。
ポチ君も中身を摘み上げ……
「こっちはお肉の味だよー。薄味だけど美味しいねー」
カリカリッと楽しんでいる。
「おにいさん、はい!」
ミケちゃんがカリカリを差し出してきた。
「いや、それは二人で食べていいんだよ」
と、遠まわしに断ろうとするが。
「コレ美味しいにゃ」
ミケちゃんは笑顔だ。
「う、うん」
初めて食べたキャットフードは硬さの中に粘りもあり、非常に硬かった。




