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第64話 収穫品の買い取り

 宿で1時間ほど待っていたところ、ミケちゃんたちが帰宅した。


「ただいまにゃー!」

「ただいまー」

 帰ってきた二人の装いが行く前と違う…


「あ、おにいさん! 見て見てー、服手直ししてもらったにゃー」

 ミケちゃんは遺跡で見つけた白いフリルの付いた、ワンピースの上にピンクのカーディガンを羽織っている。


「お、かわいいね。似合ってるよ」

 正直、女の子の装いはわからないが、とにかく褒めておこう。


「えへへ、照れるにゃー。こんな上等の服着たの初めてにゃー」

 ミケちゃんはワンピースを指で引っぱりながら、ニコニコしていた。


「僕もー」

 ポチ君の装いはほとんど変わっていない、変わったのは首元に蝶ネクタイを付けているだけだ。


「お姉さんたちにもらったんだー」

 ポチ君も気に入ったのか、しっぽを左右に振っている。


「ポチ君も似合ってるね、もらって来たの?」


「そうにゃー。服のお返しにってもらったにゃ。

 おにいさんへのお土産もあるにゃー」

 そう言って、ミケちゃんが細いスプレー缶の様な物を差し出す。


「これは?」


「痴漢撃退用のスプレーだそうにゃ。おにいさんは武器とか好きって言ったらコレくれたにゃ。

 中から黒インクをぷしゅーってするとか言ってたにゃ」


 もらったスプレーは指一本分ぐらいの細く、小さなものだ。

 これならワイヤーと一緒で隠し武器にできるかもな。


「ありがとう。喜んでたってお姐さんたちに伝えておいてくれるかな」


「わかったにゃー、今度行く時伝えるにゃ」


 それから別行動をとっていたときの事を互いに話し合う。

 俺からはハンドガンがそこそこの値段で売れそうだということを。

 ミケちゃんたちは娼館に女性用の服を差し入れに行ったそうだが、大変だったらしい。

 娼館のお姐さんたちはハッスルする方々らしく、服の取り合いでケンカになったそうだ。

 ポチ君曰く、狼が地を蹴り、豹が縦横無尽に駆け抜け、ダチョウが飛び、ゴールデンレトリバーが全てを受け止める魔窟と化したらしい。

 ポチ君は命からがら逃げてきたそうだ。

 ミケちゃんがお世話になっていた娼館。

 いまだ入ったことが無いが、やはり亜人さん専用みたいな気がする。



 それから3人でバザーへとやってきた。

 行き先はさっきも訪れたガンショップだ。


「いらっしゃい、さっきの兄さんだよな。売るのかい?」


「ええ、これらをおねがいします」

 レイダーから剥いだ12丁のハンドガンを手渡す。


「ちょっと待ってな…」

 査定を待つ。


「うーん、程度の悪いのが多いな。手入れのしてある1丁は1500で買い取るけど、他は1000だな」


「もうちょっとまかりませんか?」

 一応、言ってみるが……


「動くだけマシって程度のが多いから、これ以上は無理だよ。

 まぁ、そんなのでも買ってく奴は多いからウチは買うけどな」


 ですよねぇ、レイダー達の使ってたハンドガンはどれも表面に細かいキズが走ってるし。

 カスタムされた物も無かったから期待はしていなかった。

 手入れのしてある1丁は俺に殴りかかってきた、ボスが後ろ腰に差していた物だ。

 よほど力に自信があったのか、銃を使わずに殴りかかってきた野蛮人だったな。

 例え銃を構えてても、そんなの捨てて掛かって来いよ!とか挑発したら、顔真っ赤にして殴りかかってきそうなアホだ。

 と、腰の辺りを突っつかれる。


「買い取ってくれるならいいんじゃないかにゃ?」

「うん、僕も買ってくれるだけマシだと思う」

 二人も査定に同意を示す。


 二人ともSHOPアプリで呼び出した程度の良いハンドガン(グロック17)を使ってるから、レイダーの程度の悪いハンドガンにはあまり期待できなかったようだ。

 買い取り額は12500シリング、今までで2番目の稼ぎだ。

 一番は巨大アメーバの時である。

 3人で4100シリングずつ分け、余りは食費に当てる。


「そういえばコレってここでも扱ってますか?」

 ミケちゃんから貰った小型スプレーを見せてみる。


「ああ、護身用のな。ウチじゃ痴漢撃退用って煽り文句で売ってるけど。

 欲しいのは新しいのか、それとも中身の交換か?」


「詰め替えできるんですか?」


「できるよ、替え様のインクと空気を入れるポンプがある」

 そう言って、店主が奥から持ってくる。

 注射針の様な管の付いたインク瓶に自転車の空気入れを縮めたものだった。


 値段は合わせて1000シリングだったので買い、店を後にする。

 次に行くのは鍛冶屋だ。


「こんにちわー」


「いらっしゃい、今度はなんだい?」


「こっちの二人に防具を作ってもらいたくて」

 兵隊アリの甲殻を持った二人が前に出る。


「腕と足の部分だけで良いにゃ」

「僕もそれで」


 前に兵隊アリの甲殻を2体分手に入れたのだが、ギルドでは買い取ってくれないので持て余していた。

 二人は俺の戦闘服と違いコートで、動くと手足が露出して危険だと思ってたので今回、思わぬ大金が手に入ったので揃えることにした。


「それなら1人、1000シリングでいいよ」

 それを聞き、俺が財布を出そうとすると…


「いいにゃ、これぐらいあちきらでも出せるにゃ。

 おにいさんにはいつもおごって貰ってるから、これぐらいあちきらに出させて欲しいにゃ」


「そうだよう」


「そう? 足りなくなったらいつでも言ってね」


 最初の頃の川でカエルを獲っていた時のイメージがまだ残ってるので、おもわず出してしまいそうになったが。

 今では一緒に稼いでる仲なんだから、二人も十分持っているか。

 それから二人が採寸を合わせ、出来上がりは2日後とのことで店を後にする。



 外はもう夕暮れだ、お腹も減ってきた。

 北門のうさぎのおばさんの屋台へと行く。


「ネザー姐さん、こんばんわにゃー」

「「こんばんわー」」


「いらっしゃい、空いたとこ座りな」


「姐さん、コレ上げるにゃー」

 ミケちゃんがエプロンと作業着を手渡す。


「ん、コレどうしたんだいミケ?」


「今日、遺跡行って来たにゃ。そこで手に入れてきたにゃ!」


「へー、もう遺跡まで行ったのかい。早いねぇ」


「大変だったにゃ。グールが次から次へと湧き出して……それをあちきがちぎっては投げ……最後はあちきの正義の炎が焼き尽くしたにゃ!」

 ミケちゃんの30分に渡る講談を適当に聞き流しながら、食事を終えた。




 宿に戻り、シャワーを浴びるが体のアザは消えていた。

 腕や肋骨も違和感や痛みが消えている。

 ブラッドルビーを使った場合、ヒビの治りは3時間ぐらいか。

 その後、たぬきのおじさんから買った充電器にスマホを差し、逆充電し就寝する。




 朝、小鳥のさえずりが聞こえる、まぶたの裏にはうっすらと白い闇が広がり、そして……息苦しい。

 うぅ……と目を開けてみれば、マットに顔を乗っけたミケちゃんが俺の鼻を摘んでいる。


「朝にゃー、早く起きるにゃ」

 ミケちゃんが笑いながら、鼻を突っついてくる。


「ふぁ、ふぁい……」


 ミケちゃんに起こされ、まずは朝のステータスチェックから始めるか。



 ステータス


 Name  サトシ

 Age   20


 Hp  100

 Sp  100


 Str   192.0 (+2.0) 

 Vit   168.0 (+5.0)  

 Int   105.0 (+3.0) 

 Agi   138.0 (+6.0)

 Cap   4.4  (+0.2)


 預金      16ルーブル  (-388) 

 所持金  9535シリング  (+885)


 結構稼いだと思ったが、最近いろいろ買ったからな。

 所持金は思ったより増えてない。

 それよりもルーブルは最後にライフルを買ったときから、ほとんど変動していない。

 あれからレイダー達をかなり殺っているはずだが……?

 そういえば初めてチンピラ達をやっつけた時も増えてなかったような……

 人はルーブル獲得の対象外ということか。

 一応は神様の作ったシステムだし、同族での殺し合いを進めないためかな?


 それから身支度を整え、昨日の反省を踏まえ、襲われたときの対処やハンドサインを決める。

 それから食事を済ませ、ギルドで今日もリアカーを借り、出発する。

 ミケちゃんとポチ君はいつもの定位置、荷台から顔を出しながら風景を眺めている。

 昨日も来た、旧シューストカ都市址としあとへとやって来た。

 看板や室外機が壁に備え付けられた路地裏を進み。

 昨日も調べたビルへと向かうが……


「リーダー、誰かこっちを見てるよ!」

「あちきも何か気配を感じるにゃ!」

 二人からの警告。


 腰の銃に手を当てながら、その場に停止したところ。

 焦れたのか向こうから出てきた。

 路地の陰から、こん棒や銃で武装した男達が12人。

 その目線はこちらに敵意を向けている。



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