第58話 グール狩り 前編
前話で数字とか間違えてるところがいくつかあったので直しています。
宿で粉石けんを買った。
後は、ギルドにリアカーを返しに行かないとな。
返しに行くのは俺1人で十分だから、ミケちゃんとポチ君は先に休ませる。
「それじゃ、リアカー返しに行ってくる」
「わかったにゃー」
「ああ、それと売らなかった空き瓶5本貸してもらえる?」
「はい、にゃ。じゃ、あちきらは先に休んでるにゃ」
ミケちゃんから空き瓶を受け取る。
リアカーを引いてギルドへとやって来た。
駐車場の方から入って行き、駐車場の係員のおじさんに返す。
借りた礼を言い。
「すいません、ガソリンが欲しいんですけど」
「ああ、ガソリンなら向こうの小屋に自販機があるから、そこからな」
駐車場の隅にあるガレージを指す。
礼を言い、ガレージへと入る。
入り口は広く、壁際にガソリンスタンドにあるような給油機械がある。
機械の横にはおじいさんが居た。
「兄さん、両替はいるか?」
「両替?」
「その機械はクレジットでねぇと、動かんくてなぁ」
話を聞くとこのガソリンスタンドは、崩壊前からここにあったものを使ってるそうだ。
その為、崩壊前の通貨しか認証しないらしい。
直せば良いと思うのだが、直せる技師が居ないそうだ。
ガソリン1リットル、1000クレジットと表記されている。
「両替のレートはいくら?」
「1000クレジット、200シリングで交換するよ」
「うわ! 高い!」
タヌキのおじさんに教えてもらった相場の倍だ。
「いやー、こっちも仕事だからねー。で、どうする?」
「手持ちがあるのでいいです。
あ、こちらからクレジットを売りたい場合、いくらになります?」
「1000クレジット、100シリングで買い取るよ」
「あ・・、ホントいいです」
酷い交換レートだ。
とりあえず1万クレジット紙幣を差し込む。
持ってる瓶は全部容量700mlだから、5本で3500mlか。
給油機に付いてる給油ノズルのロックが外れ、それを使って瓶に注いでいく。
全てに注ぎ、蓋を閉める。
これで火炎瓶の用意は出来た。
ただ、これはいざという時の保険だが。
グールって、燃やしても買い取ってくれるのだろうか?
清算ボタンを押し、お釣りが6500クレジット出てきた。
ちゃんとお釣りが出てきて、安心する。
100年前の機械だからな。
5000クレジット紙幣に1000クレジット紙幣、それと500クレジット硬貨だ。
クレジットの硬貨は初めてだな。
じいさんに挨拶して、給油所を出る。
そのまま、おかまさんの受付に行き、アリの顎2組を売った。
明日もリアカーを借りる予約をし、ギルドを出る。
途中、南のバザーに寄り、雑貨の露天でボロ切れの束と軍手にエプロン、ほうきとチリトリにブラシを買って帰る。
明日、多分必要になる掃除用具とミケちゃんとポチ君用のブラシだ。
宿に戻り、二人と合流してうさぎのおばさんの屋台に夕飯を食べに行く。
夕飯を終えた帰り道、ミケちゃんと話す。
「おにいさん、今日は訓練はどうするにゃ?」
「今日は走り回って疲れたから、止めとくよ」
「じゃ、あちきもお休みにするにゃ」
「僕もー」
宿に戻り、シャワーを浴びるが腕と肩が紫色に腫れている。
頭もでかいタンコブが出来ている。
散々グールにボコられたからな・・、今日はスパークトルマリンを着けて寝るか。
新陳代謝を良くするから回復力も上がるだろう。
さて、シャワーも浴びてこざっぱりしたところで、今日買った充電器を試す。
これにはいろんな接続プラグ用の穴が開いているが、前の世界で良く使われていた2穴コンセントも開いていた。
これにスマホ用の充電プラグが合えばいいのだが。
入った、よし。
スマホを繋ぐ、このスマホは謎技術で出来ており電池残量が無限になっている。
スマホから逆充電をして、この充電器を使えれるようになればいいんだが。
・・
・・・・
10分経った。
充電器のメーターは少し動いたかな?
容量が大きいのか?スマホからの電流量が少ないのか、わからないが時間が掛かるようだ。
繋いだままにして、早々に休んだ。
次の日、体を揺すられて起こされる。
日は昇り始めたくらいか?
まだ薄暗い。
「おにいさん、早く起きるにゃ。今日はグールをボコボコにする日にゃよ?」
昨日は寝るのが早かったので、ミケちゃんたちも寝起きが早い。
伸びをしながら体の調子を確かめるが問題無さそうだ。
腕の腫れも引いたし、頭のタンコブも引っ込んだようだ。
さて、ステータスチェックから始めるか。
ステータス
Name サトシ
Age 20
Hp 100
Sp 100
Str 195.0 (+1.0)
Vit 170.0 (+7.0)
Int 104.0 (+2.0)
Agi 136.0 (+4.0)
Cap 4.4 (+0.2)
預金 414ルーブル (+10)
所持金 7065シリング (-1585)
Vitがずいぶん上がったな、ケガした部分が治る過程で超回復でも起こしたのか?
次に残弾のチェックだ。
弾倉を満タンにした上で、予備の9mm弾が152発に.357マグナム弾が61発か。
それと火炎瓶が5本。
これだけあれば十分だろう。
充電器の方はまだ半分といったところか、充電の続きはまた今夜にしよう。
身支度を済ませ、いつものうさぎのおばさんの屋台で朝食を摂り、昼用のお弁当を買い、ギルドへと向かう。
リアカーを借りて、一度宿へ戻る。
「すいませーん」
受付のロックさんへと話しかける。
「おう、どうした?」
「水もらいたいんですけど、裏庭で汲んでいいですか?」
「それくらいなら構わんぞ、持って行け」
ロックさんの許可を得て、昨日買った大きな壺に水を汲んでいく。
1つ15リットルほど入るようだ、4つ汲む。
次に、土手で土を3つのズタ袋に詰めていく。
前に穴を掘ったときの土の山があったので、そこからスコップを使って詰めていく。
「水汲んだり、土入れたりどうするにゃ?」
ミケちゃんが不思議そうに眺めている。
「グールを倒すのに必要なんだよ。」
説明するより実際に見せた方が早いだろう。
これで全ての準備が出来た、都市遺跡へ出発だ。
荷台にミケちゃんとポチ君を乗せて走り出す。
1時間掛けて、昨日のビルの前にまでやって来た。
「それじゃ二人ともおねがい」
30mのロープを2つ渡す。
「任せるにゃ!」
「行ってくるよう」
二人がアーティファクトを暴走させて、ビルの側面を駆け上がっていく。
あっという間に屋上まで辿り着き、ロープが降りてくる。
今日は最初からロープで登れるから楽なもんだ。
スルスルと登っていき、トラブル無く屋上へと辿り着く。
ロープは念のため引き上げておく。
後から来た誰かに使われるのも癪だからね。
さて、それぞれのバックパックに入れてあった道具を屋上に広げていく。
まずは水の入った壺だ。
「ミケちゃん、この中に粉石けん入れてかき混ぜてくれる?」
「わかったにゃ。ところでコレ何に使うにゃ?」
「これを階段に撒いて、そこでグールを迎え撃つんだ。
あいつら格闘攻撃しかできないから、近づかせなければ撃ち放題だよ」
「ほうほう。それは良いにゃ、撃ち放題は得意にゃ!」
ミケちゃんが手を出してきたので、予備の9mm弾を全部渡す。
「ちゃんとポチ君と半分こするんだよ」
「わかってるにゃ。わかってるにゃ」
ミケちゃんはハイ、ハイと言った感じでおざなりに手を振り、上機嫌に粉石けんの封を開けていく。
「ポチ君は俺と一緒に道具を運ぼうか」
「はい」
屋上の出入り口の近くに、土の入ったズタ袋と掃除用具、火炎瓶を置いていく。
火炎瓶も蓋を取り、ボロ切れを詰めていつでも使えるようにする。
20階の防火シャッターも静かに降ろしておく。
階段部分はコンクリートだから燃えにくいと思うのだが、フロアーの中は燃えやすいものでいっぱいだからな。
ミケちゃんの石けん水も用意出来た様で、最上階となる屋上の踊り場に壺を2つ。
20階の踊り場に2つ置いた。
今回、19階から20階に繋がる階段と20階から屋上へと繋がる階段を分けて使う。
出来る限り前者の場所で終わらせたいが、無理そうだったら屋上まで退避する。
銃の最終チェックをする。
二人も準備OKの様で、俺にうなずいてくる。
20階の踊り場まで降りる。
階段に石鹸水を注いでいく。
20段ほどの直線の階段が濡れ、採光用の窓から入った光が反射しテカテカと輝く。
用意は出来た。
ミケちゃんが硬鞭を抜き、壁を叩く!
カンッ!カンッ!カンッ!
戦いの狼煙は上がった。




