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第55話 グールと再戦

クレジットカード→電子マネーカードに書き直しました。


 さて、クレジット集めの方針は固まった。

 カード拾いだ。

 電子マネーカードが一番欲しいがキャッシュカードもいつか役に立つかもしれない、集めよう。

 何処かで生きてるATMを見つければ、ハッキングしたカードを使って中身を抜き出せるからな。

 次はグール対策だ。

 さっきの失敗は、いきなりでかいビルに入ったのが失敗だったのだろう。

 おそらく、この遺跡の建物はほとんどグールの巣になっている。

 建物が大きいほど巣も大きいという訳だ。

 今度は小さい建物を探して、そこからグール狩りのコツを学んでいこう。



 二人と次の戦いの打ち合わせをして、目標に合った建物が無いか探しに行く。

 ミケちゃんとポチ君をリアカーに乗せて、ガレキの転がる大通りを進む。

 良い建物がないかと左右を見渡しながら進んでいたところ、ポチ君の耳がピクッ!と反応する。


「あれ? 何か風切り音が聞こえるよ。僕たちの使ってるハンドガン(グロック17)みたいな?」

 ポチ君たちの使ってるグロック17はサイレンサーが付いてるが、それのことだろうか。


「ポチ君、どっちから聞こえる?」


「あっちだよ。」

 ポチ君の指差す方にリアカーを引いていく。



 指差す方には10階建てのビルがあり、入り口の横に妙な車が横付けにされていた。

 黒くて長い車だ、タイヤは6つもある。

 リムジンか?

 いや車体の真ん中あたりに縦に走った溶接痕があるから、ミニバンを改造して荷台を長くしたんだな。

 だが、それよりも目を引く部分がある。

 屋根に神殿が乗っかっているのだ。

 正確にはギリシャのパルテノン神殿の屋根部分に似たものが屋根にくっついている。

 色は白で彫刻の様な物まで彫ってある。


「なんか霊柩車みたいな車だな」

「変な車にゃー」

 二人して車の感想を言っていたところ、ビルの入り口から誰か出てくる。


 全身黒尽くめの背の高い男が、ロープを巻いたグールを引きずりながら出てきた。

 片手にサイレンサー付きのサブマシンガンを持っている。

 男はすぐに、リアカーを引いた俺たちに気づく。


「・・君たちは何かな?」

 サブマシンガンを胸に抱える様に持ち上げ、こちらに問いかけてくる。

 銃口はこちらに向いていないが、鋭い殺気を感じる。


「あ、すいません。銃を撃つ音が聞こえたので何かな?と思って」


「射撃音が? ああ、そちらの僕たちか。」

 怪訝な表情をこちらに向けたが、リアカーに乗ったポチ君とミケちゃんを見て納得したようだ。


「狩りの邪魔をしてしまったみたいですみません」


「いや、こちらこそ疑ってしまってすまない。

 最近、ここらへんには素行のよろしくない連中がうろついているようでな」


「ん? その良くない連中とは?」


「おそらくレイダー(ならずもの)だ。

 奴等がこの遺跡に潜んでいる痕跡を見つけた」

 レイダーと聞いて俺たちに緊張が走る。

 レイダー、人を襲う強盗たち。


「まぁ、気をつけることだ。」


「ありがとうございます。」


 サブマシンガンを持ったハンターと別れ、辺りを散策する。

 ハンターと別れたすぐ近くで、2階建ての小さな建物を見つける。

 元は何かの商店だったのだろう。

 レジやカウンターに棚などが見える。

 さっきした打ち合わせ通りに近づいていく。


 俺はハンマーを抜き、オブシディアン・タールを2つ起動。

 ミケちゃんも硬鞭こうべんを抜き、接近戦の用意だ。

 ポチ君だけハンドガンを抜き、慎重に先行して行く。


 ポチ君が入り口の横の壁に張り付いた。

 そこから耳と鼻を使って中の様子を探っていく。

 何度か鼻と耳を動かして、こちらへと戻ってくる。


「1階に2体、2階には数はわからないけど複数居ると思う。」


「わかった、ありがとうポチ君。じゃ、打ち合わせ通りに。」


 今度は俺とミケちゃんの近接組が先行だ。

 廃墟の商店に物音を立てないように入っていく。

 中はそこそこの広さだ、コンビニくらいかな。

 棚はほとんど横倒しになっていて、その横でグール2体が寝ている。

 慎重に寝ているグールに近づいていく。


 パキッ・・


 床にはガレキやゴミが散乱している。

 慎重に歩んでいるつもりだが、少しの物音は立ってしまう。


「・・ギェ?」


 グールが目を覚ました。

 すかさずハンマーを振りかぶる!

 ドンッ!と物音を立ててしまったが一撃でグールの頭をカチ割り、その中身が床に広がっていく。

 ミケちゃんの方は少し手間取っているようだ、何度も叩いている。

 手伝いに行きたいがその暇は無さそうだ。

 天井からドス、ドスと足音が響いてくる。

 奥の隅にある階段に向かって構える。


「ギィィ!ギィィ!ギィィ!」


 グールが次々と降りて来る。

 その数5体、ポチ君がすかさず撃つが仕留めれたのは1体。

 他は俺に向かって飛び掛かってきた!

 先頭の1体にカウンターでハンマーを振りかぶる!


 ドゥンッ!

 ハンマーがグールの胸にめり込む。

 先頭の1体は黒い血を吐きながら倒れる。

 だが、後続のグール共が次々と殴りかかってくる。

 すかさずハンマーを手放し、両手でガードを固める。

 今回の俺の役目は盾役、ここで食い止める!

 その隙にミケちゃんたちが攻撃、と考えていたのだが。

 俺に2体張り付き、残りの1体がミケちゃんの方へ向かった。


「! ポチ君、ミケちゃんを頼む!」


「う、うん!」


 俺に向かって2体のグールが殴りかかってくる!

 ドスッ!、ドスッ!と腕のプレートの入った部分で受けるが。

 うん、これなら防げそうだ。

 さっき、大きなビルで襲われて殴られたときは木製のバットで叩かれてるような衝撃だったが、今受けてるのはそれよりも幾分弱い。

 小ぶりな木槌ぐらいかな?

 オブシディアン・タールの衝撃緩和の効果が出てるみたいだ。

 これなら腕や胸に入ったプレートの部分で受ければ、十分防げる。

 よし!どんどん来いや!と調子に乗ってたところ、わき腹にボディブローを喰らう!


「げはぁ!」


 ちょっと待て!わき腹はプレートが入って無いから、そこは・・弱いぞぉ!

 グールも俺の弱点がわかったのか、執拗にボディブローを打ってくる!

 背を丸めて、脇を腕で固めながら耐える。

 糞っ!調子に乗りやがって!


 右のグールのボディブローを肘で押しのける様にして、払う。

 左のグールは俺の顎のガードが開いたのを見て、右ストレートを放つ!

 それをすかさず上半身を振り、スウェーでかわす。

 一瞬の間が空く、攻撃チャンスだ!

 左のグールに向かって、牽制のジャブで目を狙う。

 怯んだ隙に鉄板入りブーツでおもいっきし蹴っ飛ばしてやる!と思ってたら。

 怯まず左ストレートを打ってきた!

 慌てて、腕で受ける。

 こいつ、恐怖心とか無いのか?!

 普通、目に攻撃を受けたら怯むだろ?!

 2体のグールにたこ殴りにされる。

 大半はプレートの入った部分で受けてるとはいえ、プレートの無い肩や上腕部分にも受け、ダメージが溜まってきた・・。

 このまま受け続けたら腕が上がらなくなって、ノックアウトされるな。

 反撃に出なければ。

 こいつら相手にまともにボクシングをやろうとしてた、俺がバカだった。

 これは狩りだ!

 そう思った瞬間、心が研ぎ澄まされ、腹の底から熱いものがたぎってくる感覚を覚える。


 冷えた頭でグールを見る。

 左のグールが左腕を振りかぶった!

 その肩と上腕の角度から攻撃の進路を予測する。

 右ひじの打ち払いで迎撃する!

 敵の攻撃とこちらの迎撃を頭の中で線に例え、それが重なるように振り抜く!

 ガッ!

 グールの拳を肘で打ち払い、体勢を崩させる。

 左のグールが間断を入れずに打ち込んでくるが、それも同じだ。

 左のグールの右ストレートを左肘で打ち払う!

 グールは2体とも目の前で体勢を崩した。

 その隙に右手で逆手にナイフを抜く。


 右のグールが先に体勢を戻した。

 そのまま殴りかかってくる!

 そうだ、来い。

 グールの右ストレートを左肘で打ち払う!

 体勢を崩したグールに向かって半歩踏み込み、右のショートフック。

 全身をねじる様に打ち込み、逆手に持ったナイフでグールの首を刈り取る!

 バツンッ!とグールの首が切り落とされ、転がった。

 振り返り、黒い血の血雨を背に、静かに待ち受ける。


 残った左のグールがギィィ!と鳴きながら打ちかかってくる!

 その左ストレートを左肘で受け止める。

 受けた瞬間に、左手を支点に寄りかかるようにして押し返す。

 拳を押し返されたグールがたたらを踏む。

 ここだっ!

 すかさずグールに向かって飛び掛り、肩を左手で掴んで押し倒した。

 反撃されるより早く、逆手に持ったナイフを胸に突き立てる!

 グールが俺の肩を掴むがナイフを捻ったら、ギェェ・・と鳴いてその力を弱めた。

 ナイフを抜き取り、二人に加勢しなければ!と振り返れば。

 逆に、二人が俺に加勢しようと近づいてきたところだった。


「おにいさん! 大丈夫かにゃ?」

「リーダー、ケガしてない?」

 二人に心配させてしまったようだ。


「大丈夫だよ。二人こそ、ケガは無い?」


「大丈夫にゃ! 一発もらったけどにゃ」

 ミケちゃんは鼻を掻きながら、へへっと笑っている。


「え! 大丈夫なの? ケガしてない?」


「受けると同時に跳んだから痛くないにゃ」

 ミケちゃんは左腕の部分をパンパンとハタキながら言う。

 受けると同時に回避行動が取れるとは、さすがミケちゃん。

 俺とは反応速度がまるで違う。


「その後、僕がトドメを刺したんだよ」

 ポチ君がハンドガンを持ち上げながら言った。

 そのしっぽが左右に激しく振れて、褒めて褒めてっと言ってる様だったので二人の頭を撫でる。


「にゃー」

「えへへ」

 撫でられて二人ともうれしそうにしていた。



 それから廃墟の探索だ。

 1階はすでに荒らされた後で使えそうなものは何も残っていない。

 レジの中も見たが硬貨一枚残っていなかった。

 2階へ上がり、探るが。

 2階も荒らされており、奥にあった金庫も開いてて中には何も残っていない。

 だが、金庫の前でカードを拾うことが出来た。


「先に漁った奴らはカードはゴミだと思って捨てていったんだな」

 電子マネーカードとキャッシュカードを1枚ずつ手に入れる。

 他には帳簿と鍵などが入っていたが、これらは要らないだろう。

 捨て置く。

 さて、残りはグールの始末だ。

 倒したグールの数は7体。

 1体400シリング程で売れるそうだから、なかなかの収入だな。

 だが、何故かミケちゃんとポチ君の顔が曇っている。


「えー・・。これをあちきたちのリアカーに乗っけるのにゃ?」

 それを嫌がったか。



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