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第54話 スキミング詐欺は現代じゃ常識

クレジットカード→電子マネーカード

書き直しました。

 リアカーを回収してその場を離れる。

 少し離れた所で周りを見渡し、安全を確認してホッと一息つく。


「・・にゃぁぁ。 蜜玉全部持っていかれたにゃ」

 スッカラカンになった荷台を見て、ミケちゃんはしっぽをうな垂らせる。


「おやつ全部持っていかれちゃったねぇ・・」

 ポチ君もしっぽが垂れ下がっている。


「すまん、俺の策略ミスだ」

 何の策も無しにグールに相対したのはマズかった。

 最近、巨大アメーバや兵隊アリを簡単に倒していたためにグールも難なく殺れるんじゃ、と慢心していたのかもしれない。


「そんなことないにゃ、あちき等も上手くやれなかったにゃ」

「そうだよう。それに、なんか思ってたよりもずっと元気だったよね、グールって」

 二人が慰めてくれるが、ポチ君が言った事が今回の敗因だろうと思う。


 俺たちが今まで相手にしてきたのは全て動きの遅い相手だった。

 そんな相手に一撃必殺の銃を持っているのだから、勝てて当然だったのだろう。

 だが、グールは違う。

 目が合うとすぐに、飛び掛って殴ってくる。

 あの動きに防戦一方になり、近接距離だと銃が使いづらいとこちらの長所をきれいに潰されたのだ。

 相性が悪いと言えばそれまでだが、単純にこちら動きが拙いのだろう。

 理由は簡単だ、俺が弱いから。

 慢心は捨てた、ここからは弱い俺が勝てるように策を練る。

 考えるのは2つ、近距離戦とどうやって銃を当てるか?


 近距離戦に関してはアテがある。

 オブシディアン・タールには衝撃緩和の効果も付いている。

 これの効果を利用していたのは高くジャンプして、着地する際に効果を実感していたが。

 これを、今度は格闘での防御に使う。

 グールに殴られた時も1つ装備していたが、今度は2つだ。

 これでかなり楽になるはず?

 銃に関してはおいおい考えていくか。


「対策はこれから練っていくとして、今回の収穫はミケちゃんが拾った財布だけか」


「でも、コレ中身入って無いにゃ」

 ミケちゃんが拾った財布は現金が抜かれていた。


「カード類は残ってたみたいだし、とりあえず見てみようか」

 ミケちゃんから財布を受け取り、中身を確かめていく。


「キャッシュカードにデータクレジットカード? 電子マネーの事か?

何でこれが残ってるんだ?」

 現金を抜いていくなら、金になりそうなカード類も抜いていきそうなものだが。


「キャッシュカードって、何にゃ?」

 ミケちゃんが首を傾げて不思議そうな顔をしている。


「ん? キャッシュカードとか知らない?」


「知らないにゃ」

「僕も聞いたこと無いよう」


 二人ともカードを知らないようだ。

 そういえば今まで取引は全て現金で行なっていったが、この世界ではクレジットカードとかは使われてないのか?

 正確にはクレジットカード等の電子取引が廃れたんだろうな。

 だからカード類はゴミだと勘違いして、持って行かなかったんだろうな。


「キャッシュカードや電子マネーカードは、銀行や信用取引をする金融会社からお金を引き出したり、チャージして支払うカードだよ」


「? 何言ってるか、わかんないにゃ」


「ですよねー、このカードがあればお金を引き出せるかも?って感じかな」


「にゃー? つまり、コレはお金にゃ?」

 そう言ってミケちゃんはキャッシュカードをぺキッ!と折ってしまった。


「うわわ!? 何やってんの?」


「んー? お金出て来ないにゃ。何でにゃ!」

 ミケちゃん折ったカードを試すがめす眺めるが、当然何もおこらない。


「それは機械を通さないとダメなんだよ」


「えー? そういうのは先に言って欲しいにゃ」

 ミケちゃんがテヘッっと笑って謝ってくる。


「とりあえずどうしようか、コレ?」


 電子マネーカードは無事だ、ポチ君が持っていてくれた。

 そういや、スマホにハッキングツールもダウンロードされていたな。

 でも、どうやってカード情報を読み取るんだ?

 そういえばハッキングツールもSHOPアプリに上位版が売ってたな。

 SHOPアプリを開く。


 アイテム一覧

 ■ツール

 ・コンパス型アーティファクト探知機  1000

 ・レーダー型アーティファクト探知機  3000

 ・プログラムハッカーアップグレード  500

 ・複合型ハッキングツール      2000


 これだ!

 複合型ハッキングツール、詳細を見たらカードリーダーにスキャナー、カメラ、各種プラグと、ハイテク犯罪に必要な要素が詰まった素敵アイテムだった。

 上位のハッキングプログラムも入ってるらしい。

 現在の預金は・・364ルーブルか。

 アーティファクトを売らないとダメだな。

 今の余りはスパークトルマリンとオブシディアン・タールか。

 もったいないがスパークトルマリンを売るか。


 スパークトルマリンを売った金で複合型ハッキングツールを購入する。

 外観は色は黒で、ノートパソコンを半分にしたような形だな。

 折りたたみ出来る様になっており、内側に液晶パネルとキーボードが付いてる。

 サイドのボタンを押すとカシュッ!と開き、側面にカードを差し込む穴が出てきた。

 背面にはスキャナーとカメラのレンズが付いていた。


 複合型ハッキングツールに電子マネーカードを差し込む。

 差し込んでから気づいたが、カードをハッキングしてから・・どうしよう?

 カードのパスを手に入れ使うにしても、今でも生きてるATMの様な端末を探さなければいけない。

 まぁ、それは後で考えよう。

 初期装備に入っていたガイダンスによれば、ロボットの商人は100年前に人間の会社を乗っ取り、今でも運営している。

 なら100年前のシステムも持っているはず。



 複合型ハッキングツールのシステムが立ち上がり、画面にカナン統合幕僚本部 情報戦略室付け電子戦装備 《デュプリケイター》起動と出る。

 なんか、ずいぶん仰々しい名前が出てきたな。

 デュプリケイターというのがコレの名前なのだろうか?

 とりあえずカードの情報を見ていく。

 ワンタッチで簡単にプロテクトが外れていく。

 うわぁ、コレ超便利!

 正直ハッキングなんてした事無いし、思いつきでやってみただけだが、コレの性能がめちゃくちゃ高いお陰で俺でも簡単に出来そうだ。

 で、中身は?、と。


 中にはデジタルデータが詰まっており、それを吸い出してコレ、デュプリケイターの中に保存できるようだ。

 このデジタルデータなのだが、仮想通貨プログラムだ。

 データ通貨と言ってもいい。

 どうやら崩壊前の文明では現金の実通貨以外にも、データを基にした仮想通貨が使われていたようだ。

 実通貨のクレジットも仮想通貨のクレジットも価値は同じで、等価値で換金される。

 電子マネーカードにデータ通貨を詰めて利用していたみたいだな。


 それで吸い出せた額は・・、224000クレジット!

 思ってたより入っていた。


「おにいさん、どうにゃー?」

 ミケちゃんとポチ君が心配そうに画面を覗き込む。


「すごいよ! 22万クレジットも入ってた!」

 さすがに俺も興奮が抑えられない、シリングに換金しても10分の1にはなる。


「え!? 本当かにゃ?」

「え、え? それってどれくらい? 車買えるの?」

 二人も目を丸くして驚いていた。


「車はまだ無理だけど、コレを集めれば買えるかも」

 デュプリケイターに刺さった電子マネーカードを指差す。

 二人も珍しげに電子マネーカードを眺め、指でツンツンと突っついてたりしていた。


「カードを拾い集めれば、来週までに車が買えるぐらい貯めれるかも・・」

 俺の言葉に二人が呆気に取られた後、にっこり笑う。


 カードの価値に気づいているのは俺たちぐらいかもしれない。

 他のハンターたちがカードをゴミだと勘違いして捨てているなら、まだこの遺跡にはお宝が無造作に捨て置かれている事になる。

 後はグールだ、グールさえ何とかすれば、いくらでも稼げるぞ。



現代知識チート回。

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