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第52話 リアカーの旅

 朝と言うにはまだ早い時間にふと目を覚ます。

 目を開け、室内の青い薄闇を見通す。

 日が昇り始めたのかな、起きるにはまだ早い。

 ポチ君も隣で静かに寝息を立てている。

 寝なおそうとするが眠気が捕まらない。

 今日は初めて遺跡に探検に行く日だ。

 遠足を待ちあびる子供のように期待してるのだろうか、それとも不安で緊張してるのか?

 そんなことを考えながら、じっと目を閉じ続ける。



「おにいさん、おはようにゃー!」

 ミケちゃんに肩を揺らされる。

 どうでもいいことを考えてる内に寝付いていたか。

 窓からは日が差し込み、薄闇はとっくに部屋の隅へと追いやられていた。


「ミケちゃん、おはよう」


「リーダー、おはようー」

 ポチ君にも声を掛けられる、俺が一番遅かったようだ。


「ポチ君もおはよう」

 ポチ君の頭を撫でながら、朝の挨拶をする。

 ついでに寝ぐせがついてないかもチェックだ。

 ミケちゃんも頭を差し出してきたので、手グシで毛を撫でていく。

 今度ブラシ買わないとな。

 顔を洗い、朝のステータスチェックだ。


 ステータス


 Name  サトシ

 Age   20


 Hp  100

 Sp  100


 Str   194.0 (+4.0) 

 Vit   163.0 (+3.0)  

 Int   102.0 (+2.0) 

 Agi   132.0 (+2.0)

 Cap   4.2  (+0.2)


 預金    404ルーブル  (+213) 

 所持金  8650シリング  (+3145)


 筋トレの効果が落ちてきたな、もっと強い運動をするか別のことをした方がいいかも。

 Cap値は4を越えても今まで通り上がっている。

 ミケちゃんの5に追いつけそうだ。

 身支度を整える、銃のチェックも念入りに。

 銃弾は弾倉を満タンにした上で9mm弾の予備が65発、.357マグナム弾の予備が18発か。

 .357マグナム弾だけSHOPアプリで50発補充しておく。

 宿の受付でロックさんから水を買い、うさぎのおばさんの屋台で朝食を摂る。

 今日は1日、町の外で動く予定だからお弁当を多めに買い込んでおく。

 ギルドへと向かう。


「「おはようございます」」

「おはようにゃー」

 受付のおかまさんへと挨拶をする。


「おはようー。リアカーの準備は出来てるわよぅ」


「ありがとうございます」

 代金の200シリングを支払う。


「暗くなる前に帰ってくるのよう」

 おかまさんに礼を言い、駐車場へ行く。

 駐車場でリアカーを受け取り、荷物を載せていく。

 荷物と一緒にミケちゃんたちまで荷台に上がった。


「さぁ出発にゃ!」

「だねー。」


 二人の行動に苦笑しつつリアカーを引いて行く。

 目的地の旧シューストカ都市址としあとはここから北東になる。

 北の通りは混み合っているので東門から出ることにする。

 東から行くならスラムの教会にも寄っていくか。


「ポチ君、教会って朝からやってるかな?」


「みんな、この時間には採取に出かけるから神父様も起きてると思うよ。」


「それじゃ、教会に寄っていくね」


 リアカーに乗せたままハンター証を提示して、東門を通過する。

 門を守る衛兵もちょっと笑っていた。

 スラムの狭い道を通って教会へと着く。

 教会前では子供が掃除をしていた。


「おはようございます。神父様はいらっしゃいますか?」

 尋ねると子供はちょっと待っててと言って、中に入る。

 すぐに大柄な人物が出てくる。


「おはようございます。教会になにか用ですかな?」


「朝早くからすいません。ちょっと遠出するもので買いたいものがあって。」


「なるほど、では奥へ。」


 以前にも通された教会の応接室でハンドロードの9mm弾を100発買い込む。

 俺が支払おうとしたら、自分たちが使う分だからと言ってミケちゃんとポチ君が支払おうとした。

 銃弾は必要経費みたいなものだから3人で支払う。

 .357マグナムのハンドロード弾はまだ無かった。

 来週には取り寄せられるらしい。

 神父様に礼を言い、教会を出る。



 スラムを出て、荒野を北東へと走る。

 歩いたら3時間掛かる距離のようだが、こちらにはスパークトルマリンがある。

 ジョギング程度の速さなら疲れずに走り続けられる。


「もっとスピード出すにゃー!」

「おやつ食べてもいいかなー?」

 ミケちゃんは俺の肩を叩き、急ぐ様せかし。

 ポチ君はバックパックから昨日の蜜玉を取り出している。

 二人もリアカーの旅を楽しんでるようでなによりだ。



 川辺から離れ北へと進むにつれ、緑は少なくなっていく。

 草原は背の短い草の原っぱへと変わり、ところどころ赤茶けたむきだしの土も見える。

 20分ほど走ったところでアリの群れに遭遇した。

 兵隊アリ2匹に働きアリ10匹、なかなかの数だ。


「でかいのはあちきがもらうにゃ!」


「片方は俺も相手するから、ポチ君は近づいてくる働きアリを頼む。

 ハンドガン(グロック17)を使って」

 甲殻の硬いアリ相手にポチ君の短弓は効きづらい。


 俺とミケちゃんがアリの群れに向かって駆け寄る。

 アリもこちらに気づき、働きアリを先頭に距離を狭めてくる。

 意外だが体の大きい兵隊アリより、小さい働きアリのほうが素早いのだ。

 働きアリが目前にまで迫ってくるが無視だ。


 アーティファクト切り替え、オブシディアン・タール暴走


 俺もミケちゃんも、近寄ってくる働きアリの上を飛び越えていく。

 ぴょんぴょん!っとアリの波を飛び越え、目標の前に降り立った!

 兵隊アリは重心を落とし、待ち構える構えだ。

 だが当然、それも飛び越える。

 呆気にとられた兵隊アリが振り返るよりも早く、その足を叩き折っていく!

 一呼吸する間に6本の足を全て叩き折り、目的完遂だ。

 横目で見ていたがミケちゃんはもっと素早かった。

 颯爽と兵隊アリの背後に降り立つと、振り返り様に怒涛のモグラ叩きだ。

 瞬きする間にアリの足を硬鞭こうべんで叩き折っていた。

 トドメを刺すのは後にして、先に働きアリを片付けにいく。

 働きアリはこちらへと引き返す群れと、ポチ君を目指して進んでいく群れに分かれていた。

 もっとも前に進む群れは次々とヘッドショットで撃ち抜かれていく。

 残りはこちらへと向かってくる群れのみ。

 ミケちゃんと協力してあっさりと打ち倒す。

 働きアリにも飛び越えて振り返り様に叩くやり方が効くか試してみたが、こちらにも効いた。

 アリはどちらも、方向転換する際にいちいち立ち止まる癖がついているようだ。

 蜜玉と兵隊アリの顎を剥ぎ取る。

 胸の甲殻は昨日のがまだ余ってるし、使い道をまだ考えていないので荷物になると思い取らなかった。



 それから、さらに北東へと走り。

 途中、ひび割れたアスファルトの道を見つけ、それに沿いながら進むこと30分ぐらい。

 赤茶けた平原に浮かぶ灰色のビルの群れを見つけた。




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