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第3話 町へ

 ステータス


 Name  サトシ

 Age   20


 Hp  100

 Sp  100


 Str   100.0

 Vit   100.0

 Int   90.0

 Agi   105.0

 Cap   1.0



 スマホに映ったステ-タスの表示だが、項目をタップすることで、詳細を知ることが出来た。

 ・まずHpは生命力のことで、0になると死ぬ。

 ・Spはスタミナで、持久力のことだ、走ると減る。

 ・Strは筋力で、100で一般の平均らしい。

 ・Vitは体力で、体の頑丈さや病気や毒への免疫力に関係する。

 ・Intは知力で、頭の良さや記憶力を表す、これだけ低いとは・・、お、俺はバカだったのか・・

 ・Agiは神経の良さを表す、反射神経や手先の器用さなんからしい。

 ・そしてCapだがCapacity(容量)の略で、アーティファクトの能力を受け入れられる限界数を指し示すらしい。

 

 1.0だから俺は1つまでしかアーティファクトを装備できない、だがこの能力はこの世界に適応していく過程で徐々に上がっていくらしい。

 やがてはいくつも付けられるようになると思う。


 こうして見ると、ちょっと手先の器用なバカって感じだな。

 身も蓋もない感想だが、これからの身の振り方を考える上でステータスは留意しておかないと。


 そして、残りのアプリを見るが残りは


 ・サルでもわかる機械修理法 -初心者編-

 ・プログラムハッカーVer.1.0

 ・各種図鑑

 で、専門書とハッキングツールと図鑑だから、用が出来た時に読めばいいか。



 さて、身の回りのチェックも済んだし、これからのことを考えるか。

 まず、第一の目標は生き抜くこと。

 次にアーティファクトを見つけて、戦力強化及び資金源とする。

 そして余裕が出来たらこの世界を冒険する。

 くやしいが異世界を旅したいと思っていたのは事実だ、神にいつか仕返しをしたいという気持ちもあるがそれは正直諦めている。

 これだけのことを出来る非常識な相手に勝てるとは到底思えないし、アプリの機能などを使えなくされたら人生詰みそうだ。

 生き抜くという第一目標を達成させようとするなら、神に関しては考えないようにしようと思う。


 生きるためには衣食住が要る、治安の悪そうな世界だし安全もか。

 何をするにも金が必要だし、仕事を探さなければな。

 まずはオートMAPに映っているチェルシーという町を目指すか。

 ここから南西に5km、歩いて1時間半ぐらいか。






 あれから3時間ほど歩いて、町の入り口へと辿り着いた。

 思ったより時間がかかったのは、途中アリの化け物を見かけ、それを遠くから観察したりしながらやりすごしていたからだ。

 遠目で確認したので正確な大きさは判断できないが、大型犬ぐらいの大きさであった。

 さらに途中でアーティファクト探知機のスイッチを入れて、腰のベルトに引っ掛けながら歩いていたが反応はなかった。

 どういった場所にアーティファクトは在るのだろう?

<探索者>だとやっかいな罠や自然現象、化け物の巣なんかによくあったが。

 そういったところだと嫌だなぁと思う。



 町は思ってたよりもずっと大きかった。

 遠目から見れば、小さな小屋や2階建ての建物が乱雑に建て並ぶ、奥には高い壁が横一列に視界をさえぎるように延々と続いている。

 その奥には、いくつかの高層ビルと巨大な工場のような物が見えてた。

 近くに寄れば、手前にある小さな小屋の乱立する一帯が、スラム街なのだと気づかされる。

 道端に座り込んでいる者、何故かコップを差し出しながら土下座をする子供(物乞いか?)、商品らしきガラクタをゴザに広げるおっさんに遠くで煮炊きをしているおばさんたち。

 遠くからただよう、肉を煮るにおいに、何処からかただよう糞尿の臭い、そして煙の焦げ臭さが鼻につく。

 あまり長居はしたくない場所だ。

 ひび割れたアスファルトの道を急ぐ。



 足早に壁まで移動する。

 途中、自分を見る人々の目に恐れのようなものがあるのが気になった。

 もしかして銃を下げて町に入るのはまずいだろうか?



 壁の正面まで来た、壁は高さ10mで入り口は横に10m、奥にも20mほど続いていてトンネルの様だ。

 入り口の左右にはバリケードがあり、その後ろに兵士らしき人たちが座っている。

 壁に近づいたところで声を掛けられる。


「そこのおまえ止まれ!」

 兵士に何の用で来たか?、所属は?と誰何すいかされたので、ここまで来るまでに考えていた言い訳「山奥から来た、仕事を探している。」と言ったところ、胡散臭げに見られた。

 やはり、俺は頭が悪いらしい。

 黙っていても余計あやしまられるだけだろうから、再度仕事が欲しいだけだと言葉を連ねる。


「わかった、わかった、ハンターギルドはこのまままっすぐで突き当たりを右だ。突き当たりに看板があるから、それに従え。」

 と言って、兵士は右手を差し出してきた。


 最初、握手かと思ったが兵士が右手をあごで指し示す態度から賄賂か、と理解するが差し出せる物が無い。

 武器に探知機は手放せないし、せいぜい渡せるものといったら食料くらいか。


 バックパックを開けて、中身を確認すれば3日分の食料、片手大の丸パンとソーセージが9つずつ厚手のビニール袋に入っている。

 パンではさすがにしょぼいかと思い、ソーセージを差し出す。

 ソーセージはドライソーセージで、いわゆるサラミだ。

 15cmほどで、親指と人差し指で作った輪ぐらいの太さのある、塩分のきつそうなソーセージである。

 もしかしたら怒られるかとも思ったが受け取った兵士はすこし目を見開いた後、満足そうに懐にしまった。

武装に関して尋ねたいが、これ以上食料を取られるのも癪なのでこちらからは聞かなかった。



 荒れ果てた世界だ、やはり食料は大事なのだろう。

 大阪の飴をくれるおばちゃんがこの世界に来たら、みんなの人気者になるだろうと益体やくたいも無いことを考えながら、ゲートをくぐる。


 20mほどのトンネルの様な通路を歩くが、ここが只の通路ではないことがすぐわかる。

 左右の天井付近にいくつかの穴が開いており、そこから兵士の姿が見える。

 不振な動きをすればあそこから撃たれるのであろう。



 緊張しながら監視路を抜けると、外よりもきれいな町並みが出現した。

 道は多少デコボコしてるが修復されたアスファルトで、大きな通り沿いに店や、4階より上が吹き飛んだようなビルが建ち並んでいる。


 人通りが多く、雑然としているが外のスラムとは決然とした違いがある。

 臭いだ。

 荒野の埃臭く、何も居ないかの様な自然の香りでもなく、スラムの糞尿交じりの臭いでもない。

 余計なものがなく、ただ人のにおいがしている気がした。






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