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第32話 巨大アメーバの依頼書

前話のCap値が間違ってたので修正しました。

 ざわざわ、と誰かが身支度をする大部屋特有の気配を感じながら、いつもの宿で目覚める。

 昨日はトカゲや巨大アメーバに追い回されて、散々な1日だったな。

 裏庭の井戸で顔を洗い、スッキリしたところで身支度をする準備を始める。

 まずは朝のステータスチェックからやるか。


 ステータス


 Name  サトシ

 Age   20


 Hp  100

 Sp  100


 Str   151.0 (+14.0)

 Vit   130.0 (+11.0)  

 Int    96.0  

 Agi   120.0 (+5.0)

 Cap   3.0  (+0.2)


 預金 1179ルーブル (+24)

 所持金 9455シリング


 筋力や体力、神経の速さなどおおむね上がっているな。

 知力は・・、そのうち上がるだろ、多分。

 それよりもCapが3.0まで上がった。

 これでアーティファクトを3つまで装備できる。

 今持ってるのが、クリスタルエッグ、スパークトルマリン、オブシディアン・タールの3種類だから、これらを全部付けられるようになった。

 これからは常にスタミナアップと重量軽減の効果を持ち合わせられるようになったぞ。


 次に昨日使った分の弾を弾倉に補充して、身支度を整えたら受付に行く。

 ロックさんから今日の分の水を買って、受付にあるイスに座って待つ。

 トテトテと階段を下りてくる音がする。


「おまたせにゃ。」


「うん、じゃ、行こうか。」


 まずは屋台のおばさんの依頼を果たすために西の川辺へと向かう。

 ハゲネズミ獲りだ。


 西門を越え、スラムの先にある川辺へとやってきた。

 まだ朝早く、涼しい。

 川を渡ってきた、水分を含んだ風がひんやりとしていて気持ちいい。


 ミケちゃんが早速川辺でカエルを獲っている。

 カエルはハゲネズミをおびき出すエサだ。

 その後、近くの原っぱでカエルを囮にして、ハゲネズミを2匹狩る。

 朝の肩慣らしにゃ、と言って2匹ともミケちゃんが硬鞭こうべんの一撃であっさり倒す。

 何もしてない俺は、ハゲネズミの血抜きと運搬をすることにした。

 アーティファクトの力があるから重さを感じないし、楽なものだ。

 カエルは役に立ってくれた礼に逃がすことにした。


 北門の市場へと向かう。

 いつものうさぎのおばさんの屋台へ。


「おはようにゃー。」

「おはようございます。」


「はい、おはよう。そこ、座んな。」


「ネザー姐さん、ネズミ2匹持ってきたにゃ。」

 俺がバックパックから取り出す。


「おお、ありがとよ。200シリングだよ。」

 ミケちゃんが受け取り、俺にも半分くれた。

 ありがとうございます。


 注文を済ます、俺がネズミのから揚げに煮込みとパン。

 ミケちゃんはネズミの煮込みと串焼きを頼んでいた。

 食事をしながら、うさぎのおばさんと話した。


「今日はカエルを売りに来る子が少ないんだよね、やっぱ昨日言ってた巨大アメーバとかのせいなのかねぇ?」

 うさぎのおばさんは心配そうに言う。


「ポチも今日は来てないかにゃ?」

 ミケちゃんも友達が心配なようだ。


「ポチも今日は見ないねぇ。」


「そうかにゃ・・。」


 しんみり、としてしまった。

 うさぎのおばさんに串焼きの盛り合わせを包んでもらえるよう、追加注文し食事を終える。

 串焼きの包みをもらい、屋台を出る。


「お弁当にゃ?」


「いや、ポチ君におみやげ持ってこうと思って。」


「それは良いにゃ。ポチに会いに行くにゃ。」

 ミケちゃんのしっぽが少し上がり、ゆらゆらとしている。



 ポチ君が心配なので東のスラム近くの川辺へと向かう。

 川辺へと着いたが、排水溝の近くには誰もいない。

 そこからさらに東へ行き、アメーバの穴近くにポチ君たちの姿を見つけた。

 川辺にはたくさんのスラムの子たちが群がり、採取をしているようだ。


「おーい、ポチー。」


「あ、ミケちゃんだ。おーい。」

 ポチ君が振り返り、手としっぽを振っている。


「すごい数の子たちが集まってるにゃー。」


「うん、だからなかなか獲れなくてさ。まだ1匹だよ。」

 と、言いつつもミケちゃんに会ったからか、しっぽは揺れている。

 根が明るい子なんだな。


「お弁当あるから食べるにゃ。」


「え、本当? くれるの?」


 俺はバックパックから串焼きの包みと水筒を出し、見せる。


「さ、土手に上がるにゃ。」


 土手に串焼きの包みを広げ、水筒も開ける。

 串焼きの盛り合わせはネズミ肉が3つで、それぞれ塩味、ハーブ味、唐辛子味になっている。


「わぁ、いいの?」

 ポチ君がしっぽを左右にブンブン振っている。


「あちき、塩味もーらい。」

 ミケちゃんはさっき食べたばかりなのにまだ食べるようだ。


 ポチ君が残りの2つを食べたが、唐辛子味を食べた時はヒャンッと鳴いていた。

 川辺にはまだ採取を続けている子たちがたくさんいる。


「大変そうだね。」


「はい、排水溝の近くは良い採取場だったんですけど、今は近寄れないから。

 これだけ一箇所に集中しちゃうとなかなか獲物が獲れないし、これから先大変かも・・」

 さっきまであんなに元気良く揺れていた、ポチ君のしっぽが地面にペタンとしてしまった。


「そうか・・。」

 ミケちゃんが俺の腕を引っぱってくる。


「おにいさん、ここらへんの子は昔のあちきと一緒で自給自足で生きてる子が多いにゃ。

 寝る場所なんかは世話してくれる人がいるけど、食べれなくなったら大変にゃ。

 なんとかならないかにゃ?」

 ミケちゃんは懇願する目で、俺の目を覗いてくる。


「・・とりあえず、ギルドに行ってみよう。誰か巨大アメーバ退治の依頼を受けたかもしれない。

 おかまさんに聞いてみよう。」


「そうだにゃ。行くかにゃ。」



 ポチ君に別れを告げ、ギルドへと向かう。

 東門を越え、西門近くのギルドへとやって来た。

 いつものおかまさんの受付へと挨拶に行く。


「こんにちわー。」


「いらっしゃい、買い取り?」


「いえ、巨大アメーバの依頼はどうなったのかな? と思って。」


「あれなら、まだねぇ。依頼書は貼ってあるんだけど、誰も受けに来ないわぁ。」


「そうですか。」


 依頼書は壁に貼ってあるそうなので、ミケちゃんと一緒に見に行く。

 依頼書には巨大アメーバの特徴と賞金額などが載っている。


「えーっと、なになに、賞金は3000シリングで討伐部位は核、他の素材は別途買い取り・・と。」


「3000!かにゃ。結構良い値段にゃ。」


「たしかに。でも銃が効かない相手だから、もっと強力な武器を使えないと倒せないからなぁ。」


 あの巨体に、絡みつく性質を持ったアメーバと接近戦をするのは無謀だ。

 相当、強力な武器でないと難しいのだろう。

 強力な武器なら維持費も弾薬代もそれなりに掛かりそうだ。

 高ランクのハンターから見ても、3000シリングでは旨みが無いのかも。


「おにいさん、どうするにゃ?」

 ミケちゃんは懇願した目で見てくる。


 この目には俺は弱い。

 さて、どうするか。


 現状、俺の武器はハンドガン(グロック17)とハンマーだ。

 だが、巨大アメーバにはハンドガンは効かなかったし、ハンマーで叩くのは自殺行為だろう。

 俺の一番の武器が通用しなかった以上、無理か?


 いや、俺の本当の武器はSHOPアプリとアーティファクトだ。

 それらを使えば・・

 排水溝近くの地形を思い出す。

 今、俺の使えるアーティファクトで何ができるか・・

 うーん、倒せるかどうかはわからないが、やってみるだけの価値はある作戦を思いついた。


「ミケちゃん、俺に考えがあるから、とりあえず受けてみようか?」


「本当かにゃ?! あちきも手伝うにゃ。」

 ミケちゃんは両手を胸の前でグッと握り、しっぽもピンッと上がっている。

 戦意は十分みたいだな。


 依頼書を剥がし、おかまさんの所へ持って行くことにした。



明日は休みます。

続きは火曜の夜に投稿する予定です。

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