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第158話 商品案内2

すいません、遅れました。

「それでは次に行きましょう」

 そう言われて次に案内されたのは6輪のバギーだ。


 色は深緑、全体的に形は四角くゴツく。

 前後に付けられたバンパーも鉄骨を車体に沿って折り曲げたような武骨さだ。

 足回りは前側2輪、少し間を開けて後ろ4輪で、タイヤと車体に取り付けられた泥除けの隙間もコブシ2つ分程に余裕を持って開けられている。

 座席は4つ、その後ろに座席2つ分ほどの狭い荷台スペースが空いてある。

 オープンカーのようで天井は無く、戦車のように武装も取り付けられていない。


「これは良いですよー、先ほどの軽戦車の次におすすめです」

 バルバトロイさんが営業トークを始める。


「頑丈そうですね」

 触ってみると鉄の冷たさがじかに伝わる。

 軽く叩いてみるとコッ!と軽妙な音を立て、衝撃がそのまま返って来て骨に伝わる。

 鉄は硬く締められていて、厚みもそれなりにありそうだ。


「こちらは硬い高炭素鋼で外装が作られていまして厚みは1cm、拳銃弾はもちろんのことライフル弾でも小口径弾までなら弾きますよ」


「小口径ってどのくらいまでですか?」


「5.45mmまでですね。それ以上となると7.62mmでは外装に対して直角に当たった場合、貫通する可能性があります。

 それ以上の12.7mm弾では防げませんね」


「なるほど」


「外装は硬く作られていますがフレーム部分、特に足回りは弾性の高いクロムモリブデン鋼を使っているので地面から受ける衝撃を緩和しやすくしてあります。

 6輪で加重が分散する分、サスペンションも柔らかめに設定してありますので乗り心地が良いですよ」


「ふーん」

 そう言ってミケちゃんが乗り込む。


「んー?」

 シートをもみもみ、固さのチェックだ。

 お眼鏡にかなった様で今度はおすまし顔をしながら席に座る。

 ハンドルを握って小刻みに動かしながら時々、くいっと後ろを向く。

 なかなかご満悦の様で口元が上がってきた。


 不意に上を向き、あれっ?と首を傾げる。


「これ、屋根が付いてないにゃ?」

 無い物を探すように手を振り上げた。


「こちらはオープンカーになっていまして、急に雨が降り出した時などはこちらのボタンを押します、と……」

 バルバトロイさんが助手席の前のコンソールを大きな手で器用に弄ると、後部座席の後ろから布張りの天井がせり上がって座席を全て覆った。


「おー、すごいにゃ!」

「わー」

 ミケちゃんとポチ君が布の部分をツンッと突く。


「こちら特殊な合成繊維で出来てまして、布としてはかなり丈夫に出来ています。

 銃弾は防げませんがナイフ等の刃物ぐらいでしたら、表面を滑らせることで防ぐことが出来ます」


 その言葉に俺も触ってみるが、布張りの傘を触ったような手触りだ。

 厚みはカーテンほど、それなりに丈夫なのだろう。


「戦車ほどではないですが丈夫で、車体が重いのですがそれでも最大時速180km。

 オープンな座席が武器を選ばず使えるということで、こちらハンターの皆様に人気の商品になります」


「なるほど」

「確かにゴツくてでかくて良い感じにゃ」

「だねー」

 ミケちゃんたちにも好評のようだ。


「こちら、どうでしょう?」

 バルバトロイさんが俺へと問いかけてくる。

 性能的には良いとは思うのだが、一つ気になる点が。


「荷台はあれでいっぱいでしょうか? もっと広いやつなんかはあったりしますか?」


「んー、こちらのタイプですと荷台はこのサイズが標準になりますね。

 カスタムサービスで荷台の底板を折り畳み式にして、使うときには倍のスペースを確保できるように改造できますよ」


「えっと、それはやっぱし有料ですよね?」


「はい、エンジンの種別など初期パーツの選別は無料ですが、カスタムとなるとお値段を掛けてしまう事になってしまいます」


「ちなみにいくらぐらいでしょうか?」


「荷台の伸張であれば30万ですね。他にも装甲の追加やナビの設置など皆様、よくご購入になられていますよ。

 ほら、こちらのナビなどどうでしょう?

 こちらはフロントガラスに直接投影するタイプで、運転の際、ナビを見るために前方から視線を外すことなく使える優れもの。

 当社の人気商品になります」

 バルバトロイさんが何処からか取り出した四角いメモリースティックみたいなものを、運転席のコンソールパネルに差し込むと。

 フロントガラスに文字が映り、ナビゲーション音声が聞こえてきた。

 ガラスの中央下辺りに小さくこの辺と思われる地図が映る。


「あ、後で考えてみます」

 MAPアプリがあるし、ナビは特に要らんな。




 次に見るのは軽トラだ。

 目の前には座席が4つと、通常の軽トラよりも乗車スペースが広く、その為か荷台がやや狭く見える小型トラックがある。

 小型と言っても先ほどのバギーよりも一回り大きい。

 色は鮮やかな乳灰色の緑、エメラルドグリーンだろうか。


「こちらも当社の人気商品となります。主にトレーダーの方々が買われていきますが、ハンターの皆様にも人気ですよ」


「へー」

 軽トラに触れてみる。

 軽く叩くとコンッと軽い音。

 衝撃が内部へと抜けていく感覚、……壁薄いな。

 振り返る。


「えー、こちらは移動用の一般車両でしてー。ええ……外装は3mm厚の鋼鉄になります。

 一般車両ですので戦闘は想定してなく、銃弾は防げません」

 バルバトロイさんが言いづらそうにしていた。

 その横をお構いなくミケちゃんが通り、荷台によじ登っていく。


「お、今度のは広いにゃ」

 前転するように荷台に転がり、今度は体を伸ばして横にごろごろ。


「む、この感覚……」

 そこにポチ君も合流し。


「わー、リアカーに似ているねー」


「そうにゃ! あちきのマイカーに似てるにゃ」

 そんなことを言いながら二人が荷台で遊んでいる。

 俺は運転席の方へ。

 内部を見ると、この辺はバギーと変わらないかな。


「こちら、天井にサンルーフが付いていまして、こちらのボタンを押しますと天井が開きます」

 バルバトロイさんが反対側のドアからゴツイ手をにゅっと入れてくる。

 思わずビクリとするが、そのまま器用に天井のボタンを押した。

 天井も鉄板なのだが、それがスライドして開いていく。


「ふーむ、ここから直接這い出て荷台に移る事も出来るってことか」


「ええ、それとハンターの皆様からの要望で、長物を使う時は座席の横窓では使いづらいとの声が多くて」


「ああ、なるほど」

 ライフルなんかはドアに付いた窓からでは撃ちにくそうだ。


「こちらもカスタムサービスで装甲の追加やナビの設置が出来ます。

 装甲は5mm厚の物までになりますが」


「バギーのような10mmの物は付けられないんですか?」


「かなり重くなってしまうので、エンジン的にちょっと……。

 それと荷台伸張もできません、車体バランスが悪くなってしまうので。

 それよりもナビは如何ですか? こちらにも先ほどのと同じものが使えます」


「後で考えてみます」

 ナビは要らないです。



 最後にサイドカー付きのバイクだ。

 これは1台しかなく、しかも最大で3人乗り。

 これは初めから候補にならないかなあ。


「これは皆様の人数的に厳しいですよね。でも、バイクならではの走る爽快感があります。

 セカンドカーにどうでしょう?」

 バルバトロイさんが押してくる。


 ミケちゃんがバイクに近寄り、そのままサイドカーの中へとすっぽり納まる。

 足を伸ばし、そのまま中へと沈みくつろいだ姿勢。

 か、思えばへりに顎を乗せキョロキョロ視線を動かす。


「コレは良いにゃ。なんか落ち着くにゃ」

 ミケちゃんは気に入ったようだ。



 とりあえず4台とも見てみた。

 予算的に買えるのは後の3台だが。

 バギーが1120万、軽トラが800万、バイクが250万で予算が1420万。

 軽トラとバイクが両方買えるが……セカンドカーははたして必要なのだろうか。

 カスタム料金も考えると少しは余裕を残しておいた方が良さそうだし。

 ふーむ、と悩んでいると。

 ミケちゃんとポチ君が軽トラに近寄って行き、ミケちゃんは荷台によじ登り、ポチ君は運転席に座る。


「ん?」

 ミケちゃんが荷台のへりに顎を乗せ、こちらを見。

 ポチ君はハンドルを握ってニコニコしていた。



今週の投稿はここまで、次の投稿は金曜日(目標)になります。

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