第12話 アーティファクト検証
ステータス
Name サトシ
Age 20
Hp 100
Sp 100
Str 101.0 (+0.5)
Vit 101.5 (+0.5)
Int 92.0 (+2.0)
Agi 106.0 (+1.0)
Cap 2.0 (+0.8)
預金 6ルーブル
ステータスのCapが0.8上がって2.0になっている。
ステータスを信じるならこれでアーティファクトを2個装備できるはずだが・・。
何故、一気に上がったのか?
思い当たる点はある、あのアーティファクトの暴走か。
暴走したアーティファクトの力を体の芯から受けることで強制的に上げたのではないか、と思う。
本気で死ぬかと思ったからもう一度試すつもりは無いが。
とりあえず明日、本当にアーティファクトを2個装備できるか試してみるか。
さて今、俺が持ってるアーティファクトはクリスタルエッグにオブシディアン・タール、そしてスパークトルマリンが2個だ。
スパークトルマリンが余ったので売ってみたいと思う。
SHOPアプリでアーティファクトだけは買い取ってくれるのだ。
SHOPアプリを起動する。
画面に購入、売却、改造の3つの選択肢が出るがその中から売却を選ぶ。
画面に出る売却の手順書きを読むならこの画面にアーティファクトをくっ付けるだけでいいみたいだが。
画面にスパークトルマリンを近づけたら、発光した後そのまま消えてしまった。
これでいいのか?次に購入画面を見てみるか。
うむ、画面上に表記される預金が2006ルーブルになっている。
SHOPアプリで売っている商品を眺めるが一部商品はロックが掛かっており薄い灰色の文字で名前しかわからない。
これはまだ買えないってことか、強化外骨格のアーマーとか興味あるんだがな。
俺の預金で買えそうなのは拳銃だとハンドガンに357マグナム、ライフルでセミオートライフル、後は近接武器ぐらいか。
防具は戦闘服を含めた大体の商品が買えるみたいだが。
さて困った。
欲しい物はあるが今後の収入が不安定な以上、先につながる物を買いたい、いわば投資だな。
だがハゲネズミを倒して手に入るルーブルはたったの1。
これでは銃弾の方が高いので銃は使えないし、現状防具に不満も無い。
俺が今、ハンターとして底辺の生活をしてる以上、高価な武器を使っていては維持費の方がかかることに気づいてしまった。
武器とか買おうと思ってたんだけどなぁ、いらねぇな。
あとは上位のアーティファクト探知機と食料か。
探知機は上位の方が探索範囲も広がり、反応指示も正確になるので見つけやすい。
でもいま買えるのが中位のコンパス型探知機なんだよな、これは1000ルーブル。
欲しいのは上位のレーダー型探知機だ、こっちは3000ルーブルもする。
今回は諦めるか。
食料は貴重なルーブルを消費するまでもないし、今回の買い物は見送りだな。
もうやることもないし、寝るか。
次の朝、食事をし、宿のおっさんから水を買って、出かける用意を済ませ、昨日と同じで西の川辺に向かう。
今朝はやることが2つある。
1つはアーティファクトの装備の検証ともう1つはいつも道理のハゲネズミ狩りだ。
アーティファクトの検証だが暴走した場合が怖いのでミケさんに手伝ってもらおう。
それにカエルも必要になるかもしれない。
西の川辺でミケさんがカエル獲りをしてるのを見つけ、声をかける。
「おはようございます。」
「おはようにゃ。昨日はハゲネズミありがとにゃ。」
「いえいえ、こちらもお世話になりましたから。
ところで今日もおねがいがあるのですが。」
「何にゃ?」
「今日もこの後ハゲネズミ狩りをしようと思うんですけど撒き餌に使うパンがもう残り少なくて、撒き餌用にカエルを譲ってもらえないかと。」
「それぐらいならいいにゃ。何匹いるにゃ?」
「とりあえず生きてるのを一匹おねがいします。」
「わかったにゃ、すぐに獲るにゃ。」
「あ、すいません。その前に俺のやる実験の手助けもおねがいできますか?」
「実験?」
「ちょっとした手品みたいなもんなんですけど、もし俺がやばそうだったら腰のポケットから石を取り出して欲しいんです。」
「・・、よくわかんにゃいけどやばいならやんにゃい方がいいんじゃないかにゃ?」
「どうしてもやんなきゃいけないんですよ。」
「・・、わかったにゃ。石を取り出すだけでいいんだにゃ。」
「はい、おねがいします。」
そう言って俺はアーティファクトの準備をする。
今、装備してるのはクリスタルエッグのみだ。
これにオブシディアン・タールを追加してみようと思う。
スパークトルマリンは昨日のことで懲りたし、ミケさんに感電してしまう恐れがある。
オブシディアン・タールなら暴走しても重さがなくなるぐらいで害はなさそうに思えるからだ。
腰の空き特殊ポケットにオブシディアン・タールを入れる。
入れてこれを装備すると思った瞬間、少しオブシディアン・タールが光ったように感じた。
・・
・・・・、何も起きない。
とりあえず暴走は無かったようだ。
次に能力検証でオブシディアン・タールの力を使ってみる。
指定した範囲の重さを吸い取るみたいだから背負ってるバックパックに軽くなれと念じてみた。
瞬間、背中から重さを感じなくなる。
おお、ちゃんと使えたぞ。
バックパックを外して手に持ってみれば、まるで風船のような軽さだ。
飛んでいくほどではないがふわふわと浮いている。
バックパックを手に乗せ、軽くぽんぽんと弾ませているとミケさんからジトッとした視線が。
「えーっと、もういいのかにゃ?」
ミケさんはいつでも俺に飛びかかれるように中腰の姿勢でずっといてくれたようだ。
「すいません!ありがとうございます。
おかげさまで実験は成功です。」
「そうかにゃ、で、それは何だにゃ?何でそんなふわふわしてるんだにゃ?」
「これは・・、えーっと、ちょっと特殊なアイテムで軽くしてみたんですよ。
ほら、浮くんですよ。」
俺は手の上でバックパックを軽く弾ませる。
それを見ていたミケさんも気になったのか、手でぺしぺし叩いてきた。
バックパックを左右に振る、ミケさんもそれに合わせてぺしぺし叩く。
そんな遊びをもう少ししていたいが仕事もしなきゃいけない訳でミケさんにカエルを獲って来てもらう。
ミケさんは川辺を見渡すと川沿いの水の中から生えてる草の一帯にそろりそろりと近づく。
ミケさんが草むらに近づき一瞬動きが止まったと思った次の瞬間、ダッと飛び掛り草の中に向かってネコパンチをしていた。
ミケさんが草の中から拾い上げたのは気絶したカエルだった。
ミケさんからカエルを受け取り、草原へと一緒に向かう。
ロープの両端にカエルと手ごろな石をくくりつけ、草原に放置して獲物がかかるのを待つ。
20分ほど様子を見るがハゲネズミは現れない、だがカエルがゲコゲコ鳴きだしたら5分と掛からず現れた。
カエルがハゲネズミに食われる前に駆け寄る。
今回は生き餌だ、できれば使いまわしたい。
ハゲネズミは驚きながらも俺とカエルを見比べ、俺と戦うことを選んだようだ。
ハゲネズミが戦意の高い生き物でよかった。
ハゲネズミが姿勢を低くくし構える、それを見てハゲネズミの手前で走る速度を落とした。
それをチャンスと見たか、飛び掛ってきたのでカウンターで蹴りをハゲネズミの顎に入れる。
手ごたえはあったが仕留めるまではいかなかったので痙攣しているハゲネズミを押さえ、首を切り裂きトドメをさした。
「ミケさん、カエルとさっきはありがとうございます、これお礼です。」
そう言ってハゲネズミを差し出す。
「お、ありがとにゃ。こっちからもおねがいがあるんだけどいいかにゃ?」
「なんですか?」
「あちきもハゲネズミを獲ってみたいにゃ、手伝ってくれないかにゃ?」
「いろいろお世話になってるし、喜んで手伝いますよ。」
「ありがとにゃ。」
だがミケさんは武器になりそうなものを持っていないので俺のナイフを貸すことにした。
さて無事に狩れるかな?
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