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第151話 屋台

遅れてすいません。

これから今日の分書きます。

 ジニさんたちを誘ってネザーさんの屋台に行く事になった。

 食事が違うクーンは宿で荷物の番をしてくれることになり、ミケちゃんがジニさんとランちゃんを連れてくる。

 宿を出ると、夜のとばりは足元まで過不足無く降りており、街に並ぶ街灯はことごとく破損していて、通りに立ち並ぶ商店から漏れ出す明かりを頼りに夜道を歩いていく。


「で、そこは安いのかい? あたしの方も今はちょっと厳しいんだけど」


「大丈夫にゃ! ネザー姐さんの所は安くてボリュームもたっぷりにゃ」


「お腹いっぱい食べれるのは良いですねー」

 ランちゃんが珍しげに通りを見回しながら返す。


「ほら、あそこだよー」

 ポチ君の指差す先が屋台がいくつか集まった屋外の食事場だ。


「いらっしゃい! って、あんたたち久しぶりじゃないか! どうしてたんだい」

 馴染みの屋台の中からうさぎのおばさんが声を上げる。


「姐さん、ひさしぶりにゃ。ちょっと東の果てにまで冒険しに行ってたにゃ」


「果てって所までは行ってないけどね。ご無沙汰しています」


「帰ってきましたー」


「ああ、おかえり」

 4人で久しぶりの挨拶を交わし、いつものカウンター席へと座る。


 メニューを見るが、久しぶりでも変更は無いようだ。

 相変わらずネズミ肉とカエル肉が専門のようで、パンとカエルの串焼きにネズミのシチューを頼む。

 ミケちゃんとポチ君も同じものを頼み、さらにから揚げを一皿。

 二人で分けるようだ。

 ジニさんたちも同じものを頼み、出来上がるのを待ちながら、これまでの旅路を語る。


「遺跡に行ったと思ったら、道に迷って(・・・・・)砂漠まで行くとか……。はいよ」

 ネザーさんがシチューをよそい、パンと一緒に配膳していく。


「まぁ、あちきらでも迷うことはあるにゃ」

 ハンググライダーの事はネザーさんには話してあるが、ジニさんたちにも話したら妙に食いつかれそうな気がしたのでぼかすことにした。


「まぁ、そんな感じで砂漠で迷っていたところ、こちらの人たちに助けを借りてようやく戻って来れました」


「そうなのかい、あたしからもありがとうね」

 ネザーさんがジニさんたちの前にパンを置いていくが、一つ多い。


「ん、心遣いありがたく。と言ってもこちらも仕事でやったこと。こちらが世話になることも有ったしな」


「ですねー。あ、このパン柔らかいですね!」

 ランちゃんがパンを千切り、その断面をまじまじと見る。

 砂漠では乾パンみたいなものが出されたが、向こうではあれが一般的だったのだろうか。


「シチューも野菜が多いな。水気が少なく、濃いのか。これでいくらなんだ?」

 ジニさんもシチューをスプーンでよそい、中身を探る。


「シチューは10シリング、パンは5シリングだよ」


「ずいぶん安いな」


「砂漠が高すぎにゃ」


「そうだね、定食1人前で300はちょっと……。」

 食料がえらく高かったんだが、ジニさんたちはあれで食べていけるんだろうか。


「あれは行商人向けの値段だからな。あたしらは配給制で金を払ったことは無い」


「ぼったくりにゃ」


「仕方あるまい。あたしらも食料は本国の方から運んできていて余裕が無いんだ。

 西から来る隊商全員に振舞えば干上がる」


「……ああ、大変なんですね」

 歩きだと1ヶ月は掛かる砂漠を、ラクダを使うとはいえ食料のような嵩張るものを運ぶのは大変なのだろう。


「本国に近い東の2つはまだ良いとして、西2つのオアシス村は常にカツカツだからな」


「遠いですもんね」


「ああ、西2つに関してはこっちで食料を補充したいが、直近のハスカウがあの調子だからな」

 水も高かったし、商人たちの溜まり場だ。

 碌な交渉ではないのだろう。


「だが今回、ラクダでここまで来られることは実証できた」

 ジニさんがシチューを口に運びながら言うと、頬を膨らませたランちゃんが。


「っほうですねー。ん、水も途中の川で補充できますし、あの子たち(ラクダ)はその気になれば1週間分飲み溜めできますし。

 西の1つから片道3日、西の2のわたしたちの村から4日なら十分買い付けに来れる距離ですねー」


「ああ、なるほどジニさんたちがここまで同行したのって」


「食料だけではなく武器なんかもなんだがな。後は弾を金に換えられる場所を見つけないとな。

 明日はそういった所を案内してくれるか?」


「んー、バザーに行った後なら」


「助かる。昔はそうでもなかったらしいんだが、最近は行商人どもは弾でしか払ってくれなくてな。

 こちらの通貨の手持ちが足りん。奴らの事情がわからんのだが、何でだ?」


「いや、俺に聞かれても」

 あの商人たちって内地の方から来た人たちみたいで、地方のそれとは毛色が違うような気がしたが。

 シャーロットさん辺りならこの辺の事情も知っているだろうか。


「ふーん、ランちゃんたちはこれからラクダで商売するにゃ?

 車は使わないのかにゃ?」


「車ってあれですよね。ロボットから昔のお金で買うって……」

 ランちゃんの答えにジニさんがわずかに眉を顰めた。


「戦車バザーがうち(首都)の方まで来るようになったのは最近のことだからな。

 その前はクレジットは紙切れ同然だったからな。それを西から来る商人たちがこぞって買い取ると言うことで……」


「あ……」


「六大部族中から集められたそうだ。それぞれの地下城砦も探ってな」


「地下城砦?」


「我々の出発点だ。それぞれの部族の首都となっている。表立っての首都はカルトマンということになっているがな。

 そんな訳であたしらはクレジットを持ってない」


「大変にゃ」


「それで弾をクレジットに換える事も知りたいんだが、その辺どうなんだ?」


「クレジットの一般的な交換レートは1シリングで10クレジットだったかな?

 ギルドで交換しようとすると、この倍になるけど」


「……ふむ、意外に安いのか?」


「車って何百万もするらしいにゃ」


「物が高いのか」


「やっぱし車は駄目っぽいですねー。あ、串焼きお代わりください」


「あ、あちきもにゃ」


「ぼくもー」

 旅の間、食事を控えめにしてたからか、子供たちがよく食べた。



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