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第10話 ミケさんとおしゃべり

 ハゲネズミを報酬にミケさんからこの町のことを教えてもらえることになったので川辺の石に座ってミケさんとおしゃべりすることにした。


 スマホの時間を見れば11:30となっている、この世界の時間のことがまだわからないが多分前の世界と一日の時間はあまり変わらないんじゃないかと考えている。

 ちょっと早いが昼飯にしよう。

 お昼を食べながらミケさんにいろいろ聞こうと思うのでバックパックから食料袋を取り出す。


 食料袋は透明なのでその中に入ったパンやソーセージを見て、ミケさんがそわそわしだした。


「にゃー、にゃー。ごはんかにゃ?ごはんにするのかにゃ?」

 そう言って俺のふとももに軽く爪を当てカリカリしてくる。


 かわいいなぁ・・、こんな娘とお知り合いになれただけでもこの世界に転生したのは良かったんじゃないかと思える。

 実家では親の動物アレルギーの問題でペットを飼えなかったからこんなに親しく動物と戯れたのは初めてだ。

 ・・って!いかん、いかん。

 ミケさんは亜人であって動物ではない、きちんと礼儀をもって接しなければ嫌われてしまう。


「はい、もうすぐお昼なので昼ごはんにしようと思います。

 よければ俺が普段食べてるものですけど一緒にどうですか?」


「ホントかにゃ?!さっきのアレもあるのかにゃ?」


「はい、パンとソーセージですがどうぞ。」

 そう言って俺はミケさんに食料を渡す、自分の分も合わせてこれで残りはパンとソーセージ共に4個ずつだ。


「ふわぁ・・、ソーセージなんてひさしぶりにゃ。おにいさんありがとうにゃ。」

 そう言ってミケさんはパンとソーセージを両手に持ってスンスンと嗅ぎ始めた、幸せそうだ。


「ミケさんは普段どんなものを食べているのですか?」


「ん、普段はカエルの塩茹でか串焼きを食べてるにゃ。

 あちきは娼館でまだ見習いだからごはんは出ないにゃ、自給自足にゃ。」


 それがハンターの真似事をしていた理由か、結構きびしい生活してるんだな。


「それは大変ですね。」


「まぁ、これでもあちきはマシな方だにゃ。

 ごはんは出ないけど屋根のあるところで寝れるし、姉さん方が時々ごはん奢ってくれるにゃ。」


 そこから食事をしながらミケさんの事情を聞いたのだがミケさん一家は住んでた村がミュータントの群れに襲われ、町まで逃げてきたらしい。

 命からがら町までたどり着けたのはミケさんとお母さんだけで、それでも母ひとり子ひとり頑張ろうと町で仕事を探すも亜人だからと断られつづけ結局娼館に身を寄せることになったらしい。

 だが、そのお母さんも半年前に突然居なくなってしまったそうだ。


「あの頃、東のスラムに妙な奴らがうろついてたにゃ。

 姉さん方は多分奴隷商人だからスラムに近づいちゃ駄目だって言ってたにゃ。

 多分、お母ちゃんはあいつらに連れて行かれたにゃ・・・・。」


 うわ、重いよ・・

 ミケさんいつも明るく気楽そうにしてるのにそんな事情抱えてたのか・・

 俺には返す言葉が見つからず、二人の間に沈黙が降りる。




「ま、お兄さんまで暗くなることはないにゃ。

 これはあちきの事情だし、それに奴隷商人はいつか殺すしにゃ。」

 そう言ってミケさんは笑うがその目に何かの決意があるような気がした。


「そういえばお兄さんの聞きたいことって何だにゃ?」


「あ、えーと。この辺の地理や常識とかですかねぇ。」


 そこからミケさんに聞いた話ではこの辺りは都市連合と呼ばれる地域でこのチェルシーの町もその都市連合に加盟しているらしい。

 都市連合の一番大きな町はキエフでこの町からずっと南に行ったところにあるそうだ。

 チェルシーは都市連合の中では一番北にある町でここより北は辺境地域とされてるらしい。

 ミケさんの住んでた村はここより北西に何日も歩いたところでその辺には他の亜人たちの村もあるらしい。

 亜人は町では歓迎されておらず少ないようだ。


「そういえばギルドで車に乗ったハンターを見たんですけど車って売ってるんですか?」


「車はたしかロボットの商人が売ってるとか聞いたことあるにゃ。

 ゼネラルにゃんとか?って会社にゃ。」


「へー、車も売ってるんだ。

 いくらぐらいするんだろう?」


「たしか普通のお金じゃ売ってもらえないはずにゃ。

 遺跡で見つかる古いお金じゃないと売ってくれないって聞いたことあるにゃ。

 クレジット?だったかにゃ。」



 ここで第3の通貨が出てきた。

 崩壊前の文明で使われていた通貨、クレジットだ。

 ミケさんが言うにはロボットの商人はこれでないと取引をせず、車が手に入らないらしい。


 クレジットは遺跡にあるそうだがこの遺跡というのがこの町の近くにある崩壊前の都市址としあとだそうだ。

 この都市址については後でギルドで聞いてみよう。


「腕の良いハンターはこのクレジットを集めてるってよく聞くにゃ。

 どっかの大きい遺跡を探検したハンターがお宝を見つけて戦車の軍団を買ったり、また別のハンターが戦車一つで辺境を開拓して新しい町を作ったとか聞いたことあるにゃ。」


「それはすごい!」

 戦車買えるのかよ!ロボットの商人ハンパねーな。

 くっ、戦車欲しい・・、戦車とまではいわなくても車欲しいな。

 ギルドで見た車はバギーで機銃が付いていた。

 あれで大きな獲物を追い回しでかいマシンガンでしとめるのはさぞ楽しいだろう。

 クレジットかぁ・・何とかなんないかなぁ。





 その後、町の飲食店なんかを教えてもらい。

 ミケさんを娼館まで送り別れた。

 途中、西のスラムでまたカツアゲをしてる連中を見かける、ミケさんが言うにはああいうのはどこにでもいるから関わらないほうがいいにゃ、とのことだ。

 西のスラムを足早に通り過ぎる。

 別れ際、ミケさんはよく川辺でカエル獲りをしているそうなので見かけたら声を掛けてくれと言われた。

 もちろん、明日も声を掛けよう。



 次はギルドに寄り、獲物の買取だ。

 ガレージに入り、受付におかまさんを見つけたので挨拶をする。


「こんにちは。」


「あら、いらっしゃい。ネズミを狩ってきたの?」


「はい、3匹おねがいします。」


「あら、相変わらず手際がいいわね。150シリングよ。」


「ありがとうございます。それとお伺いしたいのですが遺跡についてお聞きしたいのですが。」


「あら、それは勇み足よ。あなたにはまだ早いわ。

 遺跡に潜る条件はEランク以上なら構わないのだけれどギルドではDランク以上になってからおすすめしてるわ。」


「やはり危険なんですか?」


「かなり、ね。Cランクでも帰ってこないことはざらよ。

 この付近の遺跡は難易度が低いとされてるけれど、それでも奥までは誰もたどり着いていないわ。」


「そんなにですか・・、ではEランクに上がる条件はどうしたらいいのでしょうか。」


「Eランクに上がる条件は殺人アメーバを10体ギルドに納めることよ。

 あなたなら出来そうな気はするけど、もう少しネズミ狩りでハンターの仕事に慣れてからの方がいいんじゃないかしら?」


 心配されてしまった、まぁハンターになったばっかしの若造が遺跡に興味を持ち始めたら不安だわな。

 しばらくはハゲネズミ狩りでもしていよう、アーティファクト探索もまだ始めたばかりだし。





 俺はおかまさんに礼を言うとギルドを出る。


 まだ日は高い。

 西の川辺でアーティファクト探索でもするか。






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