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終わりゆく世界…?

やっと、三話目です・・・。ほかの作品を執筆していたため、少し遅れました。

他の作品もぜひ読んでください。

「えっと、きみは誰?どこから入ってきたの?」


目の前の状況に驚きながらも、ハルトは女の子にそう尋ねた。


「私はあなたの僕ですよ、ご主人様。あなたの心の中からやってきました。」

「・・・・・・。」


(答える気ないな、この子…)目の前の女の子の答えに肩を落としながらも、少しずつ落ち着いてきたハルトは、優しい声で尋ねた。


「えっと、君の名前を教えてくれない?みんなからなんてよばれているの?」


すると、目の前の女の子は少し考えるような顔をして


「特に名前はありませんが・・・。他の者からは〝アクエ″と呼ばれているみたいです、ご主人様。」

「えっ、〝アクエ″・・・?それって?」


ハルトは目の前の女の子の言葉に驚きを隠せないでいた。なぜなら、その子の言った名前は政府で名付けることが禁止されている〝精霊長″の名前だからである・・・。


精霊長の名前〝イグニス″〝アクエ″〝フルミニス″〝アウレ″は、政府で名付けることが禁止されている。人や魔族の魔力の源であると考えられている精霊の名前を付けることは、精霊に対して非常に不敬であると考えられたためである。しかし、目の前の女の子は自らのことをアクエと名乗った。それはつまり、女の子がそう勝手に名乗っていると考えるしかないのである。


「えっと、君は知らないと思うけどその名前は人や魔族につけるものじゃないんだよ・・・?だから、君の本当の名前を教えてくれる?」

「ですから、ご主人様。私はアクエ。水の精霊です。」


目の前の女の子はハルトに対して、さも当然であるかのようにそう答えた。



自らが精霊であると譲らない女の子に対して、ハルトは困っていた。(どうしたら、この子の本当の名前を知れるかな。少し無茶でも言うしかないか・・・)


「じゃあさ、精霊さんなら今日の俺の出来事とかわかるよね?今日何があったか教えてくれない?」


ハルトは内心ほくそえんでいた。(“シャドウ”のことは誰も知らないはずだから、この子の嘘を暴くことができる)ハルトがこの後のことを考えようとしていたら


「今日、ご主人様は“シャドウ”に出会い、精霊の力を使って倒しましたよね?」

「えっ!?なんでそのことを・・・?あと、俺が倒したって・・・。」


今度はハルトがアクエに尋ねる時間がやってきた。夜はまだまだ長い・・・。



アクエの話によると、ハルトの中に眠る精霊長の魔力に引き寄せられた“シャドウ”はハルトを襲い、魔力を吸い取ろうとしたらしい。そこで気を失ったハルトの代わりにアクエがハルトの体を使って、“シャドウ”を倒したらしい。その話が本当なら、アクエはハルトの命の恩人ということになる。


「だけど、いつから俺の中にアクエが・・・?今まで何の違和感もなかったんだけど・・・。」


ハルトの疑問に対してアクエは困った顔をした。


「私も定かではないのですが・・・、春の訪れとともに、気づいたらご主人様の中にいたのですけど・・・。心当たりはありませんか?」

「心当たりと言われても、特にはないんだけど・・・。それは仕方がないとして、これからいつも“シャドウ”に狙われるの?ちょっと落ち着かないんだけど・・・。」

「“シャドウ”に関しては心配しなくてもいいと思いますよ。ご主人様は今や“四神”ですから。」


そう、アクエの話が本当なら、ハルトは今や“四神”ということである。(そういえば、カナセが解剖したがっている研究者がいるって・・・)

その話を思い出したハルトはおかしな寒気を感じたため、自らが“四神”であることは他の人達には隠すことにした。アクエにもそのことはすすめられた。


「えっと、これからどうすればいい?“シャドウ”を倒していったほうがいいのかな・・・?」


ハルトの心配をよそに、アクエはこう答えた。


「いえ、その心配は必要ないと思いますよ、ご主人様。“シャドウ”は魔力が高い者に引き寄せられますから、ご主人様はご自身の身だけお守りしていればいいと思いますよ。」

「そっか、俺自身が餌のようなものなのか・・・。まあ、今更どうしようもないか。」

「・・・・・・。」


見ると、アクエが不思議そうな顔をしていた。


「どうしたの?まだ何かあるの?」

「いえ、ご主人様は怒らないのかなと思いまして・・・。ふつう、自分の命が狙われるとなると私たちを追い出そうとするものだと思うのですけど・・・。」


アクエの疑問に今度はハルトが不思議に思う番だった。


「いや、なんでアクエを追い出すの・・・?命まで助けてもらったんだし。」

「そうですか・・・。」


ハルトの言葉に照れたような表情を浮かべたアクエは、ハルトから顔をそむけてしまった。

それからハルトは思い出したように、


「ところで、ご主人様ってやめてくれない?ご主人様って柄じゃないんだけどな・・・。」

「そうですか、ではハルトって呼びますね。ハルト。」

「んっ、何?」


いきなり自分を呼んだアクエにハルトは笑顔で答えたが、その笑顔と反対にアクエは非常にまじめな顔をしていた。


「ハルトはこれから狙われるかもしれません。“四神”となったことで今までの生活は戻ってこないでしょう。ですが、心配することはありません。嫌になったらいつでも言ってください。多少のリスクはありますが、私たちが無理やり離れます。発狂するかもしれませんが、時間をかければ落ち着くと思いますので。そうすれば“シャドウ”に狙われる心配はなくなります・・・。」


アクエの目はどこか影を帯びていて、これまでの彼女の生き方を物語っていた。


「そうなると、アクエはどうなるんだ?生きていられるのか・・・?」

「私たち精霊長は人や魔族を憑代にしないと、不吉な災いを起こします。なので、普段は憑代を見つけて生きているのですが。そうですね、もう壊れた者を見るのは嫌ですから・・・。“シャドウ”に食われて消えるのもいいかもしれません。」

「なっ、何言っているんだ!」


そう言ってアクエを見ると、彼女は泣き出しそうな顔をしていた。


「・・・・・・。」


アクエの顔を見て言葉を失ったハルトは、彼女をそっと抱きかかえた。


「どっ、どうしたんですか、ハルトっ。まだ出会ったばかりですよっ。ま、まあハルトがいいなら・・・。」


アクエの言っていることはよくわからなかったが、ハルトは彼女の耳元でこうささやいた。


「大丈夫、俺がアクエを守るから。アクエは心配しなくていい。」

「ハルト・・・。」


そうつぶやいた小学生くらいの女の子は疲れてしまったのか、彼に抱きかかえられたまま眠ってしまった・・・。



「は、ハルトっ。起きてください。」


ハルトはおかしな声を聞いた。(なんだろ、この声・・・?母さんやユキナの声じゃないしな・・・)

そう思ったハルトはうっすら目を開けた。そこにはなぜか懐かしい幼馴染の姿があった。


「なんで、カナセがここに・・・?」

「ハルトを待ってたら、ハルトのお母さんが入れてくれたんです。それで、ハルトを起こしてきてって、言われて・・・。」

「えっ、母さんに!えっと、その恰好は大丈夫だったの?」


ハルトは不安に思っていたことを聞いてみると、カナセはため息をついて


「お母さんには、すぐにばれましたよ。お母さんの中では、私は男装の趣味があることになってます・・・。これもハルトが来なかったせいですからねっ。」

「来なかったって、まだ集合時間じゃないだろ。いつから待ってたんだよ。」


そう時間はまだ集合時間どころか、ハルトの起床時間ですらなかった。


「だって、早く起きてしまいましたし・・・。それに早く会いたかったので・・・。」


そう顔を赤らめたカナセの最後の言葉が聞こえなかったハルトは、


「ごめん、後の方聞こえなかったんだけど・・・。なんていったの?」

「だっ、だから。早く会いっ」


ピピピッ!ピピピッ! そう言ったところで無情にも目覚まし時計のアラームが鳴った。


「あっ、もうこんな時間になったのか。で、カナセなんだって?」

「も、もうっ、知りません!早く起きてください、ハルトはとんだバカやろうですっ!」

「えっ、何怒ってるの・・・?」


朝から幼馴染に理不尽に怒られたハルトは、先に身支度を済ませ朝食を食べることにした。(なんか忘れてる気がするんだよな・・・)そう思ったが、カナセが待っていることを思い出しすぐに朝食を食べた。

ハルトの脱いだパジャマは、上着のとこが少し湿っていた・・・。



「ハルトはまったく起きるのが遅いですっ!気づくのも鈍くて鈍感ですしっ!」

「起きるのはカナセが早すぎるんだろっ。鈍感って、カナセが来てすぐに起きただろ。」

「そういうところが鈍感なんです・・・。わっ、私がいない間、女の子と付き合ったりしなかったんですか?」


ちらちらとハルトの顔をのぞき見ながら聞くカナセの表情は、照れながらもハルトの言葉を聞き逃しまいと真剣そのものだった。一方、ハルトは今朝から思い出せないことにもやもやした気分だった。


「たしか中学生の頃に、同学年の子から告白を受けたことはあるけど。」

「えっ!?それで、付き合ったんですか・・・?」

「転校してきた子でさ、周りとうまくなじめてないみたいだったから、何度か声とかかけてたんだ。付き合いはしなかったよ、なんか恋愛って感じじゃなかったから・・・。高校が別になったからたまにしか会わないけど。」

「じゃ、じゃあ今でも会ってるんですか。その、付き合ったりとかはしないんですか?」

「そういえば最後にあったのいつだったかな・・・。最近会ってないように思えるけど、春休みに会えばよかったな。うーん、付き合う気はあんまりないかな。高校でうまくやっているかどうかだけ気になるけど・・・。」

「そうですか・・・。」


ハルトの言葉に安堵しながらも、カナセは気付いてないだけでいろいろな子が彼に思いを寄せているのではないかと不安に思っていた。


「そういえば、昨日はよく眠れましたか。昨日少し騒ぎがあったみたいなんですけど・・・。」

「騒ぎって、何かあったの?」


ハルトの何も知らない様子にカナセはあきれた様子でこう答えた。


「昨日、騒ぎがあったらしいですよ。被害者こそいませんでしたが“シャドウ”が現れたんじゃないかって。ほら、昔私たちが遊んだ公園で。」


そうカナセに言われてハルトは昨晩の出来事を思い出していた。“シャドウ”に襲われ、気を失ったこと。そして、アクエと名乗る少女から自分が“四神”であると告げられたことを・・・。



















アクエは小学校低学年ぐらいの女の子です。高学年ではないです。高学年の女の子は持ち上げるだけで一苦労ですよ・・・。(笑)

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