幼馴染と出会う・・・?
初投稿です
一週間に一度投稿できればいいなって思ってます
いろんなコメント待ってます
アドバイスや工夫すればいい点、くれたらうれしいです
朝、それは健やかなものであり、多くの者が目覚めるときである・・・。
それは少年、長谷川ハルトについても例外ではなかった。かけていた目覚まし時計よりも15分ほど早く目覚めた彼は、
顔を洗い朝食の準備をしている母親にあいさつした。
「母さん、おはよー。朝食って、もうできてる?」
母親にいつも通りあいさつした彼は、母親の返事を待った。
「できてるわよ、食べた後ユキナも起こしてきてくれる?あの子、昨日夜更かししていたみたいだから・・・。」
いつも通り返事をしようとしていた彼は不思議に思い、母親に尋ねてみる。
「ユキナって、今日から学校だっけ?」
「そうだったかしら・・・。あらっ、勘違いしてたわ、ユキナはまだ中学生だったものね。学校は来週からだったわね。」
そうして、彼は母親とたわいもない会話をしながら朝食を食べ、身支度を整えた後に、彼の後に
起きたのであろう父親と一言二言会話をした後、いつもより早く家を出たのである。
長谷川ハルトは登校しながら、目の前の生徒を目から離せないでいた。それは前を歩く同じ制服を着た男子生徒のことである。
前を歩く生徒は背丈や体格はやや小柄ながら、その歩き方には淀みがなく、歩くたびに左右に揺れる藍色の長髪の髪は、通りすがる女性がつい目で追ってしまうほど美しかった。
もちろん、ハルトは健全な男子生徒である。
男子生徒によこしまな気持ちを抱くことはない。しかしながら、彼はその生徒から目を離せずに奇妙な気分を感じていた。
この少年にどこかで会ったかのような懐かしさを感じるのである。もちろん、ハルトの知り合いにこのような友人はいるはずもない。
というよりも、その強烈な個性を持つ少年を忘れているなら、とうとう自分の頭はおかしくなっているのではないか、と思ってさえいた。
マンガやテレビを見た時に感じるデジャヴであろうと考えた彼は、急に何かにぶつかった。
「うわっ、なんだ!?」
見ると、目の前に先ほど前を歩いていたはずの少年が倒れていた。
(もしかして病気なのか・・・?)
本気でそう思った彼は、少年を抱え上げると近くに見えた自身の学校まで急ぐのであった。
保健室に入ったハルトは、先生に事情を話し、少年をベッドに寝かしつけた。
ふと、少年の顔を見ると、やはりどこかで会ったかのような気がする・・・。
彼が不思議に思っていると突然少年が目を覚ました。
「んっ、ここはどこ?」
見慣れない景色に驚いたのであろう少年はそうつぶやいた。
そして自分を見つめているハルトに気が付くと、驚き自分の顔をシーツで隠しながら
「ハルト・・・君?」
そうつぶやいたのである。
少年に突然名前を言われたハルトは、驚きながらも別のことを考えていた。
(まさか、知り合いだったのか!?確か、隣街に大きな病院があったな・・・。今度、行ってみようかな・・・。)
何も言わずに悲しそうな顔をしているハルトをみかねた少年は慌ててこう言った。
「この恰好じゃわかんないのは当然ですっ!僕、いや私はカナセですっ。私たち幼いころに会っただけだから・・・。」
少年もとい少女に、悲しそうな目で言われたハルトはある一つの記憶を思い出していた。
その昔、ハルトと仲良く遊んでいた魔族の少女のことを・・・。
「カナちゃん・・・?だけど、なんでそんな恰好を・・・。
もしかして、男装の趣味があったの?いわれてみれば、思い当たる節がいくつか・・・。」
ハルトに男装の趣味を疑われたカナセは、顔を赤らめてこう答えた。
「ないですっ、そんなのっ!この街には私を知る人が多く存在するからって、上からの命令なんですっ! やっぱ、変かな・・・?」
少し涙目の彼女から尋ねられたハルトはこう答えるしかなかった。
「いやっ、全然似合ってるよ!それより今朝はどうしたの、急に倒れて。驚いたよっ!」
あせりながらもそう答えた彼に、複雑そうな顔をしたカナセはこう言った。
「似合ってるのも困るんですけど・・・。“シャドウ”です・・・。私は見えない“シャドウ”からの攻撃を受けたの。」
“シャドウ”それは人だけではなく魔族を襲うもの。その存在は様々なものが見つかっており、
“シャドウ”に襲われたものは心を食われ、廃人同然となってしまうのである。
政府は“シャドウ”に対抗するため強い魔力を備わった者たちを集め、公共の対策部隊を整えていた。
その名も“ルーチェ”。イタリア語で「光」という意味である。
“ルーチェ”にはさまざまな部隊が存在している。殲滅部隊、探索部隊、鑑識部隊、などである。
「カナセは、いつから“ルーチェ”に?」
久しぶりに会った友達を昔のまま呼ぶことにためらいを感じたハルトはそう尋ねた。
少しさびしそうな眼をしたカナセは笑いながらこう言った。
「大体、3年前からです。“ルーチェ”に所属できるのは13歳以上だから。
私は生まれつき魔力が強く、しかも集中力が高かったから探索部隊に所属してるんです。」
殲滅部隊ではないことにハルトは安堵しながら、彼は思いついた疑問を尋ねてみた。
「そしたら、なんでこの街に?この街は“シャドウ”はめったに出ないはずなんだけど・・・。
もしかして、休暇か何か?」
ハルトの疑問に首を振りながら、カナセはこう答えた。
「それがそうでもないんですよね・・・。最近、街を保護するはずの警備部隊が廃人同然の姿で発見され たんです。ねぇ、ハルトは“四神”って知ってます・・・?」
“四神”それは、4種類の精霊長が身に宿った者のことである。古代、精霊は生きるものに力を宿らせると信じられていた。その精霊は4種類に大きく分けられることとなる。“火”、“水”、“雷”、“風”である。
生き物に活力を与え、ひっそりと暮らしてきた精霊はやがて、人や魔族と同化し、その魔力の元となった。
これが人や魔族が魔力を備えている理由であると考えられていた。
そのなかでも、特に精霊長が宿ったものは大きな魔力を備わっていることから、“四神”と呼ばれている。
そうハルトが説明を終えると、
「さらっと、この世界の仕組みを説明できるあたり、ハルトは賢いなぁ~。
だけど、知ってます?“シャドウ”はその魔力を食い物にしていることを・・・。」
ハルトに向けられたカナセの目はどこか少し虚ろであった・・・。
「実は“シャドウ”は魔力の大きいものに惹かれてくるの・・・。もしかすると、この街には“四神”がいるかもしれないんです・・・。」
そう言ったカナセに驚いた様子のハルトは尋ねてみた。
「“四神”がいたとしたら、“ルーチェ”つまり政府はどうするつもりなの?仲間にでもするつもりなの?」
「“ルーチェ”の考えとしては、仲間になってほしいってのが本音なんですけど、研究者の中には解剖したいっていう人もいるみたいですね。」
「えっ!?」
驚く、ハルトをよそにカナセは続けた。
「まあ、彼らの意見もわかりますよ。だって、精霊長に取りつかれたら発狂するか、
その強大すぎる魔力に器としての役割を果たせずに死ぬかのどちらかだから・・・。
知りたくもなりまよ、そりゃあ。」
さすがに引き気味のハルトを見たカナセはあわててこう言った。
「とにかく、危ないからあんまり外出歩いたら駄目ですよっ!私たちはいつも護衛してるわけではないで すからっ!それに“シャドウ”はいつ出てくるかわからないし・・・。」
幼馴染が本気で心配してくれているようなので、ハルトは彼女を安心させるためにもこう言った。
「わかったから、カナセも気を付けてね。そうだ、今度うちにでも遊びにきなよ。昔の思い出話とかもしたいし・・・。」
「はいっ!」
嬉しそうな顔をして、うなずく幼馴染を見てハルトは心から安心していた。
ハルトとカナセが話し込んでると、遠くから予鈴の音が聞こえてきた。
「あっ、そろそろ職員室へ行かなきゃ。私、呼ばれてたんでした。」
それからカナセは声を小さくしてこう言った。
「あと、このことは内密にね・・・。ハルトだから気安くしゃべったけど、機密事項ですから。」
そう言って急いで保健室から出て行ったカナセを見送ったハルトは、とりあえずこう思った。
(カナセって、職員室の場所知ってるのかな・・・?)
カナセと別れたハルトは自身のクラスを知るために、生徒玄関に行き、掲示板を見た。
ハルトは2-Bに自身の名前を見つけ、他にも知っている名前を見つけたことに安堵していた。
そこで、ふと彼はハルトの下のほうに“鏃カナセ”の文字を見つけ、カナセが自己紹介で何を言うのか想像しながら自身のクラスに向かった。
ハルトは自分の席を見つけ座っていると、
「よっす、ハルト!俺とマナカの結婚式にはぜひ来てくれよなっ!」
「なんで、朝一番に言うことがゲームの存在しない彼女のことなんだ、リョウ。今日も相変わらずテンション高いな、おはよう。」
がっくりと肩を落としたハルトに対して、まぶしい笑顔で声をかけてきたのは、友達の吉川リョウだった。
「おいおい、そんなこと言うなよ、ハルト~。俺はいつかマナカを迎えに行く魔法を完成させるんだ!そして彼女の王子様となるんだ!」
今までリョウをチラチラと見ていた女子達が完全に引きつった顔をしてる・・・。
そりゃそうだ。この吉川リョウ、黙っていれば、長身のイケメンなのだから。
どこからどうみても、モテ男だろうに・・・。だが、彼の本性は二次元LOVEの残念なイケメン。街でモデルのスカウトを受けたら、
「“お兄ちゃん、私のことそんな風にみないでぇ~”(リョウがはまっているゲーム)の衣装が着たいですっ!」
と、爽やかな笑顔で答える変態である。意味が分からない・・・。
もちろん、スカウトをしていた人はリョウのことをみなかったことにした。(賢明な判断だ。)
「何を我の近くで騒いでおる・・・。我の右手がうずくぞ・・・。貴様らの血を欲するとな・・・。」
またしても、個性的なあいさつをしてきたのは友達の廣瀬アイカだ。黒いローブを上から羽織って右手に包帯を巻き、目にオッドアイになるようにカラーコンタクトを入れている。
高校二年生になっても中二病が抜けない痛い子だ・・・。それにアイカとあいさつを交わすのは難しい。彼女にあいさつと認められないからだ・・・。
こんな話がある。ある日、アイカが普通の制服姿で登校した。話を聞くと、身体検査でローブと、包帯を取り上げられたのである。(先生、さすがです!毎日してやってください。)
アイカは普通にしていればかわいい女の子である。そんなアイカを見たある一人の男子生徒が思い切って告白した。
結果は泣きながら帰ってくる男子生徒を見れば一目瞭然だった。
しかしながら、アイカに話を聞くと告白をされていないという。どういうわけか聞いてみると、
(男)「廣瀬さん、付き合ってください!あなたの可憐な姿に惚れました!」
(ア)「我を呼び出すとはいかようかな、お主よ・・・。残念ながら、今日は我の機嫌は悪い・・・。ゆえに早く要件を言えっ!」
(男)「えっと、ですから付き合ってください!」
(ア)「付き合えとな、我に・・・。よかろう、していかなる儀式が行われるのだ・・・?」
(男)「えっと、しいていうなら僕と男女の交際を・・・」
(ア)「壇上での儀式か・・・?よかろう、それで祭壇はどこにあるのだ・・・?」
(男)「あの男女の交際なんですけど・・・」
(ア)「わかっておる!だから祭壇はどこかと聞いておろう!」
うん、男の子かわいそうだね。いい出会いがきっと待ってるよ。人は見かけで判断しちゃいけないんだよ。はあー、なんで高校二年生の始めからこいつらの近くの席なんだろ・・・。
とりあえず、先生が来るまでいつも通り騒いでいた。順応している自分が悲しい・・・。
先生が来ると、一度みんな自分の席に戻っていった。ちなみに、この国の教育では、魔法の使い方は教えていない。親から教えてもらえるし、基本の魔法は誰にでも使えるからだ。
基本的には、一般的な教育と変わらず歴史や数学などを教えている。魔法を研究しているのはその分野の専門の人たちか、リョウのような変人またはカナセのような政府の人達だけだ。
先生が自身の紹介と今後の行事予定を伝え終えると、こう言った。
「さっそくですが、みなさんにお知らせがありま~す。転入生を紹介します。鏃カナセさんです~。」
カナセが入ると、女子が息をのむ音が聞こえた。そりゃ、あれだけ美しい藍色の長髪だから、仕方がないね。
(えっ、アイカは?って。もちろんスルーです。後ろの席で変な呪文唱えてたよ。)
男子も食い入るように見つめる中、カナセは口を開いた。
「わたっ、いえ、ぼっ、僕は鏃カナセですっ!趣味はっ、えっと、人間観察ですっ!あっ、あと、ハル君、いえ、はっ、長谷川君とはお、幼馴染でしたっ!」
と言って、頭を下げた幼馴染を見て、ハルトは唐突に思った。
(なぜ、俺の名前を出すっ!あと、趣味おかしいだろっ。ほかにあるだろ、バードウォッチングとかっ!)
「個性的な自己紹介でしたねぇ~。それじゃあ、鏃さんは長谷川君の隣に座ってください。」
ちなみに、席は名前順なのでこの席の組み合わせは偶然である。
「それじゃあ、皆さんも自己紹介をしましょう~。一番の子からお願いします~。」
先生から言われた通り、自己紹介も終わり休憩時間となった。隣のカナセの席には人だかりができるかと思いきや、そんなことはなかった。
まあ、一年生から二年生に上がったばかりだから、他の人達は周りの人たちと話しているみたいだ。
何人かカナセのとこに来たが、カナセの緊張した様子に見かねてかすぐに他の人達と話していた。
唐突に、カナセのほうから
「ハっ、ハル君、いえ、はっ、長谷川君、僕の自己紹介はどうでした?」
と聞かれたが、どう答えるべきなんだろう・・・?正直に言うと、カナセはまず落ち込むだろうし・・・。とりあえず、無難に答えておいた。
「個性的でカナセの性格がよくわかったよ。(人見知りということが・・・)あと、ハルトでいいよ、幼 馴染って紹介されたし。」
「そうですか、よかったですっ。趣味は人間観察です、ということで落ち着いた性格ということがうまく 表現できましたっ!
すいません、幼馴染は咄嗟に出ちゃいました。」
心の中でこう思うハルトだった。
(うん、駄目だな、こりゃ。新学期そうそうまともな生活が送れる気がしない。)
定期的に更新したいです
春なので、いろんなことに挑戦します。