Chapter2-1
駄文。文才を恵んでくれ。誰か。
「・・・・・っ!?ぐぅ!?」
眩い光が視界を奪い、軽い浮遊感の後に訪れたのは背中の痛みだった。
何て言うか、軽く、痛いだけだがうめくほどには痛い。
痛みも治まってから、起き上がると、そこは林といった位の森の中だった。
「・・・・・冷たっ!ってかむしろ寒っ!」
やっぱりこちらも冬なのだろうか?
木枯しが凄い。
と言うよりは・・・・・
「むしろ俺の体の方が問題だよな・・・・・。下着だけって・・・・・。」
そう、こちらの世界はおそらく冬。
なのに俺は下着だけ。
風邪を引きそうである。
ま、それはともかく。
「ここは・・・・・?あれ?」
少し周りを見渡したら、少し離れた所に俺と同じように下着だけで震えている少女を発見した。
黒い翼に紫色の髪をした色白の少女だ。
でも、まさかこいつって・・・・・。
「小暮・・・・・?」
「え?誰ですか?・・・・・もしかして、あなたって・・・・・?」
「俺だ。木下だ。」
「木下か・・・・・。あら?」
「どうかしたか?」
「私の名前、言って見て?フルネームで。」
「小暮一葉だろ?・・・・・ん?」
「気付いた?」
「ああ、言われなきゃ自然すぎて気付かなかったな。向こう側の名前を言おうとすると、こっち側の名前に変換されるって所。」
「そうみたいね。こっち側で不都合が出ないようにするためのアフターサービスか何かかしら?向こう側の名前、こっち側の世界観とは一部の地方でしか合わないっぽいしね。」
「そんなもん俺が聞いてみたいよ。で、後は坂本だけなんだけど・・・・・。その前にいいか?」
「何かしら?」
「名前で呼んでいいか?何か堅っ苦しい。」
「別にいいわ。外国とかの映画でも基本名前呼びだし。」
「じゃあ俺長いからベルでいいかな?一葉。」
「そうね。ベル。」
その時、
何か後ろの茂みで何かが動いた。
うー、うーと、うなり声が聞こえる。
声の感じから人のようだが・・・・・。
「何?」
「と言うか誰?」
「見に行く?」
「一人で見に行ってよ。」
「・・・・・。」
仕方ないので俺一人で様子をうかがうと、茶髪の少年がうめいていた。
やっぱり下着だけである。
どうも腰を下にあった岩か何かに強かにぶつけたらしい。
と言うかここまで来たら、誰か分かる物である。
むしろ茶髪になっただけで変わってないし。
「坂本、何やってんだ?」
「痛でででで・・・・・ん?」
こっちに気付いたようだ。
「誰?」
「俺だ、木下だ。」
「痛ぅ・・・・・木下か・・・・・。俺ちょっと今手が離せない。」
「岩か何かにダイレクトにぶつけただけだろーが。」
「それだけがマジで痛いんだよ・・・・・?ん?後ろに居るのってもしかして小暮か?」
「あんただったのね。坂本・・・・・人騒がせな。」
どうやら運良く、全員大体同じ所に来れた様だ。
でも、なあ・・・・・。
「何て言うか、さ。」
「「?」」
「短い別れだったな、俺達・・・・・。」
「「・・・・・。」」
なんか、気まずい沈黙が。
「・・・・・それよりも。」
「どうした?坂本?」
「カチコチ過ぎだな・・・・・何かやだ。ジョージでいい。」
「じゃ、俺もベルで。で、何か言いたい事あったんだろ?」
「なんでお前ら下着なわけ?・・・・・寒ぅ!俺もかよ!」
・・・・・。
そういや、俺ら下着だけだったな。
・・・・・そういや、俺ら、下着だけ、だったな。
「・・・・・!!!」
つまり、女性と言う爆弾がいると・・・・・
「嫌ぁぁぁぁぁ!」
こうなる訳であって・・・・・。
*****
五分後。
「はの、なんへいうか、ほめんなはい・・・・・。」
「・・・・・。」
ま、皆様予想の通りだろう。
ジョージは思いっ切り顔を殴られて、俺は鳩尾に強烈なガゼルパンチをいただいた。
・・・・・。
マジで。
声、出ない。
息、できねえ・・・・・。
「にしても何よ、このゲームシステム?欠陥があるんじゃないの!?」
「ほんほ、ふみまへん・・・・・。」
「・・・・・っ。・・・・・。」
まだ、何か復帰できない・・・・・。
気付いたと同時に喰らったってのに・・・・・。
不意に、携帯の着信音の様な物が聞こえて来た。
プルルルル・・・・・。
そんな感じの音が。
「何かしら?この世界観ぶち壊しの音は・・・・・。」
「ふみあへん、すみまへん、すみません・・・・・。」
「う・・・・・これ、多分俺の携帯の音だと思う。」
何とか復帰した。
まだジョージは向こうの世界から帰って来てないようだが。
とりあえず、俺達は(仕方ないのでジョージは引っ張って連れて来た。)音の元に向かう。
そこにあったのは俺の向こうで持ってた携帯ではなく、スマホ擬きと俺がログインに使ったパソコンだった。
それはともかく、俺は電話に出る。
「もしもし・・・・・?」
「どうやら着いたらしいな。」
どうやらあの人からの電話のようだ。
「このままお前らに情報を教えるのも悪くないが、ちょっとパソコンの電源を入れてくれ。」
「分かりました。」
「誰と話してんの?」
「ちょっと黙ってて。」
「・・・・・。」
復帰したらしいジョージはほっといてパソコンの電源を入れると、勝手に何か操作が行われ、あの人が映った。
ただし、ノイズが酷く、その人だと辛うじて分かる位だが。
「ザザッ・・・・・ん、ちょっとノイズが酷いな・・・・・。ま、音声にはノイズが入ってないようだし、この位ならいいか。」
「どうも・・・・・。」
「ところで、お前ら何で服着て無いんだ?」
「服、無いんですが・・・・・。」
結構、切実な問題で。
で、向こう側で頭を抱えるように、
「・・・・・お前らの持ってるヴィジョンタブレット・・・・・あれだ、スマホ擬きあるだろ?」
そう言ってきた。
「有りますが。」
「その中にデータ物質化アプリがあるはずだ。」
「・・・・・。」
とりあえず皆して(他の二人は自分がさっきいた場所を探して持ってきた。)このスマホ擬きを触る。
これか。物質化アプリってのは。
えーと、本規約は云々・・・・・
飛ばそう。了承するで。
で、画面が変わった。
こんな感じの画面に。
ベルーロッゾ・カーマイン様。
あなた宛てに4種類のアイテムが届いています。
体装備 強化アルケミストクロークセット
靴 レザーシューズ
アイテム 無制限状態保存タイプポータブルリング
アイテム バイタルポーション三個
と言う文字の横にチェックを入れるような四角があり、とりあえず服と靴にチェックを入れ、物質化と言う項目をタップする。
ポン、と気の抜けるような音の後、服と靴が出て来た。
・・・・・。
こんなんでいいのね。
で、服を着ようとするが、
「こっち見ないでよね。」
分かってます。
もう一度ガゼルパンチとか喰らいたくないし。
で、さらに五分後。
服を着終わりました。
俺の恰好はと言うと、白衣を模したような黄土色のコートに黒いシャツとスラックスだかなんか言うやつをはいている。
見た目からして、科学者です。と言った感じである。
コートが黄土色じゃなくて白だったらの話だが。
「どうよ?似合う?」
「はいはい、似合う似合う。」
ジョージが自分の恰好を見せ付けて来るように絡んで来たので適当にあしらう。
見た目はと言うと、青のジャケットに指ぬきグローブ、白い詰襟のシャツ、迷彩色のズボンに腿にポーチをベルトで巻いた恰好(何と言うのかはよく知らないが。)であった。
後、そのでかい銃・・・・・バズーカの様な物は何だ?
「着替え終わったわ。」
「そうっぽいな。似合ってるぞ。」
「着替え終わったようだし、話を戻していいか。」
「はい。」
話を戻したいが、俺としてはエミリアの格好に関しても説明したい。
見た目は学生服を模したような白のカッターシャツの様な物に、紫のスカートの上から黒の腰マントを着用している。腰マントを留めているのはベルトではなくシルバーの鎖で、左脇腹の辺りから留めた際に余った部分を下に流している。先端には凝った水晶細工が付いている。
また、その反対側には剣が結わえつけられている。
で、二人の付けてる腕輪の様な物は何かね?
ま、いいか。さて、話を戻そう。
「そっちに行った以上、どう行動するかはお前らの勝手だ。何か質問はあるか。」
「ここはどこですか?」
「そこは・・・・・地図アプリか何かで調べろ。こっちもある程度しかそっちの状況が分からん。」
「こっちで気を付けるべき事とかは?」
「ああ、そうだ。それ言うの忘れてたな。そっちの『世界』ではパソコンもヴィジョンタブレットも存在しねえから見せないように気を付けろ。」
「そっち?」
「その話はまた今度だ。まあでも、ログインした奴は全員持ってるからそこまで問題ないけど、現地人に対してな。他は?」
「魔法とかの使い方を教えて欲しいのですが。」
「あ、それ俺も気になった。」
「魔法か、使い方はだな・・・・・」
「使い方は?」
「ぶっちゃけ気合と根性だ。」
「「「・・・・・。」」」」
ずっこけた。
それも三人揃って。
「せ、説明になってないんですが・・・・・。」
「意外とそんなもんなんだが・・・・・。ま、いいか。とりあえずお前ら目閉じて自分の内側を見るように集中しろ。」
「「「・・・・・。」」」
集中してみる。
「次に、自分の中にある何かが自分の体を纏う様にイメージしろ。」
イメージ・・・・・
一分ほどそんな感じのイメージをしていたら、青い何かが心臓の辺りにあるような気がしてきた。
それを全身に纏う様にして見る。
その後、何かが頬を撫でる様な感覚がした。
こんな感じなのだろうか?
「上出来だ。後は簡単に言うと使いたい魔法はこんな感じだってイメージしつつ、術の名前を言えばいい。」
目を開けると、青いオーラの様な物が体から出ているのが見える。
掌の上に火が発生するようなイメージを行い、
「『クラフト・フレイム』」
そう俺が呟くと、俺の掌の上に火が発生した。
「おお、本当だ。本当に火が出た。」
少し嬉しくなった。
冗談だと思ってたし失敗するだろーなーとか思ってたので。
他の二人はと言うと、
「ちょ、眩っ!消えろ!」
「ある意味本当だったのね・・・・・。」
二人とも成功(若干一名成功なのかどうかは別として。)したらしい。
「剣技やらそう言ったのも大体同じようにやればいい。」
「分かりました。」
「それじゃ、そろそろ通信を終わるが何かあるか?」
あ、そう言えば。
「あなたの名前と連絡先を聞いてもいいですか?また聞く事があるかもしれませんし。」
「名前か・・・・・そうだな、レオでいい。後、連絡先はメールを送って置く。連絡は出来ればメールからにしてくれ。じゃあな。」
そう言って画面が消えた。
「・・・・・それにしても俺らが魔法を使えるようになるとはな・・・・・。」
「レオさんだっけ?親切そうな人だったよな。」
「で、お前らの付けてる腕輪って何?」
「ポータブルリングってやつ。この中に物とかしまえるらしい。」
「あ、そういや俺最高グレードの奴にしたんだっけ。出そう。」
残りのも出し、腕輪を装着する。
でもこれ、どうやってしまってどうやって出すんだ?
「さっきのと同じ、イメージでいいみたいよ。」
やってみる。
出来た。入れれた。出せた。
面白かったので何回も繰り返した。
「玩具じゃねえんだから・・・・・。」
「・・・・・面白かったので、つい。」
「で、これからどうするの?」
先ほどの場所から離れ、適当に歩き出す。
「どうするか、だよな?」
「考えて無かったの・・・・・?」
「どう考えろと?とりあえず、とりあえず、地図出して最寄りの町に・・・・・ん?」
「ねえ・・・・・ベル・・・・・あれ、何かしら・・・・・?」
「尻尾だよな・・・・・?猫系の。」
何の考えも無しに歩いていたら、茂みの中から尻尾が見えていた。
猫っぽい尻尾である。
「・・・・・引っ張って見ようか?」
とりあえず見えたので、グイッと、俺は引っ張ってみる。
「ふぎゃっ!?」
「「(返事も聞かずにやりやがった!?)」」
「あ、すまん。わざとじゃないんだ。」
「「(どう考えてもわざとじゃ・・・・・。)」」
「痛ぇ・・・・・つか、お前誰だよ!?」
「あ、ちょっと聞きたい事が・・・・・?」
俺はふざけて尻尾を引っ張った奴の顔を見た。
いつからか、もう見ることは無いと思ってた顔。
「お前、たかのんか?」
「え?なんで俺のあだ名・・・・・って!?お前かよトシ!?」
・・・・・友人との早々の再会だった。
少しづづ書いていってます。応援して下れば幸いです。