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4月21日、木雨雪邸
「父様、羽純でございます」
「ここに来る途中、お医者様からお加減があまりよろしくないと伺いました。……いえ、見舞いではありません」
「顔を見せるなとおっしゃられていましたが、恥を忍んで舞い戻ってきました。お部屋に上がってもよろしいでしょうか」
「……お返事できないようなので、襖の前で失礼いたします」
「父様、今度私は、オルタナと共に渋谷ダンジョンへ向かいます」
「いま渋谷ダンジョンではスタンピードが起こっています。そのダンジョンへ、戦えないまま、弱いまま、父様が嫌った私のまま……行ってまいります。……とっ……」
「友達ができました」
「その友達が……頑張りたいと……オルタナに誘われて、私と渋谷ダンジョンに行きたいと、言ってくれて」
「少しでも、力に、なりたくて」
「……守りたい、のです。私には、もうそれだけの力はないけれど、守られる立場だけど」
「父様が仰ったように、子を産むしか能が無くなった女、かもしれない、けれど」
「迷ったままの私だけれど」
「でも」
「……初めての友人、だったから」
「……」
「父様」
「……お願いが、あります」




