表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/44

ペトラ・コール登場!

「真美華はサー、冒険者の学校行ってたノー?」


 オルタナの作戦会議の輪から離れ座り込んでエナジーバーを食べていると、頭の上から気安い声がした。見上げると、ニコニコ顔のペトラが私を見下ろしているのだった。ペトラ・コール、先日オルタナの研修生から正式メンバーになったという元気溌剌なアメリカ女子だ。

 ……冒険者学校。


「あー、そー……けど、何で?」

「神器顕現させるとき、手を前に出してたナー。先生が分かりやすいように日本の学校ではそう教えるって聞いてたナー」

「ああー」


 自分がほとんど行かなかった冒険者高校、ほんの数回受けた実技の授業で先生の動きに倣うように神器を出したりしまったりをやらされたのを思い出す。確かにあのとき、右手を前に出すように言われてた。


「うん、行ってたべ。行ってた。最初の何ヶ月かで辞めたんけど」

「Really? ソーなんだ、じゃあ私と同じだナー」

「え?」

「私も学校、先生と合わなくて辞めたノー。ウチの神器はpeakyで周りの人の役に立てないから冒険には向かないって言われてナー。それからはdaddyや友達と一緒にダンジョン潜ってー、SNSに動画上げてー、そしたらオルタナに声掛けてもらったナー」


 さらっとそう言ってのけたペトラは「ウチらナー、似てるナー」と言って私の隣に座る。


「似てる……かねえ?」

「似てる似てるー。日本語で何て言うノー? アー……トンチンカン?」

「親近感?」

「Oh、それ! ポンチーカン!」

「日本語上手いだろお前実は」


 ウフフと嬉しそうに笑ったペトラは「私、羽純に負けたくないナ」と前を向く。


「私、他のテスト生に勝ってここまで来たナ。United Statesから私がやってきたこと、正しかったことを証明しにきたナ。役に立たないって言われた私の神器、“プリマヴェーラ”が第一線で通用するって、言わせたい。だから、私のこと……もういない木雨雪 羽純よりすごい冒険者だって、この作戦でみんなに見てもらいたいナー」

「……そっか」

「だからー私の活躍ばっちり撮ってナー、真美華?」


 笑顔で冗談めかして、だけど真剣にそう言ったペトラの蒼い双眸が私を捉える。明朗快活に見えるその目の奥に、ちりちりとした赤い焦燥が見えた気がした。私は「じゃあウチのこと、がっちり守ってな」とペトラの背中を叩き、ふうとため息を吐いた。

 ああ、確かにそうだ。

 私たちは今までのムカつく人生に報いたくて、ここにいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ