ペトラ・コール登場!
「真美華はサー、冒険者の学校行ってたノー?」
オルタナの作戦会議の輪から離れ座り込んでエナジーバーを食べていると、頭の上から気安い声がした。見上げると、ニコニコ顔のペトラが私を見下ろしているのだった。ペトラ・コール、先日オルタナの研修生から正式メンバーになったという元気溌剌なアメリカ女子だ。
……冒険者学校。
「あー、そー……けど、何で?」
「神器顕現させるとき、手を前に出してたナー。先生が分かりやすいように日本の学校ではそう教えるって聞いてたナー」
「ああー」
自分がほとんど行かなかった冒険者高校、ほんの数回受けた実技の授業で先生の動きに倣うように神器を出したりしまったりをやらされたのを思い出す。確かにあのとき、右手を前に出すように言われてた。
「うん、行ってたべ。行ってた。最初の何ヶ月かで辞めたんけど」
「Really? ソーなんだ、じゃあ私と同じだナー」
「え?」
「私も学校、先生と合わなくて辞めたノー。ウチの神器はpeakyで周りの人の役に立てないから冒険には向かないって言われてナー。それからはdaddyや友達と一緒にダンジョン潜ってー、SNSに動画上げてー、そしたらオルタナに声掛けてもらったナー」
さらっとそう言ってのけたペトラは「ウチらナー、似てるナー」と言って私の隣に座る。
「似てる……かねえ?」
「似てる似てるー。日本語で何て言うノー? アー……トンチンカン?」
「親近感?」
「Oh、それ! ポンチーカン!」
「日本語上手いだろお前実は」
ウフフと嬉しそうに笑ったペトラは「私、羽純に負けたくないナ」と前を向く。
「私、他のテスト生に勝ってここまで来たナ。United Statesから私がやってきたこと、正しかったことを証明しにきたナ。役に立たないって言われた私の神器、“プリマヴェーラ”が第一線で通用するって、言わせたい。だから、私のこと……もういない木雨雪 羽純よりすごい冒険者だって、この作戦でみんなに見てもらいたいナー」
「……そっか」
「だからー私の活躍ばっちり撮ってナー、真美華?」
笑顔で冗談めかして、だけど真剣にそう言ったペトラの蒼い双眸が私を捉える。明朗快活に見えるその目の奥に、ちりちりとした赤い焦燥が見えた気がした。私は「じゃあウチのこと、がっちり守ってな」とペトラの背中を叩き、ふうとため息を吐いた。
ああ、確かにそうだ。
私たちは今までのムカつく人生に報いたくて、ここにいる。




