【Vlog見ながら】渋谷ダンジョン3層まで行ってきたよ【羽純が喋る】
:いつもと違う?
【¥300】こん
:ヘッドカメラ映像だ
:めちゃめちゃ久しぶり!
:まみち風邪治った?
:ぶいろぐ
:録画じゃないかな
【¥1,000】羽純様〜〜〜
:草原走ってる、これ渋谷?
:怖いやつ?
:2週間ぶりの謎配信
:無言じゃん
:何?
「……いや何か喋れよ。怖がられてるだろ」
「ああ、もう始まっていたのか。こんばんは、木雨雪 羽純だ。今日は真美華と家にいるぞ、録画を見てるんだ」
「あヤベ、ウチの声入ってた? わり、普通の配信機材だから撮丸と違うんだったわ。これもうウチもいた方がやりやすかったりするかにゃ?」
「んー、そうかもしれない」
「わーったー、ヘッドセットもいっこ用意するわー。待っててにー」
:ゆっるい
:今日めちゃめちゃ生活感あるな…
:やっぱ録画なんだこれ
【¥500】この気の置けない距離感が俺を狂わせる
:もしかして同棲説マジなの?
:ごそごそ
:前のマツカー実況みたいな感じか
「あい準備できた。えーと、これねえ、羽純が一人でダンジョン潜りに行きたいって言ってたから持たしたカメラの録画なんよ。んでえ、うちのスタッフのサッキーが見やすく編集してくれたんだけどぉ、なんか映像の中の羽純が、なーんも喋ってくれてなくてさあ……」
「独り言なんか喋ってたらモンスターに見つかるだろ」
「そーなんだけどVlogだからさあこれ……!」
:羽純様の一人旅動画!
:確かにダンジョンって本来動画撮る所じゃないもんな
:これは百理ある
:羽純様ひとり旅→ワルモット全無視ダッシュのこと
【¥823】ずっと足速すぎるんだけど韋駄天とか持ってる?
【¥100】まみち論破代
:スタッフさん増えたんだ
「まあ何してるか分かんないから、羽純に解説してもらおっかってことで、こうしてるわけ。じゃさあ、こっから解説できそう?」
「構わないよ、そうだな……えっと、3日ほど使って渋谷ダンジョンへ行った。やはり1層ばかりでは勘みたいなものがにぶる感じがあったから、少し深い所で感覚を取り戻したかったんだ。これはドルジーニャ高原だな、最初のカーブを無視してまっすぐいって、そう、ここの崖を飛び降りると2層への近道になるのでそっちに向かっている」
:ヒェ
:いきなりの謎ショートカット
:RTAかな?
:落
:あまりにも自然に柵乗り越えるじゃん
:てかもう2層
【¥1,000】これが一番速いと思います
「この高さだと《着地》は3以上推奨だな。2は普通に死ぬと思うぞ。あ、実は私は《韋駄天》は持ってないんだ。あれは地上で1500メートルで5分切るのを複数回成功させる必要があって、そもそも私はそこまで速くは走れないからな。私はダンジョン移動の際は《持久力》と《神速》を併用することが多い。まあ、これはズルみたいなものだが……と、1時間半ほどで第2層“もぐらアパート”に到着だ」
【¥300】俺ガチ勢、普通に5時間はかかる
:持久力マジ!?
:くらい くらいどうくつ こわ
:バチバチにレアスキルじゃん持久力
:持久力って72時間寝ずに走らないと取れないやつじゃなかったっけ??
:死ぬのでは?ボブは訝しんだ>72時間
:神速も女性は100メートル13秒台とかだよな…
【¥100】ねえここ迷宮層じゃなかった?真っ暗な洞窟をシームレスに走ってるけど?
:あの… 画面が真っ暗です…
:フィルムがインフェルノしてる?
「えーっと、ああ、“もぐらアパート”は迷宮層と呼ばれる中でも初心者向けのものだ。ちなみに初心者向けというのは攻略が簡単という意味ではなく、地図の確度が高いとか、迷っても即死ではないとかいう意味だから重々気を付けるんだぞ。まあ敵も大したことないしかなり安全な方だが、挑むときは必ず下調べを行い、地図を頭に叩き込んでほしい。私も事前に全ルート覚えておいたしな」
「えめんど! そんなことすんの? 地図あったらよくね?」
「地図はあくまで補助具だろう。ほら、例えばライトの電池が切れでもしたら地図は使えない。それに、迷うと体力を使うだろう。基本的に人間は暗所では無力だからな、遭難を避けるための準備が大事だ」
「いや……つったって、お前そもそも懐中電灯も使ってないじゃん。見えてんの?」
「見えてないぞ。これは事前に歩数を計算してるんだ。第2層は探索の予定はないし、走り抜けるだけだしな。あとここに出るモグランとハリモグランは強化付与された靴か、《キック》4ぐらいでノックバックできる。あとの敵は雰囲気かな。音とか、気配とか。みんなもやってやれないことはないと思うぞ」
「ガチ勢こっえぇー……」
:羽純ママやばい
:流石にない
:やらないしやれない
:ね、簡単でしょう?(迫真)
【\5,00】ガチ勢でもやりませんこんなこと!……えっ、やらないよな?な?
:もしかして、暗記した迷路を目隠しのまま全速力で走り抜けることを推奨されている?
【¥2,500】先生、僕たちは人間です
:かっこいい人だなあと思って僕から近づいたんだ→恐ろしい人だった…
「えっ、なんかみんなに怖がられている……」
「そりゃそーだろ。あ、終わった。めっちゃカットされてんだ。まあ真っ暗で撮れ高ないもんねここ」
「そ、そうか……あ、この階層では1泊したから滞在時間は8時間くらいかな……。モグランが登ってこられない高所の安全地帯があったから、少し早いが朝まで寝たぞ。さて、第3層が今回の野営地だ。“ノーマンズランド”、熱帯雨林生い茂る小島だ。過ごしやすそうだな」
:うわきた
【¥3,500】絶望バカ猿島
:み ん な の ト ラ ウ マ
:今過ごしやすそうって言った?
:ここ何かやばいの?
【¥5,000】殺意激高猿カスの楽園〜即死トラップ虫を添えて〜
:ウィドウメーカーが全滅しかける動画見て泣いたことある
:急にみんななんなの怖い
:[内閣府ダンジョン危険区域ウェブサイト:第3層ノーマンズランド] ビビって調べたけど去年7人死んでるよここ!
「めちゃめちゃコメント荒れ始めた! え、ここそんなやばいん!? シブダンだよね!?」
「渋谷ダンジョンで安全なのは大目に見ても2層までだ。この“ノーマンズランド”は低層にしてはかなり殺意が高く、毎年ちゃんと死者が出ている。特に最近は観光気分の外国人冒険者が犠牲になっていると聞くが……まあ、見ておけ」
「えなに怖。クッション抱っこしよ」
:【速報】まみちクッション抱っこ
【¥7,800】拙者、ダウナー系女子が不意に見せるかわいい瞬間すこすこ侍。・・・助太刀いたす!
:殺人猿の鳴き声やば…
【¥10,000】うわぁ!いきなり可愛げを見せるな!
:ガサガサ音怖すぎるよ
【\9,999】あかんまみちに萌えてしまった、こういう気持ちは変だぞ死のう…
「え何なんだよお前ら急に……」
「“ノーマンズランド”は東側のイガミオオアカザルと西側のイガミオオクロザルという2種類の猿型モンスターが縄張り争いをしている南海の小島だ。どちらの勢力でもない中立地帯・ノーマンズランドを探しながら進むのがセオリーとなっているぞ。ここは木に三角の傷が付いてるからクロザルエリアだな。ちょうどいいので食料を盗みにいく」
:はい?
:今なんか言ったな
:はいはいなるほど脱出するん……え!?!?!?!?
:ヤバ猿にはヤバ人間を当てるんだよお!(錯乱)
:猿の食料を盗む????
:まさかまみちが清涼剤になるとはな…今までのやる気のない態度や放送事故めいた盛り上がらないトークで1回見たら終わりのネタ系低クオリティウィーチューバーとしか扱われてこなかったが、近頃の生き生きと暴言を吐いたり一生懸命回しをするまみちの姿は応援したくなるし、意外と健気で等身大の女の子だと感じるんだ… それに羽純ママがいい意味で非常識な感じだから、反対にまみちを常識人枠として距離的に近くに感じられるようになったのも良かったのかもしれないな…
:あっ長文自分語りニキだ、オッスオッス
:長文自分語りニキまみち好きすぎるだろ
:なんかどんどん周り騒がしくなってて怖い
「猿の食いもん泥棒するって、お前さあ……」
「い、いや! ここはモンスターの食料を盗むのが一番楽なんだ! ガチ勢パーティーはよくやってる! ほ、ほら、私は一応《悪食》もあるが、食べ物関連は疎かにすると行動不能に繋がってしまうからな。えっと、いろいろ使えそうなものを採取しながら印の多い方向に向かっているぞ。たしかこのへんで接敵したと思うが……」
:うわ
:怖っ!!
:どう避けたの今?
:矢が地面に
:何だこの戦い方!?圧倒的すぎる
【¥5,000】すげええええええ
:自分が強くなったみたいな画角
:ハードコアって映画みたい
【¥3,000】画面酔注意
【¥823】いやマジで強すぎる
「え何これ、え何これ、え何これ!? 羽純!? これ何してんの!?」
「襲撃に対処してるぞ。敵は10匹ぐらいだな。木の上から矢を撃ってくる猿は落とすと数秒のノックダウンがある。その隙に他の猿の投石に《受け流し》で対応しつつ、ノックダウンした猿の骨を折りながら、とりあえず暴れるだけ暴れてみてる感じかな。猿が増えたら一旦移動しようかと考えているところだ」
「え、い、いや、呑気に言ってっけどさ……お、折る? 骨?」
「ああ、二足歩行の生き物の骨を狙うときは肩を狙うのがお薦めだぞ。《腕力》は要るが、腕を引っ張って脱臼させるのもいいし、打撃の角度が良ければ鎖骨や腕の付け根を破壊できる。諸説あるが、肩関係が一番折りやすくて狙いやすいかな。倒し切ることはできないが、こいつらは怪我した仲間を助けようとする性質がある。それを利用して戦力を減らしているぞ。あ、ここは効きを良くするために、他の猿の頭をぶつけて攻撃したりしてるな。さて、このへんで増援が見えたから、煙の上がっている方向に逃走している」
:骨の折り方に一家言あるの怖いよ
:女舩坂弘
:負傷者で戦力削ぐのベトコンとかの発想なんですよ
【¥1,000】解説させて欲しい。木を揺らすと猿が落ちてくるギミックは確かにある。《受け流し》などで石を弾き返して猿に当てる技術も実際にある。関節などの急所を狙う戦い方も当然ある。でもこれを一人で同時に成立させるとか…(絶句)
:受け流しってあのヘナヘナ絶刀でやってんでしょ?
:この猿に一瞬で取り囲まれてボコボコにされるんです普通は
:ランボーのFPSゲームがあったらきっとこんな感じなんだろうな
:あ
:ちょまてこれって
:うわ、えげつないことしてる
:え何何何?
「あのー……聞くの怖えーんだけど、これ何してんの……?」
「今のは絶刀で木にイガミオオアカザルの印を付けてるぞ。アカザルの印はバツ印なので余裕があったらこういう痕跡を残していく。自分の陣地に敵の印を見つけると、あの猿たちはパニックを起こすんだ。後の布石だな。さて、集落エリアにたどり着いたみたいだぞ。結構いるな。今はさっき拾ってきた松ヤニと木の棒で松明を作り、焚き火から拾った火を巣に投げ入れながら、食料箱を探している」
「お前マジで何してんだよ」
:村を焼き払ってるってこと?
:ずっと蛮族すぎるのよ
:おさるさんにげて
【\500】羽純のアネゴが1人でその場所に行ってなァ、たいまつぶっぱなしてその村を木端みじんにしてもうたんじゃ(震え声)
:本土上陸の恐ろしさがよくわかる動画
【¥3,000】真羽純様無双3
:猿にも心ってもんがあるんですよ
:これもう戦争犯罪だろ
「なんか今日はコメントのみんなから距離を感じるな……。そ、そんな焼き払ったりなんかしないぞ! 撹乱してるだけだ! ええと、食料を確保した。とうもろこしの原種みたいなのと肉と卵があったぞ。この箱に描かれている紋様が乾燥の魔法と関係しているらしいから、見つけるのは簡単な方だと思う。いくつかストレージに入れて、ここを離れるぞ」
「手慣れてんな、泥棒に……」
「ひ、人聞きが悪いなあ。しかし、今回のモンスターは知能が高くて食性が人間と似ているから、特に狙いたかったのはあるかな。危険度の高いモンスターだからお勧めはしないが……あ、バナナが成ってたから身と葉っぱをいくつか失敬している。これは生食より火を通した方がいいバナナだな」
:少女移動中
【\100】バナナGET!
:そろそろ安地かな
:とはいえ中立地帯も危ないんだよね…
:サルジゴクくる?
:猿いなくなった
:怖かった〜
【\300】俺初めて猿に感情移入した
「とりあえず中立地帯まで移動して、追っ手がいないことを確認したぞ。ああ、懸念のサルジゴク……地面に潜って上通った猿を食う大型虫モンスターがよく中立地帯にいるんだが、この辺りの地面は硬かったから大丈夫だ。雑草の生えてない箇所、土が軟らかい箇所はあまり踏まないようにな。どうしても通らなければいけない場合、猿を誘導するなり投げ飛ばすなりして確かめてもいいと思う。というところで朝ごはんの用意だ。枝を集めて、ファイアスターターで焚き火を作っている」
「なあにこれえ? 火つけるやつ?」
「金属製の火打石みたいなやつだよ。あ、私は《料理》は6あるから結構色々できるぞ。まずこの茶色いとうもろこし、多分ポッドコーンを水洗いした石ですり潰す。粉になったのを確認したら、バナナの葉に移す。こんなことは地上だと絶対できないから、《料理》の凄さはいつも驚かされるな……」
:冒険者目指すなら料理はマジでとったほうがいい!
:こんな粉になっちゃうんだ
【¥500】羽純ママの掠奪クッキング
:うお〜料理回
:めちゃめちゃ手際がいい
「次は乾燥肉だ。何の肉かは分からんが、薄く切ってバナナの葉っぱに包んで焼くぞ。寄生虫を死滅させたいので、とにかく火を通す。焼け焦げてもいいぐらい焼いてみる。一緒にバナナも焼いたぞ。さて、今回は特別にフライパンも持ってきた。《料理》がもっとあればマサに加工してトルティーヤにできたんだが、コーンフラワーはグルテンがなくてくっ付かないからな。何の卵かは分からないが、この卵をツナギにして焼いてしまおう」
「うおー、何だろうこれ……惣菜クレープ? みたいな? お好み焼き?」
「んー、そんな感じかもしれないな。包み焼きにしたバナナと肉を出して、とうもろこし生地で包むぞ。これで完成だ」
「お、おお……」
【¥1,000】上手に焼けました!
:美味しそう……なのか?
:めっちゃ南国っぽい料理
:謎クレープのバナナ肉包み
:まあ調理用バナナとかあるし
【¥2,500】肉とバナナはココナッツミルクで味付けたいかもですね
「生地は結構上手くできた気はする。あーココナッツミルク、そういうのもあるのか。ココヤシは“ノーマンズランド”の海側にあったと思う。確かに、料理としては味気なさはちょっとあったかもしれないな。しかし、炭水化物とタンパク質とビタミン類が取れたのは大きいと思うぞ。朝ごはんとしては良かった方だろう」
「点数は?」
「…………40点」
「あはははははは!」
:低wwww
:おいしくないのかよ
:あんな手間暇かけたのに
:食料泥棒された上にマズく料理されておさるさん涙目wwwww
:あ
:おわ
:電池が
:あああああ
:映像おわた
「と、電池が心許なくなってしまったのでここで録画を終了した。本当はもっと撮影したかったんだが、今回は初めてのGonProを使った撮影だったから許してほしい」
「まー、今回撮影はオマケだったしね。……ちな、この後はどしたの?」
「この後か? えーっと、この後は魚を目指してオオクロザルの集落に入ったぞ。脱出したら追い掛けてきたクロザルと先にいたアカザルが交戦状態になったんだが、その衝突の規模が大きくなってな、どさくさに紛れて死体の剥ぎ取りが結構できて、持ち帰った装飾品類も高値で買い取ってもらえてな……」
「へー……あそ……んー……あれだわ」
「何だ?」
「いつか……ちゃんとしたモーニングルーティン、撮ろうな」
「……モーニングルーティン?」




