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悪役令嬢を名乗った私ですが、ラスボス竜騎士団長に「一生愛す」と求婚されました  作者: みー


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第6話:【独占的な看病】「君の匂いが、俺を落ち着かせる」〜初めての甘い誘惑〜

【注意】 このエピソードには、登場人物の情熱的な描写や、親密なスキンシップが含まれます。苦手な方はご注意ください。

ゼフィールの部屋は、昼間の冷たい雰囲気とは一変し、激しい苦痛と獣のような熱気が充満していた。


仮面を外した彼の顔は汗に濡れ、苦悶に歪んでいる。背中に浮き出た黒い鱗は、彼が竜の血を持つ者であることを生々しく物語っていた。


「来るなと言ったはずだ、セシリア!」


彼は壁に背中を預け、荒い息を吐きながら叫んだ。その声には、私を拒絶するよりも、自分を制御できないことへの恐怖がにじんでいた。


「その竜の血の呪い……知っていますわ」


私は恐怖を押し殺し、一歩、また一歩と彼に近づいた。悪役令嬢を演じる私にとって、この危機は唯一、彼の心に入る機会だと直感した。


「わたくしは、あなたの妻です。契約を履行するため、わたくしの手であなたを管理させていただきます」


私は冷静にそう告げると、近くにあった椅子を引き寄せ、ゼフィールの前に座った。そして、持参していた上質な絹のハンカチで、彼の額の汗を優しく拭う。


彼の肌は、想像以上に熱かった。


「……触れるな」


ゼフィールはハンカチを払いのけようとしたが、私の手が強く彼の肌に触れていたため、動きが止まった。


「触れられると、呪いが制御できなくなるのでしょう?」


私はあえて、彼の秘密に踏み込んだ。


「大丈夫。わたくしはあなたの契約妻。あなたの力で傷つけられたところで、誰も咎めませんわ」


私は悪女の仮面で微笑む。それは、恐怖の裏返しだったかもしれない。


その時、ゼフィールの手が、私の手首を掴んだ。骨が砕けそうなほどの強い力。


「お前……本当に恐ろしくないのか」


「恐ろしいに決まっていますわ」


私は正直に答えた。


「ですが、わたくしの地位と富を守るためには、この悪魔のような夫に長生きしていただく必要がありますの」


その言葉が、なぜか彼の心を和ませたようだった。彼の手に力が緩む。


ゼフィールは、私を強い眼差しで見つめながら、低い声で囁いた。


「なぜだ……お前が近くにいると、この熱が鎮まる……」


彼はそのまま、私の手首を掴んだまま、自分の熱い頬に押し当てた。ひんやりとした私の肌が、彼の熱を吸い取っていく。


「お前の匂い……甘い花のようだ。俺の意識を、正気に引き戻す」


愛のない政略結婚のはずなのに、彼の言葉には、深い依存と独占欲が滲み出ていた。彼は、私を呪いを鎮めるための特効薬として求めているのだ。


私は、彼の「特効薬」となることを受け入れた。


「……わたくしが、あなたの夜の癒やし手になりましょう。ただし、報酬は高くつきますわよ、団長」


私はそう言って、彼が掴んでいた自分の手を、彼の頬からそっと首筋へと滑らせた。


ゼフィールの全身に、ビクリと震えが走った。彼の喉仏がごくりと鳴る。


「ほうしゅう……?」


彼の碧色の瞳が、苦痛と熱の混ざった複雑な光を帯びて、私を見つめる。


「ええ。わたくしの献身への対価は、あなたの心身の支配ですわ」


私はさらに一歩踏み込み、彼の首筋から鎖骨へと指を滑らせた。彼の全身から発せられる熱が、私を包み込む。


「夜が明けるまで、わたくしにあなたのすべてを預けなさい。そうすれば、あなたの呪いは一時的に収まり、わたくしは安全に、明日の朝を迎えられるでしょう」


ゼフィールは、私の言葉の裏にある"悪女"の計算と、目の前の女の大胆な誘惑に、もはや抗うことができなかった。彼は私の手首を再び掴むと、今度は力任せに、私を自分の胸に引き寄せた。


「……望み通り、支配してみろ。だが、支配されるのは、お前の方だ」


彼はそう言って、私の首筋に顔を埋めた。そのまま、私の肩に頭を預け、まるで獲物を抱きしめる獣のように、私の体にしがみついた。


激しい苦痛の果てに見つけた、唯一の安息。

彼の熱と、独占的な抱擁に、私の心臓は早鐘を打つ。

(第6話・了)

(次話予告:【独占愛】夜の夫婦の秘密〜団長が私にだけ見せる甘い素顔と、嫉妬の炎〜)

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