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悪役令嬢を名乗った私ですが、ラスボス竜騎士団長に「一生愛す」と求婚されました  作者: みー


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第16話:【王太子の反逆】追放された元婚約者が、新たな敵と結託する理由

ゼフィールからの愛を受け入れた私は、彼の呪い克服という課題に全身全霊で取り組んでいた。

竜騎士団の資料室に籠もり、南の辺境国出身の"癒やしの巫女"と、彼女が持っていたという特別な紋章の情報を漁る日々だ。


「ゼフィールの呪いを解くには、外的な要因が必要ですわ。愛だけでは、彼の強大な竜の血の暴走を完全に止めることはできない」


私は冷静に分析した。感情的な愛は彼の理性を保つが、根本的な解決ではない。


資料室の入り口には、ゼフィールが配置した騎士が立っている。私の安全確保のため、そして、私が"黒の竜騎士団長の機密を貪る悪女の妻"として、引き続き宮廷の警戒心を引きつけておくためだ。



その頃、ゼフィールは、黒いマントを纏い、王都の地下水路を歩いていた。彼は自分の秘密の情報網である"影"を使い、追放されたはずの元王太子アルベールとリリアーナの動向を探っていた。


「見つけたぞ、アルベール」


ゼフィールは、王都の貧民街にある廃墟となった教会に、二人が入り込むのを確認した。彼らは追放されているにも関わらず、王都に潜伏し、新たな陰謀を企んでいる。


ゼフィールが教会の奥に足を踏み入れると、怒りと憎悪に満ちたアルベールの声が響いた。


「ゼフィールめ!私を裏切ったセシリアを妻にし、私を奈落へ突き落とした!あの男だけは、決して許さない!」


アルベールは追放された屈辱により、セシリアへの愛憎が、ゼフィールへの狂的な嫉妬へと変わっていた。彼は、ゼフィールを打ち倒すことで、自分こそが最強であり、セシリアを切り捨てたゼフィールが"野蛮な異端者"に過ぎない、と証明したいのだ。


彼の隣で、"ヒロイン"のリリアーナは、病的な執着でアルベールを慰めていた。


「殿下、ご安心くださいませ。あのゼフィールは、いずれ必ず"真の魔物"として暴走し、自滅します。私たちを導いてくださる、あの方が全てを準備してくださっています」


リリアーナの言葉に、ゼフィールは核心に迫った。"あの方(黒幕)"の存在だ。


そして、影から一人の男が現れた。その人物を見た瞬間、ゼフィールの冷徹な表情に、わずかな動揺が走った。


「久しぶりですな、ゼフィール団長」


そこにいたのは、王国の宗教界の頂点に立ち、絶大な政治的影響力を持つ、大枢機卿ヴァレリウスだった。彼は、宮廷内で最も竜の血を嫌悪し、ゼフィールの世俗的な権力の拡大を恐れていた男だ。


「ヴァレリウス枢機卿…… 貴様が、アルベールを操っていた黒幕か」


ゼフィールが低く唸った。


「操るなど、人聞きが悪い。私は、神の御心に従っているだけだ。竜の血を持つ貴様の力は、神聖な王国の秩序を乱す毒。そして、貴様を愛のない契約で妻にした侯爵令嬢も、その毒を広める悪女だ」


枢機卿は、穏やかな笑みを浮かべながら、最も冷酷な言葉を吐いた。


「王太子殿下は、貴様を打ち倒し、"聖女の血筋"を娶ることで、再び王位に返り咲く。そのために、我々は準備を進めているのだ」


聖女の血――その言葉に、ゼフィールは激しく反応した。それは、セシリアが調べていた"竜の血の呪いを鎮める力"と完全に一致する。


「まさか……貴様は、南の辺境国を……!」


枢機卿は微笑んだ。


「南の辺境国の巫女の血筋。巫女は、貴様のような魔物を鎮める力を持っている。そして、その血筋は途絶えてなどいない。彼らは今、私の保護下にある」


枢機卿の陰謀は、ゼフィールの排除と、アルベールを傀儡の王として擁立することだった。そして、彼は、ゼフィールの呪い克服に必要な"聖女の血"を手札として握っていたのだ。


「巫女を王太子の妻として迎え入れ、貴様を真の魔物として国民の前に晒す。そうなれば、貴様の力は、この国から完全に排除されるでしょう」


枢機卿の言葉は、ゼフィールとセシリアの愛と共闘の全てを打ち砕く、究極の脅威だった。


ゼフィールは、静かに殺気を放った。


「ヴァレリウス枢機卿。俺は、貴様が何を企もうと構わない。だが、俺の妻に手出しをすることは許さない」


そう言い放つと、一瞬の隙を突き、廃墟の天井を突き破って姿を消した。彼の怒りは、もはや限界を超えていた。


ゼフィールは、すぐにセシリアの元へと急いだ。新たな敵は、彼らの愛と命、そして王国の全てを巻き込む、最大級の陰謀を仕掛けてきたのだ。


「セシリア!お前の悪女の知恵と、俺の力が、今、最も必要とされている!」

(第16話・了)

(次話予告:【巫女の行方】セシリアの知恵とゼフィールの力、夫婦の決断)

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