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悪役令嬢を名乗った私ですが、ラスボス竜騎士団長に「一生愛す」と求婚されました  作者: みー


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第12話:【報復の宴】王太子とヒロインの末路〜ラスボス団長が見せた甘い素顔〜

ゼフィール団長が尋問室に持ち込んだ"真の機密文書"は、王宮を一瞬で氷漬けにした。


偽の文書と真の文書を照合した結果、王太子アルベールがゼフィールを陥れるために、私的な感情から国家機密の証拠を捏造しようとしたことが明らかになった。


そして、リリアーナの役割も暴かれた。彼女は、王太子の側近を装い、偽の文書を団長の私室で"発見"させるという、重要な共犯者だった。


「私の妻に手を出し、国家の根幹を揺るがす陰謀を企てた罪……」

ゼフィールは冷酷に言い放った。彼の声は低いが、その怒りは王宮全体を震わせるほど強大だった。


その後の裁定は、早かった。


王太子アルベールは、王位継承権を剥奪され、北の最も荒れた辺境の地に追放されることが決定した。彼が私に仕掛けた"断罪"の末路よりも、さらに厳しいものだった。


"ヒロイン"のリリアーナは、共謀罪により家門ごと没落。罪を償うため、生涯を修道院で送ることになった。


私が恐れていた"破滅のシナリオ"は、完全に、そして強大なラスボスの力によって打ち砕かれたのだ。



王宮での激しい報復の決着をつけ、私とゼフィールは、黒の竜騎士団長の馬車に乗り込んだ。


「ご苦労様でございました、団長」


私はゼフィールに、心からの感謝を伝えた。彼の知恵と力、そして、私を信じてすぐに動いてくれたその行動全てに。


「お前こそ、よくやった」


ゼフィールは私に顔を向けた。


馬車が動き出し、暗闇に包まれると、彼はゆっくりと顔の仮面を外した。


「お前が廊下の花瓶にメッセージを隠したとき、俺はお前が俺の秘密の共犯者であるということを、改めて認識した」


彼の素顔は、尋問室での冷酷な表情とは違い、安堵と、かすかな疲労を帯びていた。そして、そこには、私の前でしか見せない深い優しさがあった。


「あの暗号は、私たちが以前、冗談で決めたものですが……」


「冗談ではない。お前の"悪女"の知恵は、俺の持つ最強の力よりも頼りになる」


彼はそう言うと、私の体を抱き寄せた。今夜の抱擁は、夜の呪いを鎮めるための激しい熱とは違い、穏やかで、深い愛情に満ちていた。


「セシリア。お前は俺の妻だ。愛のない契約などではない」


私は彼の胸に顔を埋めた。彼の温もりと匂いに、安らぎを感じる。


「ですが、わたくしは愛を求めないと……」


「わかっている。お前が愛を求めないのは、お前が愛に裏切られることを恐れているからだろう。お前が高慢な悪女を演じるのは、弱い自分を守るためだ」


「…… 」 


彼の言葉は、私の転生者としての、誰にも言えなかった核心を突いていた。


「俺は、お前の悪女の仮面も、その裏にある臆病な心も、全て知っている。そして、お前が俺の秘密の優しさを知ってくれたことも」


彼は私の肩をそっと掴み、私から距離をとった。そして、真っ直ぐに私の碧色の瞳を見つめ、低く、力強い声で告げた。


「お前は俺の命の恩人であり、孤独を癒やす特効薬であり、そして、俺の秘密を守る唯一の共犯者だ」


彼は私の手を握り、静かに、そして決意を込めて言った。


「セシリア・クロムウェル。俺はお前との契約を、ここで破棄する」


「……え?」


「代わりに、俺はお前を、妻として、生涯をかけて愛すると誓おう」


その言葉は、まるで厳かな誓いの儀式のようだった。彼の眼差しには、偽りも、契約も、独占欲すらも超えた、純粋な熱情だけがあった。


「お前の地位も、富も、この先もずっと守り続ける。愛のない契約などではない。俺はお前を、一生愛す」



彼の告白は、あまりにも強大で、あまりにも甘かった。


私の心に張り付いていた"悪女"の仮面が、音を立てて剥がれ落ちる。


「……団長、わたくしは」


私が言葉を探すよりも早く、ゼフィールは再び私を抱きしめた。


「もう、仮面を被る必要はない。俺の前では、お前はただの俺の愛しい妻でいい」


私は、彼の優しさに初めて涙が溢れるのを感じた。愛のない契約から始まったはずのこの物語は、今、ラスボスによる、世界で最も甘い溺愛へと変わり始めたのだ。

(第12話・了)

(次話予告:【夫婦の真実】初めての甘い夜と、悪女が手に入れた最高の幸せ)

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