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ブラッドアンドハント  作者: アルミさん
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変わった世界

ハイエースに5人。

運転手は直哉。

助手席には田代。

勝樹はノートパソコンを操作して、天気予報、風向きを確認して作戦に支障がないか、修正は必要か検討している。

優斗はドッグタグを触る。

民間の魔物ハンター協会に入会すると渡される。

魔物ハンター協会の殆どが猟師。

次に多いのが、元自衛官。

いつ命を落とすかわからない。

せめて身元だけは分かるようにとそんな理由で、元自衛官たちが着用を広めたと聞く。

「うーん」

「どうしたの?作戦変更するの?」

勝樹の唸りに、レイナは微笑みながら聞く。

「いや、予報通りだよ。ただ…」

言葉を濁す。

「ただ?」

一瞬迷い、しかし隠しても仕方がないと判断する。

「収入がな」

狩猟と同じで、魔物を狩れば報奨金が出る。

ゴブリン一体、三千円。

十体で三万円。

五人で分ければ。

命を懸けるには、あまりにも安い。

だが現実は変わらない。

自衛隊も警察も人手不足で、都市部に人員を割かざるを得ない。

こんな田舎は、結局地元の人間が守るしかない。

「着いたぞ。」

直哉が告げると、各々車を降りる。

最終確認を行っい直哉がドローンを飛ばした後に、勝樹、レイナ、優斗は田代を先頭に山を登り始める。

傾斜は急で、足場も悪い。

枝や岩が行く手を阻む。

体力に自信のある優斗でさえ、徐々に呼吸が荒くなり、速度が落ちていく。

だが、最年長の田代は違った。

息一つ乱さず、後続を気にする余裕すらある。

力で進む若者と、技でいなす経験。

その差が、はっきりと現れていた。

田代は無線を取り出し、離れた場所にいる直哉に連絡を入れる。

「奴らの動きは?」

「大丈夫。やつらはまだ、気づいていない。」

皆を一度見渡した田代。

「予定では此処で別れるがどうする?」

「予定通りに進めます。」

「良し、レイナさんは俺とこっちの道だ。」

レイナは田代の後を追うように登り始めるが、一度立ち止まり勝樹を見る。

「気をつけてね。」

「そっちもな。俺達もいくか。」

「あぁ。」

勝樹と優斗は、もう一つのルートへと進む。

道なき道。

枝と草をかき分けながら、静かに前進する。

優斗は無線で定期的に連絡する。

「こちらAチーム異変なし。」 

「Bチーム異常なし。」

「Aチーム、もう少しでBチームが所定ポイントに着く。」

「了解、奴らの動きは?」

「ドローンで見る限りは異常なし、バッテリーが心もとない。」

勝樹は無線を取り出す。

「こちらにドローンを降ろして下さい。バッテリーを交換します。」

「了解」

数十秒後、ドローンが上空から滑るように降りてくる。

勝樹は素早く拾い上げ、慣れた手つきでバッテリーを交換する。

「終わりました。」

ドローンが起動し上空へと舞い上がる。

「休憩終わり、行くぞ。」

再度道なき道を歩み始める。

ゴブリン達の住処。

教科書で見たことのある枝や草を組んだ粗末な建造物。

子供が作ったような歪な柵と壁。

だが、その奥には確かに群れの気配がある。

「こちらAチーム、到着どうぞ。」

「Bチーム、いつでも。」

「連中は昼食中だ。」 

正門に一匹のゴブリンが見張りとしている。

勝樹と優斗は銃を取り出し、弾をこめる。

「できたか?」

「出来た。」

ワンテンポ遅れる形で勝樹の準備が終わる。

「確かあの柵の手前までだな?」 

「そうだよ。」

勝樹は無線を取り出し作戦開始を告げる。

「始めるぞ。」

「了解。」

今まで隠れていたのが嘘のように勝樹と優斗は堂々と正門へと歩き出す。

見張りのゴブリンが騒ぎ出す。

優斗は一呼吸置いてから一発撃つ。

その一撃で見張りは地面に倒れる。

騒ぎを聞きつけ、内部のゴブリンたちが一斉に動き出す。

「ハンタービジョン。ホーミングショット!」

優斗の構える散弾銃が再び火を吹く。

散弾。

弾の中に小さな玉が複数入っており、文字通り拡散しながら跳んで行く。

スキルの力で、空中で拡散した無数の弾が意思を持ったかのように軌道がかわり複数のゴブリンの頭や胸に吸い込まれるように当たる。

「装填!」

続いて勝樹も構える。

先頭の一番近いゴブリンに狙いを定め、乾いた音が響く。

続いて別の個体に狙いを定めて引き金を引く。

「装填」

猟銃は2発しか装填できない。

交互に撃つ。

ひときわ大きな音が響く。

田代のライフルが火を噴いた。

装填が終わった優斗が再び狙いを定める。

「ハンタービジョン。ホーミングショット!」 

その直後。

群れの奥から、一回り大きな個体が現れた。

他のゴブリンを押しのけ、前へ出る。

標的だ。

低く唸り、部下をけしかける。

「中途半端な知恵はつけるもんじゃないな。野生動物よろしく、逃げればいいのに。」

勝樹はつぶやく。

だが、それが狙いだった。

この個体を、ここへ引きずり出す。

そして出てきた。

だから、あっけなく田代のライフルにより貫かれる。

無線から声が聞こえた。

「お客が来たようだ。」

その一言で、空気が変わる。

やはり来たか。

「了解、気をつけて下さい。」

緑熊が田代の方に現れたようだ。

勝樹は短く息を吐く。

「手早く片付けるぞ。」

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