日常?
キャンパスの並木道を行く。
落ち葉は薄く白化粧をして、歩くたびに小さくきしむ。
講義に向かう学生たちの吐息が白く立ち、いつもより授業が遠い日のように感じられた。
構内の自販機で優斗がコーヒーを買っていた。
「寒いな」と勝樹が言うと、優斗はにやりと笑って肩をすくめる。
「寒い日こそ狩猟の時期だからな。俺としてはありがたい。」
勝樹は苦笑い返す。
「本当に好きだな。まぁいいけど。じゃ、また昼な?」
「持っていけ。」
温かい缶コーヒーを投げ、勝樹はぎこちなく受け取る。
「さんきゅ〜。」
昼休み、学食の窓際の席。
窓越しに細かい雪が舞い、外の景色をふわりとぼかしている。
優斗は箸を置き、真剣な顔で勝樹の目を覗き込む。
「なあ、狩猟免許取れって。山に入るなら、銃の扱いはちゃんと覚えとけ。」
「なんで俺が……」勝樹は箸を持ち直す。
「お前は猟師の家系だからだろ?俺は肉体労働は嫌いだ。」
「でも、銃は撃ってみたいだろ?」
勝樹は飲み込むようにうどんをすすった。
優斗の言葉は冗談交じりだが、本気で誘っているのも分かる。
「ま、いいや。話題を変えよう。お前、綾のことどう思ってるんだ?」
優斗がからかうと、勝樹は一瞬で顔が熱くなる。
綾の名はいつも彼の胸の奥を震わせる。
幼馴染で、ゼミ仲間で、大学でも有名な美人だ。
優斗はそれを知っていて、からかいながらも真面目に続ける。
「ライバル多いだろうな?」
「俺は…ただのお隣さんだ。たまたま、少し?仲がいいだけだよ。」
「あーはいはい。わかったよ。じゃ来週の週末、3人で遊びに行こうぜ?東京とか?こんな田舎よりたまには都会に出ないとな!」優斗は軽く提案する。
「そうだな。」
「じゃ、綾に連絡頼むわ!」
放課後、街の小さなカフェで二人は温かい珈琲をすする。
窓の外ではイルミネーションがちらつき、通り過ぎるカップルの笑い声が柔らかく聞こえる。
将来のこと、くだらないゲームの話まで、会話は流れていく。




