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ブラッドアンドハント  作者: アルミさん
17/33

日常?

勝樹は少し上機嫌だった。

まだ若い彼は食欲旺盛。

それを今日はイノシシの「肉」で満たした。

何時もより沢山食べても、家族で分け合っても余った。

満腹感に満たされ自室のドアを開けた。

真冬なのだから当たり前だが寒い。

しかし勝樹の寒さは別だった。

自室に入るために開けたドアは、古城の謁見の間へと続いていた。

後ろを振り向くと現世への扉はない。

何時もと変わらず気だるそうに玉座に座り頬杖をついているヤマ。

魔法陣の真ん中に槍が一本置いてある。

「まだ、日にち残ってるよね?」

その問いにヤマは答えない。

気だるそうに細目で勝樹を眺めているだけ。

沈黙。

どうやら帰す気は無さそうだ。

何を思い考えているのか、表情からは全く読み取れない。

分かるのは、あの魔法陣の中に入れば地獄のような痛み、苦痛が待っていると言うことだけ。

そして、ヤマが少しでも指を動かすと。

勝樹の手には槍を持たされ、紫色の肌をしたゴブリン2体の元へ送り込まれた。

数こそ少ないが、その2体は粗暴だが全身に鎧を着ており、手には剣が握られていた。

彼らの目は狡猾な獣にそっくりだ。

勝樹は息を吸い、槍の穂先をわずかに上げる。

夜のわずかな光が、刃の縁を帯びる。

2体のゴブリンが動き、左右から二体が襲いかかる。

一匹のゴブリンが剣を振り下ろす。

勝樹の反応は遅くは無かった。

彼は横に踏み込み、槍の柄を返して受け止める。

叩く鈍い音が響く。

衝撃の波が腕を伝い、手に伝う。

衝撃を受け流しながら流れる様に反撃を試みた。

柄を捻り、真上へと槍を振り払うはずだった。

槍が真っ二つに折れた。

「え?」

彼は驚愕と寒気ですくみ、片手で残る柄を握り締めたまま膝を折る。

受け流しに使った力が逆流するように返ってきて、剣が胸の奥へと貫く。

背後から2匹のゴブリンがトドメを刺す。

何かが決定的に狂っている。

謁見の間へと戻された。

冷や汗が滝のように流れ出る。

ゆっくりとヤマを見る。

いや、睨みつけた。

槍で受け流した感触。

あの程度で槍が折れるわけがない。

経験則で確証はない。

しかし勝樹は怒りに任せて槍をヤマに目掛けて投げる。

槍は彼女に到達することなく、消える。

「それが貴様の選択か。」

勝樹の足元に魔法陣が浮かび、転送された。

身構える勝樹だったが転送先は自室だった。





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