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ブラッドアンドハント  作者: アルミさん
15/33

日常?

扉から出たら自分の部屋。

スマホを見ると22時25分。

1分。

後ろを振り向くと当たり前のように壁。

手には本、ポケットにはポーションが入っていた。

疑いようがない。

現実だ。

手にある本、錬金術でよく使う基礎機材(初級)。

『錬金術初級』

〜物質と魔力の調和について〜

著:錬金監修記録(初学者向け)

第一章:錬金術とは何か

「……タイトルだけなら完全にゲームのチュートリアルなんだけどな」

勝樹は苦笑しながら椅子に腰を下ろした。

夢の古城から持ち帰った本。

現実の自分の部屋に、それがある。

ページをめくる。

紙の匂いがした。

古い、だが不思議と劣化した感じはない。

『錬金術とは、物質・魔力・意志を調和させる学問である』

「……いきなり哲学かよ」

勝樹は眉を寄せた。

ゲームならここで

素材を入れる

ボタンを押す

完成!

そんな流れになる。

やっぱり現実なんだ。

ボタン一つでは終わらない。

知識と時間、技術それらがないと駄目だ。

『多くの者は錬金術を物を作る技術と誤解する。

 本質は世界の均衡を再構築する行為にある』

「……再構築って」

魔物と戦わされ死に、生き返り戦わされる。

そのループ。

世界を再構築。

その言葉の重さが、妙に胸に残る。

少しでも足掻こう。

さらにページをめくる。

三原則の項目に入った。

『何かを得るには、必ず何かを支払う必要がある』

「等価交換……?」

 思わず口に出る。

 だが、その先の文章で息が止まった。

『価値とは物質だけではない。術者の精神状態も含まれる』

「……は?」

勝樹は本を持ち上げ、読み直した。

もう一度ゆっくりと。

精神状態つまり。

「作る人間のコンディションで結果変わるってことか……?」

それはゲームの概念には存在しない。

RNG(乱数)とは違う。

プレイヤースキルとも違う。

お前自身も素材だ。

そう言われている気がした。

ページは、さらに具体的な機材の説明に移る。

反応炉、分離器、結晶保持器。

だが、説明はどれも奇妙だった。

『反応炉は温度を制御する装置ではない。魔力振動と精神干渉を安定させる装置である』

「……意味分かんねぇ」

勝樹は額を押さえた。

整理しよう、振動、位相、干渉。

その単語だけなら理解できる。

だが、それが“精神”と並列に扱われているのが理解不能だった。

次のページは回復薬の項目。

ようやくゲームらしい内容に入ったと思った。

しかし

『回復薬は即時治癒を発生させない』

「……ん?」

思わず声が漏れる。

『身体の自己修復を促進する』

「ポーションってそういうもんなの……?」

ゲームでは、HPバーが回復する。

それだけだったがこの本の内容は違う。

あくまで補助。

しかも――

『精神状態が効果に影響する』

勝樹は椅子の背もたれに身体を預けた。

「……これ、めちゃくちゃ面倒くさいぞ」

思わず天井を見る。

ゲームならまず作り最適解を探し効率を詰める。

だがこれは違う。

最適解が、術者によって変わる。

さらに読み進める。

付録。

失敗例。

『回復薬を連続使用した副作用』

『結晶解放による反応暴走』

『精神集中不足による物質崩壊』

「……事故報告書じゃねぇか!」

背筋がわずかに冷えた。

この本は、優しくない。

初心者向けと書いてあるのに。

安全性の保証がどこにもない。

最後のページをめくる。

『錬金術とは力ではない理解である』

「まるで科学だな。」

本を読み進めて行くうちにいつの間にか寝てしまった。

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