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ブラッドアンドハント  作者: アルミさん
14/33

日常?

勝樹は立ち上がり、慎重に近づく。

取っ手に触れると、冷たいはずの金属が微かに脈打っていた。

まるで生き物の鼓動のように。

不気味さに一度手を離す。

そしてスマホを取り出し、撮影。

22時24分、扉は写し出されておらず、壁が写し出されていた。

再び取っ手をつかみ息を整え、ゆっくり回す。

扉は音もなく開いた。

画面の中はまだ壁を映し出している。

勝樹の目には真っ暗な暗闇が見えていた。

一歩踏み出した瞬間、謁見の間にいた。

慌てて後ろを振り向くも扉はない。

スマホはまるで電源が落ちたようにただの箱に成り果てていた。

後悔と絶望。

広大な空間の中央奥に玉座が据えられている。

そして、そこに座る存在。

ヤマ。

白銀の髪が玉座の背に流れ、頬杖をついたまま眠っている。

胸は微かに上下している。

圧力があった。

ただそこにいるだけで、小さい身体だが圧倒的に大きい怪獣を目の前にしているような。

はたまた空間が沈んでいる、ブラックホールの様にこの世の全てを飲み込むような。

勝樹は思わず息を潜めた。

起こしてはいけない、そう直感する。

夢がフラッシュバックの様に現れた。

絶対に起こしてはならない。

彼は静かに踵を返した。

(とりあえず脱出だ。)

古城は広大で設計したのは自分だ。

再び城の内部のマップを記憶から呼び覚ます。

無数の扉と区画が存在していた記憶がある。

勝樹は謁見の間を抜け、脇の回廊へと進んだ。

ソレを見送る赤い瞳と青い瞳。

相変わらず気だるそうに玉座に座っていた。

薄暗い廊下を歩く。

最初に訪れた場所は書庫。

浮遊する魔導書がゆっくりと跳んでいた。

大量にある本。

その中から本を数冊手に取る。

持って帰ってみよう。

次に辿り着いたのは、錬金区。

錬金部屋とは違い、大型の錬金工房。

ゲームでは、全てのアイテムや武具等を作ることができる設備が揃っている。

扉には複雑な術式が刻まれている。

中央には血滴の紋章。

恐る恐る触れると、紋章が淡く光り、扉が自動で開いた。

中は巨大な工房。

天井近くまで届く蒸留装置。

浮遊する水晶反応炉。

幾何学模様を描く錬成陣が床一面に刻まれている。

空間そのものが魔法陣の内部のようだった。

中央の作業台に、いくつかの物品が整然と置かれている。

勝樹は慎重に近づく。

最初に手に取ったのは、小型の水晶瓶だった。

中には銀色の液体が封入されている。

ゲームでは、素材を突っ込んで時間が経てば出来上がっていた。

多分、ソレは無理だ。

錬金区を、見ていると緑色の液体が入った小瓶を見つけた。

初級回復ポーション。

懐かしい。

吸血鬼には意味がないクソアイテムだった。

それをポケットにねじ込む。

ここから出るにはどうしたらいいか。城門から出れば良いか、あの扉が何処かにあるのか。

足元が輝く。

眩しく目をつぶるが背中に氷を押し付けられたように冷たくなる。

光が収まり恐る恐る目を開ける。

謁見の間。

赤と青の瞳が勝樹を射抜く。

「おはよう?」

声が震える。

ヤマ小さくため息をついた。

右に魔法陣と槍が置いてあり、左にはあの扉が現れた。

静寂。

ヤマは何も話さず気だるそうに再び目を閉じた。

勝樹は恐る恐る立ち上がり、扉を開けた。

「後6日で3階」

はっきりと聞こえた。

ノルマを課されていたのか。


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