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【完結】六専特区の一般生徒《スキルホルダー》 ~20XX年、光の雨によって超能力に目覚めた子供たち~  作者: 赤木さなぎ


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#Another side アルファブラザーズ

「おい! ブラザー! もっと速く走れねえのか!」

「これで全力だぜブラザー! それよりも、アルファ様は!?」

「逃げられちまうから薬で眠らせたぜ、ブラザー。今は大人しくしてくれてるぜ」

「……それよりも、なんか視線を感じねえか? ブラザー」

「そんな訳――いや、ビンビンだぜブラザー」


 チンピラ風の二人の男は、黒いワゴン車を猛スピードで走らせる。

 天の架け橋(ヘヴンリーブリッジ)の検問を無理やり抜けて、本島の道を法定速度も信号も無視して爆走。


 一人は運転している金髪、一人は後部座席で拉致して来たアルファを抱きかかえているオレンジに近い茶髪。

 どちらもガタイが良く、言われなければ学生だと分からない程に厳つい外見をしている。


 二人はスキルホルダー解放戦線のメンバーだ。

 ナンバーツーから天の結晶の発生の一報を聞き、リーダーであるアルファと共に海上の目標地点へと向かった。

 

 元プラスエスの人体実験の非検体として様々な改造を施され、スキルを拡張されているアルファは勿論、二人も優秀なスキルホルダーだ。

 更に普段からアルファの側近として共に活動していたという理由も有って、天の結晶回収にあたる人員の選抜に迷いは無かった。

 それに加えて、数名の構成員が天の結晶回収にあたる人員に加わった。

 この人員選抜はナンバーツーによるものだ。

 

 そこまでは良かった。

 しかし現地に着いた途端、ナンバーツーからの情報に無かったプラスエス残党が海上に現れたのだ。

 不意打ちに近い形で襲われ、アルファ一同との戦闘になった。

 

 相手はプラスエス残党、大人たちの集団スキルホルダーを擁さない。

 いくら銃火器を携帯していたとしても、通常であればアルファ一同が圧倒するはずだった。


 しかし、イレギュラーは重なる。

 おかしいとは思っていた、何故海上という開けた場所でプラスエス残党の船の接近に気付かなかったのか。

 理由は分からない。しかし、彼らは“スキルを使っていた”のだ。


 スキルによる幻覚で敵味方を誤認させられ、アルファ一同の部隊は半壊。

 アルファも全力でスキルを振るい何とか痛み分けに持ち込むも、激しいダメージを受け海に投げ出されたアルファは記憶を失ってしまう。

 生存したのは、アルファと二人の構成員だけだった。

 しかし、記憶喪失のアルファは混濁した意識のまま、ふらりとどこかへ居なくなってしまう。

 

 二人は元戦線メンバー藍原(あいばら)を頼り、アルファの捜索をしていた。

 そんな中での今日の事だ。任されていた仕事を終えて藍原の元へ戻れば、なんとアルファが居るではないか。

 また逃げられては堪った物では無いと考えた二人は、“煙”と“音”のスキルを使って攪乱し、アルファを拉致。

 

 そして、ついにスキルホルダー解放戦線の本部へと帰還した。

 茶髪が眠るアルファを担ぎ、金髪が勢いよく扉を開く。


「――ナンバーツー! ただいま戻りましたぜ!!」


 ここは解放戦線本部にある、アルファの利用していた部屋だ。

 ナンバーツーはアルファの座っていた玉座――そう呼んでいたが、ただの古いソファだ――に足を組んで腰掛けて、煙草を吹かしていた。

 頭髪の後退した眼鏡をかけた50代近くの男で、スーツの上に白衣を羽織っている。


 ナンバーツーは慌てて玉座から飛び退き、むせ返りながら二人を出迎える。


「お前たち、生きていたのか!?」

「ええ、何とか! アルファ様も、この通りご無事ですぜ!」


 茶髪の方が肩に担ぐアルファを見せれば、ナンバーツーの顔色が変わる。


「なッ……!? アルファ様、まさか生きておられたとは……。海上抗争に巻き込まれて亡くなったと聞いていたが?」

「ええ。確かに抗争にはなりましたが、その程度でくたばるアルファ様じゃあありませんぜ! ただ――」

「どうした? 何か問題でも有ったか?」


 痛ましそうに、金髪が言う。


「……アルファ様は、抗争に巻き込まれた際に負傷し、記憶を失っているみたいで……」

「へえ。記憶喪失、か……」

 

 それを聞いた途端、ナンバーツーの雰囲気が変わる。

 コツコツと靴音を立てて近づいて来るナンバーツーの口角がにやりと怪しく歪む。

 その様子に、金髪と茶髪は違和感を覚えた。

 

 その瞬間――、


「ぐっ……がはっ……」


 ナンバーツーが茶髪の首筋に注射器を突き刺した。

 茶髪は苦悶の表情のまま、その場に倒れ込む。

 抱えていたアルファの身体も一緒に、どさりど地面に転がった。

 麻酔薬だ。


「ナンバーツー!? ブラザーに何を――」


 続いて、金髪が声を発し終える前に膝蹴りを入れ、注射器を突き刺す。

 金と茶、二人は共にノックダウン。

 

「ふぅ……やれやれだ。お前らは茶髪の“音”さえ先に封じてしまえば、金髪はただ煙たいだけの雑魚なんだよ」


 表情や雰囲気どころか、態度も口調も変わったナンバーツー。

 倒れるアルファをつま先で蹴り転がし、顔を上に向ける。


「綺麗な顔で寝てるじゃねえか。しかし、いやまさか記憶喪失で帰って来るなんて、ボクに都合よすぎじゃね?」

 

 そのまま乱雑に、引きずる様にして部屋の外へ。


「じゃ、折角玩具が転がり込んで来たんだから、作戦変更っつー事で。“プラスエス”でやり残した遊びの続き、させてもらうわ」


 ずるずると引きずって、小さな少女の身体をまるで物の様に扱い、白衣の男は解放戦線本部から姿を消した。


「く、くそ……」

「あ、アルファ、様……」


 金髪と茶髪は、激痛で動けない。

 やがて、意識を失った――。

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