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天仕の少女と魔人の少年(天女と魔年)、天仕の少年と人間の少女(天年と人女)の物語  作者: 説那


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天年と人女 後編 第十七話 手紙

 愛するテラスティーネ


 貴方がこの手紙を読むときには、私はもうこの世にはいないでしょう。

 貴方を一人にしてしまって、ごめんなさい。

 貴方のことは、我が兄である領主様、エルキュール様にお願いをしました。エルキュール様の子どもたち2人と一緒に、面倒を見てくださるそうです。

 エルキュール様の子どもたちは、貴方と歳も近いので、きっと仲良くできることでしょう。


 今回は、貴方のお父様のことをお話ししたいと思います。

 貴方のお父様アルフォンスは、騎士団長をしており、とても剣の腕が立つ方でした。

 お父様とは、学び舎である院で初めてお会いしました。

 貴方と同じ水色の髪、そして、金色の瞳を持っていらっしゃいました。

 私はその時、虚弱体質で、いつまで生きられるか分からない状態でした。

 お父様は、そんな私を診察してくれ、虚弱体質と短命を治療してくださいました。


 貴方のお父様は、天仕です。

 貴方も院で学ぶと思いますが、天仕は、自分の持っているものを、他者に与える力があります。お父様は、その力を使って、私に命の一部を分け与えてくださったのです。

 治療のおかげで、私は寝込むことも無く、他の人と変わらぬ生活を過ごせることになりました。

 そして、お父様と心を通わせ、彼と婚姻し、可愛い貴方を産むことができました。

 私は、貴方のお父様に感謝しています。諦めていた未来を私にくれたのです。


 貴方のお父様は、私と貴方の命を守って、行方不明になり、もう亡くなってしまっただろうと言われていますが、実際は、存命しています。

 ただ、一緒にいると、私たちに危険が及ぶことから、お父様は私たちと別れて暮らすことを選択されました。合わせて、自分は死んでしまった、または行方知れずになったことにしてほしいと言われました。

 彼が生きていることが分かると、またお父様及び私や貴方が襲われる可能性があったからです。


 お父様には、貴方に私が全てを話していると、伝えていません。

 そして、私もお父様が今どこにいるのかはわかりません。私がお父様からいただいていた連絡手段である魔道具の手紙一式は、この間最後の一通を使ってしまいました。

 しかも、一方通行の連絡手段であったことから、お父様から連絡をいただいたことはありません。

 もし、いつか貴方がお父様に出会うことがあったなら、私がお父様に会えて、とても幸せだったことを伝えてあげてください。


 この手紙に、貴方にお父様から渡してほしいと言われたものを同封します。

 これは貴方を守るお守りです。

 守護石と言って、天仕は、自分の子にこれをお守りと称して渡すのだそうです。私は魔力が少ないので、確認できませんでしたが、宝石に魔力を流すと、宝石が光り、白い羽根が舞うのが特徴とのことです。

 きっと、貴方の未来を守ってくれることでしょう。


 最後に、貴方もいつか、私にとってのお父様のように、きっと貴方のことを大切にしてくれる人に出会えることでしょう。

 その時は、自分の気持ちをちゃんと言葉にして伝えなさい。

 態度で示していればわかるだろうと、相手に甘えて、言葉にすることを疎かにしてはなりません。どれほど相手のことを思っていようとも、自分の気持ちを言わずに分かってくれというのは傲慢なのです。


 どうか貴方も幸せな生活を送れますように。

 母は天から見守っていますからね。


 貴方の母 フェリシア


 ◇◇◇◇


 私は何度も読み返した手紙の文字を手でなぞり、軽く息を吐くと、元のように折りたたんで、入っていた封筒に入れこみました。


 親愛なるお母様。

 私にも大切だと思える殿方が現れました。

 毎日のように私の様子を見に来てくれ、本やお菓子をいただき、私は与えられるもの全てにお返しができず困るほどです。それを素直に伝えると、自分がしたいからしていると、口にされるような方です。

 私はあの方の側にいて、力になってあげたいと思うのです。

 どうか、見守っていてくださいませ。


 背後の扉をノックする音が聞こえました。私は封筒を引き出しにしまいながら、応答します。

「テラスティーネ様。カミュスヤーナ様がいらしていますが。」

「今、まいります。」

 私は鏡で自分の身なりを確認してから、部屋を出ました。

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