表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天仕の少女と魔人の少年(天女と魔年)、天仕の少年と人間の少女(天年と人女)の物語  作者: 説那


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/79

天年と人女 後編 第七話 脅威

 門の近くで警戒していた私の横に、騎士が立って敬礼した。

「アルフォンス様。交代の時間です。」

「ああ、ご苦労。」

 遠くの空が白く明るくなっている。夜明けが近いのだろう。

 仮眠をとるために詰所に足を向ける。仮眠をとった後は、訓練がある。それから事務仕事を行い、今日の夜は館に帰れるだろう。


 きっと、フェリシアが笑顔で迎えてくれるに違いない。

 彼女のことを思うと、自然と口の端が緩む。

 今、彼女の腹の中には、私と彼女の子どもがいる。婚姻してから大分時が過ぎており、このまま子はできないかと思っていた。治したとはいえ、元々虚弱の彼女が、出産に耐えられるか不安にも思っていた。そこは、彼女に押し切られたが。

 本当は毎日でも側についていたいが、仕事柄そうもいかない。だから、家にいる時間はできるだけ彼女の様子に気を払っている。


 そろそろ詰所に着くかと思う頃、突然肩から背中にかけて熱くなった。

 足から力が抜けて、その場に膝をつきそうになる。

 一体何があった?

 後ろを振り返ると、そこには一人の男が立っていた。

 男は身体の前に剣を構えていた。それを私の背後から振ったらしい。

 顔は視認できなかったが、男の背後に広がっているものが、何かは分かった。

「何者だ!」

 私は後ろに向かって体勢を立て直し、腰に下げられた剣を抜く。

 私の言葉に相手は笑ったようだった。


 剣を私に向かって振り下ろしてきた。それを自分の剣で受ける。鈍い音と共に、風圧と刃の重さが自分にかかる。

「そなたが天仕だと、ばらされたくなければ、私と共に来い。」

 男は、私と剣を交えながら、そう言った。

 最初の一撃が効いていて、身体がふらつきそうになるのを必死で抑えた。

 相手の顔が見えない。

 まだ夜が明けようという時間だ。周りには人影はなく、詰所からも死角になっていて、こちらは見えないだろう。つまり、助けも望めないということだ。


「こう言った方が効果的か。そなたの妻と子を害されたくなければ、私と共に来い。」

「貴様、フェリシアに何を。」

「まだ、何もしていない。そなた次第だ。」

 男は、剣戟の合間を縫って、私の腹にこぶしを見舞った。

「ぐっ・・。」

 視界が白くなる。

「簡易鎧では、腹は無防備だな。」

 身体を折って力が抜けた私の手元から、男は剣を振り払った。剣が手元から外れて、地の上を滑る。

 男は、自分の剣を鞘に収めると、俯いた私の髪を引いて、目を合わせてきた。


「・・イレミアス。」

「やっとわかったか。はぐれ。」

 イレミアスは口の端を上げた。黒い髪に金色の瞳。そして、背中には白い羽が広がっている。

「手間をかけさせて。やっと見つけたぞ。この場で殺ってもいいのだが、そなたには聞きたいことがある。」

 髪にかけていた手を乱暴に振り払うと、彼は私の身体を肩に担ぎあげた。

 彼の背後で翼が翻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ