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天仕の少女と魔人の少年(天女と魔年)、天仕の少年と人間の少女(天年と人女)の物語  作者: 説那


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天女と魔年 後編 第十五話 逃亡

マクシミリアン。

貴方に何も言わず、勝手に行動してごめんなさい。

でも、カミュスヤーナを安全と思われるところに預けたら、すぐに貴方のもとに戻るから。許してください。


マクシミリアンとは、話し合いができなかった。

私の身体を心配してくれて、話す時間をもつぐらいなら身体を休めてほしいと言われてしまう。彼の顔を見る限り、それは本心から言っているようなので、私はそれ以上彼を引き留めることができなかった。私は彼を困らせたいわけではないから。


でも、カミュスヤーナを犠牲にするのは嫌なのだ。だから、私は一人でカミュスヤーナを人間の住む地へ逃がすことにした。誰かに預けることができたら、カミュスヤーナが大きくなれば、一緒に住むことができるかもしれない。次は私がマクシミリアンを説得して、彼を生かすことを認めてもらおうと思っていた。


私の腕の中では、彼と同じ瞳を持つカミュスヤーナがキョトンとした顔で私を見つめている。私は自分の首にかけられた守護石を外し、彼の服の中に入れ込んだ。その上から、ギュッと抱き込む。

自室に転移陣の布が広げられたままだから、そう経たないうちに誰かに気づかれて追ってこられてしまうだろう。その前にカミュスヤーナをどこかに預けないと。


アルフォンスには、転移陣を処分するように言ってあったが、彼は気をきかせてか、転移陣を敷いてある部屋ごと、そのままにしていたようだ。

自室で転移陣の布を広げ、自分の魔力を流したら、こちらに来ることができた。部屋の中は、私は以前に転移陣を使った時と全く変わっていなかった。

・・・・弟や両親にこれ以上頼ることはできない。

マクシミリアンの元へ行くこともようやっと許されたのだ。そこから逃れてきたなど、どうして言えよう。特に父様には。


私は部屋の窓を開け、そこから屋外に身を翻す。

2階の高さだったが、高いところは苦手でもない。問題は辺り一面が雪化粧だったことだ。私が住んでいたユグレイティの地は、暖かでそれほど雪は降らない。

あまり人に見られないよう姿を隠すために、外套を持ってきて本当に良かった。外套のおかげでそれほど寒さを感じない。カミュスヤーナは、更に温かい生地の布で、幾重にも身体を包んであるから、寒さは感じないはずだ。

それに雪のおかげで、外には人がいなかった。無事この場を離れることができそうだ。

問題はどこに行くかだけど。

ひとまず人がいない方へ歩いていくことにした。


多分中心地からは離れているのだろう。家がほとんどなくなり、森の中を歩いているような状態になった。

道には雪が積もっており、人通りも少ないのだろう。道とはいえ、雪が全く溶けておらず、歩くのが大変だ。

でも、この道をこのまま進んでいくと、境界転移陣に行き当たってしまうのではないかしら・・。


境界転移陣は、隣領に移動するのに使用するため、境界に張られている転移陣だ。しかも、領の境界付近に張られている転移陣からは、隣領には移動できない。隣領に移動するには、直営地にある転移陣を使うしかない。直営地にある転移陣から、領の境界付近にある転移陣への一方通行なのだ。これは隣領から直接直営地に踏み込ませないよう、防衛のためにとられた手段である。

境界転移陣の近くには、通行手形を確認している騎士の宿直所があったはず。

そこであれば、少しの間は滞在できるかもしれないし、何か情報が得られるかも。


幸いカミュスヤーナは腕の中でよく眠っている。

夜前に宿直所に着ければいいのだけれど。

この道は移住してきた時に通ってきているはずなのだが、その時は馬車だったし、季節的にも春だったような気がする。雪は積もっていなかった。

今は歩きで、赤子を抱いており、かつ雪道だ。馬車の時も数時間はかかったはずだ。

でも、カミュスヤーナを助けるためなら仕方がない。


遠くで、鳥の羽ばたく音と、狼のような魔物の遠吠えが聞こえた。

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