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68 .博多分校

Side: 府谷恭平

ターミナル横に作る町を「屋台村」と名付けた。

今も既に沢山の屋台が出てるので、その一部という認識にした。

下手に「城下町」なんて呼ばれたらあらぬ疑いをかけられるからね。


屋台村の住人で子供は100人ほどいる。

なので幼年学校の分校を開校した。

カリキュラムはゲームだけだ。しかもドローンシミュレーターのみ。


目的はドローンに適性のある子を発掘し、才能のある子はセンターで鍛えて優秀なドローン操縦者を増やすことだ。

実際、幼年学校もドローンを必修にしたら優秀なドローン操縦者が沢山確保出来た。

将来的にはドローン100機編隊で絨毯爆撃出来ればと考えている。


「これは一体なんでござるか?」

大林さんも興味があるみたいだ。


「これはドローンのゲームです。ちょっとやってみますか?」

やっぱり意味が分からないみたいなので、俺がやっているところを先ず見て貰う事にした。


コントローラを持ってゲームをスタートさせる。

フィールドはこの博多周辺に似たマップを選択した。


最初のミッションは固定目標への爆撃だ。

マップ上に5つの赤い点が表示されるので、より少ない弾数でいかに早く爆弾を命中させるかを競うシナリオだ。


これはイージーモードなので、ドローンから何発も爆弾が投下できるようになっている。

それでも俺は各ポイントを一発づつで当てて見せたが。


「これは物を落とす遊びでござるな。」

大林さんもなんとなく理解し始めたようだ。

なのでもう少し理解を深めてもらおう。


「こちらを見て下さい。」

筑紫館跡地での爆撃シーンをスマホの動画で見せた。

大林さんは一瞬で理解したのか絶句している。


「鉄砲といいドローンといい、南蛮の戦い方は恐ろしいものがありますな。こうも次々に新しき物が出ると某の兵法もさらに練り直しが必要にござる。」


それから大林さんもドローンシミュレーターでゲームをやったが一発も当てられ無かった。

「い、以外と難しいものにござるな。」

最初は誰でもあんなもんだ。



博多分校でドローンシミュレーターのゲーム大会を開いた。

初めは何の事か分からずに集まった生徒達も、センターから連れて来たドローン優秀者のプレイを見れば盛り上がる。

そう、ネット動画で上手い人がプレーするシューティングゲームを見るような感じだろうか。


最後までノーミスでクリアしたのを見て、生徒たちは僕もあたしもと次々に挑戦するが難しい事に直ぐ気付く。

それでも何回も挑戦して頭角を表してくる子はいるもので、そういう子は褒めちぎって賞品にチョコなんかを渡してあげる。


さらにその日のトップ10を張り出したりしたら、他の子も競争心を煽られて頑張ってくる子が出てくる。

良いスパイラルで全体の底上げが出来たらいいなと考えている。


ちなみに連れてきたドローン優秀者は与四郎くんと言う。

幼年学校卒業者で最初にドローン隊に入った子だ。

まだ12才ながらもかなり良い腕をしている、ドローンでは全く勝てる気がしない。


この与四郎くんを博多ターミナル付きとして配属する事にした。

普段は博多分校の教師役をやって貰うが、戦時にはドローンによる偵察や爆撃任務に就くことを大林さんには説明してある。


そして偵察班としての仕事もして貰っている、偵察気球だ。

博多ターミナルにも偵察気球を上げる事にした、これにより半径10kmくらいの監視が行なえる。

その気球のメンテナンスを任せる。

システム的なところはセンターで管理するので、だいたいヘリウムの補充くらいだが。


大林さんは偵察気球の航空映像を見て「これでは戦になりもうさんな。」と言っていた。

十二分に活用してくれる事だろう。


それから大林さんにもスマホを渡す事にした。

ここまでいろいろ見せた後だとスマホぐらいじゃ驚かないと思っての事だ。


「これは何でござる?」

「これはスマホです、通信に使えます。」


試しに大林さんのスマホに電話をかける。

いきなり着信音が鳴ってちょっとびっくりしている。


「このボタンを押すと通話が出来ます。」

と、大林さんにボタンを押させる。


「もしもし聞こえますか?」

「目の前にいるので勿論聞こえますぞ。」


いや、そうじゃなくて。とスマホを耳に当てさせて通話する。

大林さんもやっと分かったらしく、少し興奮している。


「これはもしかして?」

「そうです。これがあれば離れていても連絡が取れます。」

「どんなに遠くてもでござるか?」

「少なくともセンターとなら通話出来ますね。」


「これは所長以外とも連絡が取れるので?」

大林さんはここの警備隊長に任命されてからは俺のことを所長と呼ぶようになった。


「はい、連絡先が登録してある人なら誰とでも連絡出来ますよ。」


「それは・・・、戦が変わりもうすな。」

大林さんはもうお腹いっぱいみたいな顔になっている。

これからは毎日定時連絡をしてもらうことにしよう、スマホの操作にも直ぐ慣れるだろう。


分からない事があったら与四郎くんに聞くように伝えた。

彼もこの頃スマホを持ったばかりで自慢したい盛りだと思う。

充電の仕方からアドレス交換の方法など優しく教えてくれるはずだ。



これらの準備が整った頃、博多ターミナルは完成した。

屋台村は工事に従事していた人達の受皿にもなって、さらにその規模を大きくしていった。

屋台はその種類も数も増え、さらに博多の人々も利用出来る大浴場も備えた一大歓楽街へと変貌を遂げていった。

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