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66.ターミナル建設

Side: 府谷恭平

博多に出した硝子屋が結構評判いい。

透明なビー玉は島井さんと談合して値段を吊り上げているが、色付きビー玉に付いては割とリーズナブルな値段にしているのでかなり売れている。

その他の品についても、今は硝子製品というだけで売れているような状態だ。


なので、この儲けを使って島井さんに大量の石灰石と鉄鉱石を発注した。

量的に多すぎかな?と思ったが大丈夫なようだ。


というのも、筑前は石灰石が取れる所が多いらしく、それ程無理をせずに集められるとのこと。

鉄鉱石については博多に集まって来る量からすると大したこと無いと言われた。


建設班に博多のトラックターミナルの施工をお願いした。

今は資材置場の確保やコンクリート製造所、宿泊施設の建設などの下準備を行なっているそうだ。

博多まで運べる重機は限られるので、土木工事や荷物運び等は現地で人を雇うことになる。


人の雇用は上手く行っているみたいだ。

何処にでも一定数の貧しい人がいるみたいで、食事の提供で働いてくれる人は多い。

希望者は入信して貰って給料ポイントも追加で払う。

屋台などで酒が呑めると知れるとほぼ全員が入信した。


コンクリートの材料となる砂利や砂に関しては現地調達だ。

セメントに関しては、石灰石と鉄、粘土やケイ石を使う。

これを円筒形の回転窯に入れて焼いていく、出来たものを冷やして破砕すればセメントの完成だ。

鉄筋はセンターで作成した物をじゃんじゃん運んで来る。



トラックターミナル建設地の周りに俄かに出現した屋台村は、博多の人の興味も引いた。

入信するところまでは同じだが、裕福な人からはお布施も受け付けていたので屋台の利用はスムーズにいった。


食事系ではやはりラーメンが人気になったが、こちらには親指のサービスは無い。

その他に人気を集めたのがうどんとお好み焼きだ。


「このコシの無いうどんにかしわ飯は最高。」

「お好み焼きにはドロっとしたソースとマヨがたまらん。」

社員の姿も結構見受けられる。


飲み屋系だと、焼鳥、唐揚げ、串揚げ、焼餃子なんかが混雑している。

おでんや豚汁(猪)などの汁物も有り、寒い季節には最高だ。

その他、たこ焼き、焼きそば、回転焼き、クレープ、お汁粉等も幅広い人気を集めていた。



工事も基礎工事が終わると、単純な穴掘り何かは一段落するため人手が余るようになってくる。

そんな彼らを集めて魚を獲って来て貰う事にした。

ゴムボートと釣具を貸出し博多湾で魚を獲って来て貰う。


センターでは海魚は取れないので、これ幸いと多くの人にお願いしたらかなりの量の魚が集まって来た。

自分だけでは捌き切れなくなったので、漁業班を立ち上げて魚の仕入管理を任せることになる。


「いやー、タコが入荷出来て助かったよ。これでたこ焼き屋が続けられる。」

タコなんかは結構喫緊の課題だったりした。間に合って良かった。


そんな感じでターミナルの2階部分が出来始めた頃、大林さんが訪ねて来た。


「お久しぶりです、大林さん。鉄砲の方は上手く行きました?」


「久しぶりにござる。それが、言いにくい事ながらお役御免となり申した。」


えっ?何があったの?



Side: 大林菅助

「菅助、鉄砲の作り方は分かったか?」

山口へ戻り、お屋形様へ鉄砲の報告をした。


「はっ、この通り鉄砲を自らの手で作り上げる事が出来ましてございまする。」

「ほう、それは良かった。ならば鉄砲の生産は出来そうか?」

「それが特別な道具が必要でしてままなりませぬ。」


しまった、明らかに落胆されている。

「そ。そこで商人と交渉しまして1挺20貫に値を下げさせてまいりました。」


「菅助、技術者を連れて来るのはどうなった?」


「いえ、連れて来た者はおりませぬ。」


こ、これはさらに渋い顔に。


「五郎(陶隆房)どう思う?」

「は、お屋形の命を果たさずにおめおめと戻って来た者など捨て置かれて良いかと。某にお任せ頂ければ必ずやお屋形の期待にお応え出来ましょう。」


お屋形はふぅ、とため息を吐いて仰られた。


「菅助、そちを鉄砲製造の任より外す。」


「お、お待ち下されお屋形様。」


再考を訴えようとした時、陶様から火の出るような叱責をされた。

「まだ分からんかこの痴れ者が!主命を果たせぬ様な者はこの大内には不要であると心得よ!」


「もうよい。下がれ、菅助。」



Side: 府谷恭平

「という訳にごさる。」


大内への売込みは失敗したか。

まあ、島井さんが買ってくれると言っているし、無問題としておこう。


「それは何と言えばよろしいのやら。それを伝えにわざわざ来て下さったのですか?」

「ええ、某、大内家を出る事にしました。新参者なのでお役目を解かれると居場所が無くなりますゆえ。」


退社?して次に仕える家を探すべく、九州を回ってみようと博多に寄った際に会いに来てくれたそうだ。


「それならウチで仕事しませんか?」

丁度いい、戦闘指揮官が欲しかった所だ、来てくれるなら足軽部隊が編成出来る。


「え?商人のですか?」

大林さんも急な話で戸惑っているようだ。


「足軽隊を任せる指揮官が欲しかったところなんです。衣食住は補償しますのでどうですか?」


「某に兵を任せて貰えるのですか?」


「ええ、どうでしょう?」


大林さんは少し目を瞑って考えた後、仲間になってくれた。

「よろしくお願い申す。」

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