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55.包囲戦術

Side: 府谷恭平

筑前国への扉が開かれた。

これが何を意味するかというと。


「所長!また奴らが攻めて来たそうです。」


そう、筑紫氏との抗争である。


道路が開通して直ぐの所に筑紫神社というのがあり、筑紫氏はこの神社所縁の氏族だそうだ。

そしてこの辺り一帯は筑紫氏発祥の地になるそうで、筑紫氏の勢力範囲ど真ん中と言っても差し支えない所とのこと。


常に偵察ドローンを飛ばしていたので、奇襲される事はないが50人くらいがちまちま攻めて来るので工事に集中出来ない。

なので工事は一旦中断して、ガレージ広場まで戻り対応を協議中だ。


「空から確認したところ敵の拠点は2ヶ所です。1つは筑紫神社、もう1つは筑紫館になります。」

豊令さんからの報告で敵の拠点が判明した。

筑紫神社の方が開通地点から2kmくらいと近く、筑紫館の方はさらにその先1kmほど離れた所にある。


「兵力はどれくらいいるの?」

「筑紫館に200人ほど、此方が主力ですね。筑紫神社は50人ほどでしょうか。」


うーん、筑紫神社の方は割と直ぐに落とせそうだと思うけど筑紫館は200人か。

先ずは此方で出せる戦力の確認だな。


「舟酒さん、センターの守備に人を残すとして、出せる戦力ってどのくらいあるんですか?」

「そうですなぁ、連射弓の守備兵と社員の半分を残すとして、社員が30名程と連射弓搭載トラックが6台ですか。あとは鉄砲隊が40名と一般会員ですかね。」

「一般会員は何人くらいが見込めそうですか?」

「まぁ、武装が整っている人はいいとこ200人くらいじゃないですか。」


「合計300弱というところですか。何か策はありますか?」

「策というほどじゃ有りませんが、神社の方は守りも薄く人数も少ないので、ドローンで催涙弾でも落としてこの人数で押し込めば何とかなると思いますが。」

「問題は筑紫館の方ですよね。」


「あのー。」

おや?ここで古田さんから声が上がった。


「囲んでしまえばいいんじゃないでしょうか。」

「それは筑紫館を囲むということでしょうか?」


「いいえ、筑紫神社を攻めたら筑紫館から援軍が来ると思います。その出て来た敵を包囲殲滅すれば良いかと思いまして。」


お、包囲殲滅と来ましたか。古田さんいい年のおじさんなのに、もしかして厨二病?


「所長、案外いいかもしれませんよ。」


おや?舟酒さんあなたもですか?


「わかりました。詳しく聞きましょう。」


「先ず、筑紫神社を社員と鉄砲隊と一般会員で攻める。ここまではいいですかい?」

「はい、続けて下さい。」


「ここからは筑紫館から援軍が来たと仮定します。」

「はい。」


「筑紫神社に立て籠る我々を敵が攻めている間に、ガレージ広場辺りに待機させた連射弓搭載トラックを敵の横に回らせて脇を突くのはどうですかい?」


「確かにそれはいいですね。ただ、もう一押し欲しいところですが。」


「そうですな。敵の退路を塞ぐ事が出来ればなおいいんですがね。」


そこで俺はピンと来た。

「舟酒さん、アレを使いましょう。」



Side: 島頼重

数日前より山鳴りがするという知らせが上がってきていた。

暫くすると、三国峠の木々が切り倒されているという。

不審に思い、見回りに出ると奴らが山を切り崩して現れた。

直ぐに人を集め追い払ってやったが、あ奴らは何者なのか?


「殿ーっ!筑紫神社が攻められています。」

なんとバチあたりな。先程のあやつらであろうか?とにかく助けに行かねば。


「者共、出るぞ!神社を守るのじゃ!」


館の守りに50人ほど残して神社へ向かう。

いかん煙が上がっている。火を放たれたか。


「者共ーー!掛かれーーっ!」


神社に近づいていくと、いきなり物凄い轟音が鳴り響いた。

前にいた兵達が何人かバタバタと倒れた。


??何が起こった?


咄嗟に不味いものを感じたので兵達を後ろへ下がらせた。

ある程度距離を取ると轟音がパタリと止んだ、おそらく弓矢のようなものなのだろう。

攻めあぐねていると、今度は何かは分からないが大きな箱の様な物が我らの左手に陣取って矢を凄い勢いで射かけてきた。


「矢盾で防げ!」


こちらも弓で射返そうとするが距離が遠い、何故こんな遠くまで弓が届くのか?

まあいい、林の中に入ってしまえば矢も届くまい、神社裏手の林から攻め掛かるか。

と思っていると今度は後ろからパーンと音が鳴った。


「あはは、、、うふふ、、」


何やら邪悪な笑い声が聞こえる。

さらにパーン、パーンと音がすると、近習の者が倒れた。

いかん、敵の攻撃だ。


前と横と後から囲まれそうになったので、空いている方へ一旦兵を移動させねば。

すると今度は神社に籠った敵が討って出て来たか、忌々しい。


「あはは、、、うふふ、、」


またあの笑い声が聞こえる、そしてパーンと音が鳴ると人が倒れる。

気が狂いそうになるのを抑えて自分を奮起させる。


「者共ーー!あの林を目指せー!」


兵を林の方へ向かわせて一旦立て直そう、囲まれては此方が不利だ。

すると今度は林の方から轟音が鳴った。


しまった、既に囲まれておったか。



Side: 府谷恭平

上手い具合に敵を包囲出来たみたいだ。

やはり敵の後ろを取れたのが大きい。


後ろに回り込む為に高速移動が出来るオフロードの電動バイクを使った。

下平さんに率いられたこの遊撃部隊は8人で、下平さん以外はリボルバー銃を装備している。

要は電動バイクの騎兵隊みたいなものかな。


ちょっと驚いたのは、安里川くんが志願したことか。

リボルバー銃に凄い食いついていた。

なんか変な笑い声もあげていたし。


敵は、林側に伏せた鉄砲隊に撃ち据えられて壊乱したみたいだ。

逃げ始めたので追撃に入るか。

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