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54.開通工事

Side: 府谷恭平

やっと社員寮が完成した。

木造モルタル4階建て、間取りは2DKとなっている。

バス・トイレ別のベランダ付きだ。

これが5棟建っている。


社員の入居も始まっている。

といっても、カプセルホテルみたいなあの部屋にはたいした荷物は置いていないので、皆んな身軽なものだが。


あと、門前町の人口も増えた。

最初の住民が親族や知り合いを呼んだからというのもあるが、朝日氏に荒らされた村の人たちが食糧を求めて避難して来たからだ。

これにより、長屋も建て増しされ人口は500人を超えた。



「今こそ北の峠の開通工事を提案したい。」

俺は再度、峠に道を通すことを提案した。


「いいんじゃないすか。他に急いで作るものも無いですし。」

「是非やりましょう。」

ビックリするくらい皆んな賛成してくれた。

おそらく新居への引っ越しで物入りなのだろう、凄く協力的だ。


それからは建設班の栗井場さんと、詳しい工事の打ち合わせとなった。

先ず、資材置場の確保として狩猟班が使っているガレージ周辺を整地して広げる。

そして、峠の木の切り出しを行い、山を削りなるべく直線になるよう道を通す事になった。


木の切り出しは一般会員も含めてもうお手のものだ。

チェーンソーの扱いにも慣れ次々に木を切っている。

人手も200人ほど投入している為、作業の進みも早い。


「伐採は大分進んで来たな。しかし本番はこれからだ。」

栗井場さんも気合いが入っているようだ、やる気が漲っている。

彼は爆破の専門家だ、今も嬉々として爆弾を仕掛けている。


「発破!」


彼の号令と共に次々に山が爆破されていく。

もうやめてあげてと言いたくなるくらい容赦がない。

後で聞いたら、楽しみにしていた旧館の解体が無くなって結構ストレスだったみたいだ。

という訳で今はいいストレス発散になっているのだろう。


土砂の運び出しも順調だ。

ユンボで掬った土を土嚢袋詰め機へ入れていくと、土嚢が次々と袋詰めされて出てくる。

これをダンプやトラックへ積み込んで後方へ運ぶ。


後方ではセンターまで真っ直ぐな道を作る為に土嚢を積んでいく。

なるべく平坦になるよう幅10mほどの道を作る。

さらに崩れないようにコンクリートでしっかり固めていく。

場所は村々を避けるように真っ直ぐな場所を探していくと、自然と筑後国との国境沿いとなった。


途中、川が2箇所ある為、橋も架けた。

今は木造だがゆくゆくはコンクリートのしっかりしたものにしたい。


道と橋が出来ると狩猟班のガレージあたりに屋台村が出来た。

工事従事者用に自然発生したものだ。

おにぎり、串焼き、ラーメン、うどん、お団子、お好み焼き、焼きそば、回転焼などが出されている。


中でも人気なのがラーメンだ。

ラーメンを出す際に、大将がどんぶりに親指を突っ込んで出して来るので『指の味』と言われている。

俺はいかがなものかと思うが、食べると美味しいので誰も文句を言わない。


さらに美味しそうな匂いに釣られてか、近隣の村人達も屋台料理を食べに来た。

天尊ポイントでしか購入出来ないので、その場でアカウント登録して貰い工事を手伝って貰う。

仕事の対価に払った天尊ポイントで屋台の料理を楽しんで貰った。


すると次の日にはさらに多くの村人達がやって来て、アカウント登録者が増えていった。

此方も悪ノリして酒や駄菓子、手鏡などの小物、タオルなどの日用雑貨の屋台も追加したところ、さらに沢山の村人が訪れて来た。

この為工事は人海戦術の様相を呈し、1km程の工事区間はあっという間に終わってしまった。


「所長、これは。」

「ああそうだ、呑家くん。この方法は今後とも使えそうだな。」

モノで釣って労働力を得る、ここから太宰府までの道もこの方法が使えるかもしれない。


「しかしあれだなぁ。ここの屋台村はお終いにさせる事が出来なくなったなぁ。」

「ええ、今止めたら暴動が起きますね。きっと。」

「仕方ない、この屋台村は何らかの施設として残す事にするか。」


これがサービスエリア第一号となるのであった。

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