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49.朝日宗贇

天尊配送センターより南西に8kmほど離れた所に朝日山城がある。

ここは九州探題配下の朝日氏が守る城だ。

当主が先の龍造寺との戦で討死してしまった為、今は朝日宗贇がこの城の主となっていた。


Side: 朝日宗贇

「殿、九州探題様(渋川義長)からはなんと?」

「賊を成敗しろと書いてある。」

宗贇は思う。そんなの自分でやれと。


そもそも少弐氏の勢力が増してくると、怖くなって九州探題府から園部城に逃げ込んで来た腰抜けだ。

なんでそんな奴の命令をと正直思う。

しかし、自分の主筋である以上無碍にも出来ない。


「してその不届き者とは何処の者で?」

「園部城の直ぐ近くに巣食っているらしい。秋の刈入れも終わったので丁度いい、兵を集めろ。」

「お攻めになるので?」

「一当てして帰れば良い。せっかく九州探題様が領内に入れて下さるんだ、途中の村々から徴収する良い理由が出来たと思わんか?」

「それはたんまり稼げそうですな。」



Side: 府谷恭平

九州探題の使者は園部城から来ていたようだ。

よって園部城をずっと監視しているが動きがない。


「所長、何の反応もないですね。」

「直ぐ攻めて来ると思ったんですけどね。」

と偵察班の豊令さんとやりとりしていると監視気球からのアラートがなった。


「ああ、こっちから来ましたか。」

「何処からですか?」

「朝日山城ですね、こちらに兵が集結しています。」

「数はどれくらいですか?」

「800人といったところでしょうか。」

「集結中を爆撃すれば一発で終わるな。」

「まだ此方に来ると決まった訳では無いですから、それはちょっと。」

「それもそうですね。それでは朝日山城の方も監視をお願いします。」


豊令さんと別れ、舟酒さんと防衛体制の確認を行う。

「舟酒さん、今回は防衛力の確認がメインです。相手の人数も丁度良さそうなので行軍中の攻撃は控えようと思いますが大丈夫ですか?」

「今回防衛に当たるのは一般会員が主ですが大丈夫でしょう。ヒアリングしたところ我々より戦慣れしてるみたいですしね。」

「あとはちゃんと命令を聞いてくれるかですが。」

「まぁ、彼らもせっかく得た安住の地を失いたくないでしょうし、期待しましょう。」


それから2日たったがまだ来ない。

まぁ、ここの行軍スピードはこんなものなんだろう、なんだか慣れた。

3日目にやっと来たようだ。


「舟酒さん、やっと来たようです。お願いします。」

「ええ、任せて下さい。射程内に引き込んで一斉射撃で殲滅しましょう。」

今は連射弓の射程も延びた、ちょっと楽しみだ。


Side: 朝日宗贇

途中の村からの徴収もがっぽり稼げたし、後は軽く一当てして帰るとするか。

と思いながら賊の籠る場所へ来てみると。


「お、あれが奴らの住処か?というより城ではないのか?」


こんな所に城など無かったはずだが。

まぁいい、攻め落とす訳ではない、一度攻めて討伐は終わったと言えば済む話だ。


「者ども聞けぇーい。あそこに見えるが賊が立て籠る砦ぞ。先ずは対岸にに布陣せよ!」

川を挟んで矢の届かぬ距離に布陣する。

それにしてもなんだこの白い壁は?石か?石で出来ているのか?

門があるのであそこが入口だと思うが、先に物見を出しておくべきだったか。


先に口上の使者を出したところ、突然敵の砦から大音量の音曲が鳴り始めた。

なんだ?一体何が起こっている。


えーい、そんな事はどうでもいい、先ずは攻めかかるのみだ。


「者ども怯むな!攻めかかれーーッ!」



Side: 府谷恭平

「『ワルキューレの騎行』ですか、滾りますな。」

「一回やってみたかったんですよ。」

舟酒さんにも好評の様だ。


門前町に映画館が出来た事で、一般会員にも音楽は身近なものになった。

なのでこの大音量の音楽に怯む者はいない。

しかし敵はどうか?少しは効果が有れば儲けものだ。

何よりこの曲を聞くと戦意が高揚してくる。


「舟酒さん、敵が川を渡ったら攻撃を開始して下さい。」

「分かりました。」


城壁を作ったことにより、川までの距離は100mを切った。

鉄砲にとっても十分キルゾーンである。

鉄砲隊も人数が増えて撃ち手は20人になった。

各人が鉄砲4挺づつ持ち、弾込め用の補助が1人つく。

これで延々と撃ち続けて貰う算段だ。


連射弓に付いても射程が延びた。

なので今敵が布陣している箇所も十分範囲内だ。

しかし、今は川を渡った者だけを対象にしている、相手も矢盾を持ってたりするしね。

狙い目は退却時だ、この時に本陣まで矢が届くと気が付いたら一気に混乱してくれると期待している。


と思って推移を見守るが敵の攻勢が弱い。

城壁まで辿り着いても何も出来ないようだ。

止まった所を鉄砲で撃たれる。良い的だ。


「ここまでは想定通りですが、ちょっと期待はずれですね。」

川を渡ると人がバタバタと倒れているのを見て、だんだんと後続が続かないでいる。


「所長、敵さんあまり戦意は高く無いんじゃないですかね?」

確かにそんな感じがする。

「それじゃ一気に片付けますか。敵本陣をドローンで爆撃しますので、それを合図に川向こうまで攻撃範囲を広げて下さい。」


それからドローン隊に敵本陣への爆撃を依頼する。

「豊令さん、爆撃をお願いします。今回は新型爆弾を試しましょう。」

「了解です。」

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