47.お買物
Side: 大内義隆
豊後守(杉興運)に申し付けていた鉄砲が手に入ったらしい。
島井という商人が持って来た。
「ほう、これが鉄砲か?」
確かに想像していた通りのものだ、これはいいかもしれない。
一応使い方も聞いておくか。
「して、これは如何にして使うものじゃ。」
「はっ、先ずは弾込めを行いまする。鉛玉が銃口側になる様に弾を底まで詰めまする。」
ほう、弾が早合になっているのか。
僕の知識とは違うけどまぁいいだろう。
「あとは火縄に火を付け、的を狙い、この引き金を引くと鉛玉が撃ち出されます。」
ふむ、ちょっと撃ってみるか。
「誰ぞある。胴丸を庭に持て!」
「お屋形、何を為さるおつもりで?」
お、五郎(陶隆房)がまた渋い顔をしている。
「何、僕が試し撃ちをしてみようかなと思ってね。」
「なりませね、そのような事、お屋形がすべき事ではありませぬ。」
うーん、確かに暴発とかしたら怖いから、先に誰かに撃たせるか。
「よし、島井。先ずはそちが撃ってみよ。的はあの胴丸じゃ。」
「は、しからば。」
お、炭火壺を懐に入れていたのか、用意がいいな。
初めから撃つつもりだったということだな。
縁側から的まで10mというところか、流石に外さないよね。
「しからば撃ちまする。」
ダーーン、と轟音が轟く。
ふふふ、家臣達はビックリしてるな。
この音だけでも初見殺しなんだよねぇ。
「こっ、これは!」
五郎(陶隆房)が驚いている。
胴丸が貫通してるもんね。
想定通りだな、島井を褒めてやらないとね。
「島井、見事じゃ。」
「恐れ入りまする。」
「して、如何程で譲ってくれるのかの?この鉄砲を。」
「はっ、2挺で2000貫になりまする。」
うわっ高っ!御大典でもやるつもりか?
あ、でも初めは鉄砲無茶高かったって聞いたことあるし、こっちでコピーすれば良いだけか。
「よし、その鉄砲貰い受けるぞ。」
Side: 府谷恭平
肉の供給が始まると、調理班の馬猪さんが思い出したように言ってきた。
「所長、卵と牛乳はどうなりました?」
オーマイガッ!こっちもすっかり忘れてたぜ。
牛乳はともかく、卵は直ぐ近くの村で手に入る筈だ、直ぐに着手しないと。
「はい、卵はなんとか出来そうです。牛乳は未だちょっとという感じでしょうか。」
早速、鳥栖村に面識がある人を一般会員から探すか。
そして。
「おいが鳥助ばい。」
案内人として選ばれたのが彼だ。
「鳥栖村で鶏が手に入るというのは本当か?」
「庭で鳥ば飼っちょっ人はおんしゃっけど、鶏かは分からんよ。」
うーん方言がひどいな、要は鳥を飼ってる人はいるみたいだ。
とりあえず行ってみるか。
今回は割と平坦な道のりなので【天尊配送】のEVトラックを使う。
俺と鳥助の2人乗りなので、護衛として舟酒さんのハイラックスにも着いて来て貰った。
本当はガソリンが勿体ないのであまり使いたくはないのだが。
暫く行くと鳥助が大きな楠木を指差して言う。
「あそこのおんじさんと知り合いったい。」
「鳥栖村はもっと先だと聞いていたが?」
「あんまい本村には近づきとうなかと。」
まぁ、そういうことなら此処に寄ってみるか。
「おーい!おんじさんおんしゃっかんた。」
「お、鳥助やっかい。久しぶいたいね。」
「うん、久しぶいったい。鳥ば分けてくれんね。」
「よかばってん、金持っとっと?金んなかと売れんばい。」
「金ならこん人が払いなっけん。」
うん、どうやら方言タイムは終わったようだ。
「府谷と言います。鶏が欲しいのですが有りますか?」
「庭におる鳥なら好きなと持ってってよかよ。1羽500文たい。」
なんとセルフサービスらしい。
庭にまわると鶏らしき鳥がいっぱいいた。
色は茶色だ。流石に白色レグホンはいないよな。
捕まえようとするが逃げられる。素早い。
「おいが捕まゆっなら1羽700文になっけど、どぎゃんすっ?」
その挑戦受けた。
「舟酒さん!」
「どうしました?所長。」
「あれを使いましょう。」
「はいはい。」
おもむろに取り出したのは養鶏用のケージだ。
そして扉を開け放ち、中に餌をぶち撒くっ!
「所長、反応がありませんな。」
くっ、何が悪い?
「ちょっと餌を貸して貰っていいですか?」
舟酒さんに餌を渡すと庭にバッと撒き放った。
すると、鳥達がおそるおそる啄み始める。
さらに養鶏用ゲージの近くにも餌を撒き始め、鳥が結構集まった段階でゲージの中に餌を投げ入れた。
鳥が10羽くらい入った時点で扉を閉める。
「こんなもんでどうですか所長?」
「グッジョブです。舟酒さん。」
この後、10羽ほど追加し合計20羽お買い上げでセンターへ帰還した。
「そう言えば所長、こいつらどこで飼うんです?」
忘れてた。鶏小屋建てないと。




