43.銃の進捗
Side: 府谷恭平
「唐西さん、火縄銃って作ろうとしたらどれくらいで出来ますか?」
銃作りの割込作業になるので、申し訳なく思いながらも聞いてみた。
「えーと、試作品ならいくつか有りますよ。」
なんともうすでにあるとのこと。
直ぐに見せて貰った。
「火縄銃という事ならこれですかね?」
射撃場へ案内されると、そこには木の持ち手が付いただけの鉄パイプがあった。
銃底部はボルトで蓋がしてあり、火縄用の穴は開けてある。
「実は防衛戦の時に速攻で作ったものなんですが、結局使いませんでしたね。」
「これは撃てますか?」
「撃てますよ、今準備しますね。
と言って、火薬と弾を入れて棒で押し込んでいた。
火縄に火を付けて渡される。
受け取った火縄銃で30m先の的を狙うが当たらない。
「うん、当たらないね。」
「そもそも真っ直ぐ飛んでるかも怪しい銃ですしね。」
鉄パイプ火縄銃を返すと次の火縄銃を貰った。
なんか教科書で見た火縄銃そのものだ。
「こちらは種子島レプリカを改造した物です。砲身の部分を鉄パイプに替えて撃てるようにした物です。」
なるほど、どうせ売るなら此方の方が見栄えがいいな。
撃ち方は先程と同じで、一発づつ弾を込めて撃つ。
ちょっと気分が乗ったのか、今度は的に掠った。
それからフリントロック式(燧石式)や、ホイールロック式(鋼輪式)等も試したが、外に向けて売るなら種子島モデルがいいということになった。
流石に種子島レプリカにも数に限りがあるので2挺だけにし、後は此方で模造品を作る事にした。
要は本体となる砲身(鉄パイプ)以外は、種子島レプリカの木材部分と金属部分を模造し、組み合わせるだけなのでそう難しくはない。
木材部分は製材所に任せるとして、金属加工施設を作り金属部分の作成をお願いする事にした。
建設班で溶接技術のある人をリーダーに、鍛治経験のある一般会員を数人付けてみる。
製材所も似たような感じで上手くいったので、とりあえずはやって見ることに。
肝となる砲身の作成は兵器班のままなので、暴発とかはしないと思う。
まぁ、しっかり試験して、合格したものだけ出荷すれば問題ないだろう。
外向けの販売用はそれでいいとして、センターで使う銃もそろそろ決めたいと思う。
唐西さんに進捗を聞いたら、リボルバータイプが試作段階で成功しているとのこと。
モデルガンを元に、砲身は鉄パイプを使い、フレームと弾倉を鉄で作って組み立て直した物らしい。
撃鉄を起こすと弾がセットされる機構は、モデルガンからそのまま流用した感じだ。
弾は実弾空薬莢に、無煙火薬と鉛弾、雷管を再装填機でセットして作成。
雷管は専用の爆薬が無いので、とりあえず運動会で使うミニ雷管を使用。
これを発火金に当たるようにセットし、周りに火薬を詰めた即席雷管とのこと、なので不発弾もたまにあるらしい。
「ライフリングは入っていないんですね。」
「すいません、まだ対応中です。」
試しに撃ってみる、何とか的に掠る。
すかさず撃鉄を起こして次弾を装填し,撃つ、次は的の内側に当たる。
楽しくなってまた撃つ、また的の内側に当たる。
続けて撃つ方が命中率が上がるのかもしれない。
と思ったら次は外れ、5発目は不発弾だった。
「これはいい使えますね。不発弾は今後の課題ですか。」
「それなんですけど、雷管用の火薬を化学班にお願い出来ないですか?」
「分かりました。伝えておきます。因みにこの銃の量産は可能ですか?」
「今の所、モデルガンの機構をそのまま流用しているので、モデルガンの数分は作成可能です。一から作るとなると時間が掛かりますね。」
「了解です。作れる分だけ先に作っておきますか。何挺作れますか?」
「あと6挺ですね。」
「分かりました。先ずはそれで行きましょう。と、言っても種子島の砲身もお願いしてるんですよね。困ったな。」
「それなんですけど、兵器班に新しい人が入ってくれたので、彼に任せてみようかなと思います。」
「どなたですか?」
「舞浪さんです。今度紹介します。」
「分かりました。あとどうしても人手が足りない場合は一般会員からも募集してみて下さい。」
「了解です。」
さて、鉄砲は確保出来そうなので次は撃ち手が必要だな。




