36.無人商店街
Side: 府谷恭平
【天尊小売】を使った商店街を出すことにした。
じゃがいもが履けたことにより、中庭のスペースが空いたのでカード会員でも買物出来る商店街を作ることにした。
建物は既に発注して、3階建のちょっとおしゃれな洋館風の建物を建築中だ。
商店街のテナントを募集するにあたり、1人100万円までの融資が出来るようにしたところ20人の応募があった。
基本、欲しい品が有れば天尊サイトで買えるが、セレクトショップのオーナーになりたい願望の人なんかもいるのだろう。
安里川くんなんか『ブティックを開くわ!』と結構乗り気だ。
テナントの賃料は最初の半年は無料とした。
それ以降は実際の利益を見てから判断したい。
当然一階の方が売れ行きがいいと思うので場所により差がでると思う。
中にはカフェや焼鳥屋を開きたいとの要望もあったが、こちらは却下した。
水回りなどを考慮に入れていなかったので対応出来ないからだ。
しかし、人の情熱とは恐ろしい。
それなら外で屋台をやるから融資だけくれとお願いされた。
熱意に負けてOKを出したら、たこ焼き屋とカキ氷屋も後に続いた。
商店街前に先行オープンした屋台だが評判がいいらしい。
皆んな結構娯楽に飢えてたらしい、屋台の店主も嬉しそうだ。
特に焼鳥屋は盛況だ、ほぼほぼ冷凍焼き鳥を炭火で焼いただけなのに沢山の人が訪れている。
席はフードコートよろしく中庭に沢山のテーブルと椅子を用意してあるので、皆とワイワイ飲めるのが魅力の一つになっている。
焼鳥とたこ焼きだけでも酒のツマミとして十分やっていけてるようだ。
同じようにカフェは女性が良く利用している。
釣られてなのか、あゆもたまに利用するようだ、年上の女性がやっていることには興味があるのだろう。
因みに屋台は天尊カードの電子マネー決済が利用出来る。
商品交換時にピッとして支払いをする。
なので、あゆがピッと買い物をしているのを見て、幼年学校の生徒達は羨ましそうにしている。
そう、彼女たちが買うには商品が高すぎるのだ。
コーヒー1杯500円、カキ氷は1つ400円、たこ焼き8個入500円、焼鳥3本300円。
アルバイト社員のあゆは1日働けば5000円は手に入る、1日100円の彼女たちの50倍だ。
皆、必死になって勉強してくれることだろう。
でもちょっとかわいそうなので、無人商店街が開店する際には生徒達に特別ボーナスでも付けてやるか。
無人商店街が完成した。
この建物に入るには天尊アカウントの顔認証か、天尊カードが必要だ。
それも、アカウントに残高が残ってないとドアは開かない。
無理矢理入ったら、次からは天尊配送センター自体へ出禁となる。
解除するには所長、つまり俺の許可が必要になる、皆、注意して欲しい。
商店街内には商品毎にコーナーが設けられ、商品はコーナー外へ持ち出した時点で決済となる。
コーナー内で手に取って戻せば何も起きないが、一度コーナー外へ持ち出せば決済された後なので元に戻しても返金はされない。
ちなみにアカウントの残高がマイナスになっても決済はされるが、次に来るまでに残高をプラスに戻しておかないと商店街へは入れない。
一種の信用貸のようなものか。
1階は食品系、駄菓子屋を筆頭に、ビスケット屋、せんべい屋、羊羹屋、スナック菓子屋、缶詰屋、ビール屋、ドリンク屋、チョコレート屋、スルメ屋、酒屋、ワイン屋などが並ぶ。
見事に保存の効く物ばかりだ。
2階は生活系、雑貨屋、小物屋、アクセサリー屋、化粧品屋、石鹸屋、タオル屋、靴屋。
服屋はブティック系、アイドル系、ゴシック系、スポーツ系、ガテン系、普段着系など。
3階は外向け商品、フィギュア屋、硝子食器屋、ビー玉屋、鏡屋、眼鏡屋、望遠鏡屋など。
今回の商店街は現地住民も使う事を意識している為、武器やスマホのような電子機器は出品物から除外させて貰った。
応募人数より商品数が多いのは一人で複数商品を扱っているからだろう。
ビールやドリンクはどこかでみたことがある。
3階には商人の島井さん用の品をズラリと並べておいた、商談ルームとしても使う予定だ。
早く来ないかなぁ、島井さん。
ちなみに幼年学校の生徒達は、初めての屋台でのお買物にご満悦だった。
あゆも混ざってパーティーをやってた。




