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35.幼年学校

Side: 府谷恭平

「呑家くん相談がある。」

「何ですか?所長。」

「あゆ達を社員にしたいと思うがどう思う?」

「あー、そっちへ走っちゃいましたか。でもダメですよ、それは犯罪です。」


「何を勘違いしてるか知らないがそういう話でなくてだな。今後を考えて現地採用をしてはどうかという話をしてるんだ。」

「うーん、そうは言っても、一番年上のあゆちゃんでも8才ですよ、下は4才だし。それに彼女達は読み書き出来ませんよ、もちろん計算も。」


「そうなんだよなぁ、流石にウチには教育を施すほどの余裕は無いしな。」

「あっ、いいこと思い付いちゃったかもしれないです。私に任せてみませんか?」

「どんな名案が浮かんだか聞かせて欲しいな。」


それは完全寄宿制の幼年学校を作るというものだった。

基礎科目は『読み書き』『計算』なのだが、カリキュラムが以下のようなものであった。

①アニメを見せて食い付きが良かったものの続きを漫画で読ませる。

②字幕付きの動画(日本語)を見せて何となく理解して貰う。

③毎日、100円のお小遣いを与えて駄菓子を買えるようにする。

④50音を覚えさせて全部書ければ景品アイスなどを授与。

⑤九九を覚えさせて全部書ければ景品アイスなどを授与。


天尊には【天尊動画】【天尊書籍】というサービスがあり、当センターにもバックアップがある為、特別会員は動画見放題、書籍読み放題だ。

それを今回、幼年学校に解放する。

もちろん寄宿生なので3食昼寝付きだ。

こちらが羨ましくなるくらいの夢の引き篭もり生活と言えよう。


とりあえず、50音の読み書きと九九が出来れば卒業ということにして、アルバイトとして雇える制度にした。

アルバイトになれば仕事に応じて給料が支払われる。


流石に天尊サイトでの買物はさせられないので、【天尊小売】を使ったお店を充実させることも考えなければ。


それから暫くして早くも成果が出た。


「L*O*V*E ラブリー うまきー!」

あゆ達に動画を見せて、最もハマったのはアイドルだった。

因みに『美味姫』が一番の推しとのこと。


半数の子が歌詞も全部覚えて、しかも漢字で書けるらしい。(あと英語も少し解る)

もちろん振付けも完璧だ。

配下の女の子達の掌握も完璧で、難しそうなフォーメーションダンスまできっちり決めていた。


「小さい子供って、本当物覚えが早いですよね。」

上々の結果に呑家くんも満足のようだ。


数字に関しては、気に入った数え歌があったのだろう、直ぐに覚えた。

計算に関しては、駄菓子教育はかなり効果的だった。


駄菓子屋では決済時に商品毎の値段と合計金額、そして自分の残高が表示される。

買いすぎると商品を戻して、自分の残高内に収めなければならない。

そうしないと部屋から出られないからだ。

なので初めは戸惑っていた子達も、そういう仕組みを直ぐに理解した。


さらにはフォーメーションを覚える際の3 × 3 や 2 × 4 などで何人で踊るというのがイメージしやすかったらしく、九九もその延長で効果があったようにみえる。


また、アイドルの衣装に興味を示したことで、あまり興味の無かった服装も気にするようになった。

欲しいものが出来たお陰で卒業への意欲が増したようだ。

彼女達の中で何かが変わったのだろう。


これらのおかげで計算も早くなり、あゆに至っては九九も卒業してしまった。

もちろん50音は速攻だったので、今ではバイト社員第一号である。


まぁ、出来の悪い子も当然いるが、子供というのは周りの影響を受けやすいらしい。

他の子が出来ることはどうしても真似してしまうらしく、駄菓子程度の計算は皆が出来るようになっていった。


因みにあゆ達の年齢構成は以下のようになっている。

8才 あゆ

7才 うり、あつみ

6才 いね、ちまり

5才 まき

4才 みい、あい


次の卒業生は誰になるかな。

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