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31.天尊カード

Side: 府谷恭平

「肥前の商人、府谷恭平。」

評定の間みたいな所で自分の名が呼ばれる。

予め言われた位置でへへーと頭を下げる。

ここらへんの儀礼的なものは地域によって千差万別なので、特に土下座が嫌だとかの拘りはない。


海外に行くと変な習慣は幾らでもあるしね。

武辺さんと下平さんも呼ばれている。

司会進行役の人が献上の品々を読み上げる。

周りの人達もガラス製品は珍しいらしく、評判も上々のようだ。


「さらに、筑紫下野守を討ち取ったこと誠に天晴れ。」

と言葉が掛かった瞬間、バサッと布が取り除かれホルマリン漬けの首が現れる。

皆んな透明な器が珍しいようでザワザワしている。

「透明な首桶とは誠に珍しい、流石は南蛮商人よ。」

杉さんもこれは気に入ったようで思わず言葉が出たようだ。


この後、討ち取った下平さんと、ずっと護衛してきた武辺さんも表彰?されて、感状と粗品を貰っていた。

自分の感状を見たが、なんと書いてあるかは分からなかった。

ただ一緒に貰った手形は良いものらしく、筑前内の通行を許可するもののようだ。


下平さんと武辺さんは太刀を貰っていた。

「下平さん、太刀使えるんですか?」

「いや無理ですね、部屋に飾っておきます。」

とりあえず自分達の出番は終わったので、舟酒さん達が待っている所に帰る。


「さて皆さん、配送センターへ帰りますか。」

「所長、武辺さんも一緒ですかい?」

「いや、武辺さんとはここでお別れです。」

そう、武辺さんとはここでお別れだ。

天尊配送センターに戻ってもずっと敵地が続くので戻るのが難しくなるとのこと。

博多側から脊振山を超えて帰るそうだ。


「お世話になり申した。」

とちょっとしんみりなったところで、武辺さんにあるものをお渡しした。

「これは何でござるか?」

「はい、天尊カードです。今度、カード会員事業を始めようと思いまして。武辺さんはカード会員第一号です。」


実は死村くんから、画像解析の無人販売システム【天尊小売】を使って、個人で商売を始めたいと申し出があった。

風呂上がりの休憩所に冷蔵庫とドリンクを置きたいそうだ。

さすが悪どいと思ったが、1本100円くらいと結構良心的だ。


センター社員はスマホでピッだが、同じく【天尊小売】を使って孤児達相手に駄菓子屋が開ける事に気が付いた。

そこでスマホが無い人用に天尊カードを発行する運びになったという事だ。

武辺さんのカードには一緒に戦ってくれたお礼に、20万円分のポイントが入っている。


「それは、あそこの仲間として認めて貰えたという事でござるな。これは嬉しい。」

武辺さんが嬉しそうに笑う。

「無くさないように首から掛けられるストラップ付きです。センターに来た際にはお買い物も出来ますよ。」

「それは有難い。」

おそらく意味は半分も分かっていないだろうが、こちらの感謝の気持ちは伝わったらしい。終始笑顔だった。


「それじゃ帰りますか。」

武辺さんと別れて車に乗り込む。

「所長、来る時と同じ道でいいんですよね。」

「ええ、通行手形の検証もしたくはありますが、遅くなったので急いで帰りましょう。」


帰り道では、騎馬武者が待ち構えている箇所が何箇所かあったが当然千切ってやった。

騎馬武者程度では先ず追いつけないからね。

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