29.太宰府行
Side: 府谷恭平
遺体の埋葬は孤児達の活躍もあり、ビックリするくらい早く終わった。
「まさか、1日で終わるとはね。」
呑家くんがビックリしているが、俺も驚愕している。
孤児達は、抱えきれないくらいのお握りと米を抱えてホクホク顔で帰って行った。
まさにWin-Winとはこの事だ。
今日は杉さんを太宰府へ送って行く日だ。
事前にルートを決める為、偵察班にドローンで地形を確認して貰った。
「北に向かっても山道が険しすぎて車じゃ走れないですね。」
豊令さんから報告が上がる、そう、太宰府まで車で行くつもりだ。
俺の愛車のランドクルーザーなら多少の悪路や川なんかも走破してしまう。
なので、太宰府までの最短ルートを調べて貰ったが車が通れる道が無いとのこと。
結局、距離は長くなるが、一旦東へ出て大回りしていくルートを取る事にした、ほぼほぼ平地なのでそんなに時間も掛からないだろうとの考えからだ。
ガソリンの事を考えると少し悩んだが、確実な移動手段として今回は車にした。
「カーナビが無いので、途中道に迷いそうですな。」
舟酒さんが心配する、俺も心配だ。
ということでナビ要員として豊令さんも来て貰う事にした。
一応、事前にドローンで撮影した、太宰府までのなんちゃって航空写真がある。
本来はセンターからアシストしたいが、無線が5kmの範囲までしか届かないのでちょっと無理なのだ。
そこで、豊令さんにポイント、ポイントでドローンを上げて貰ってルートから外れていないかチェックして貰う事にした。
という訳で、以下のメンバーでの太宰府行となる。
①ランドクルーザー
府谷恭平 (運転手)
下平兵 (護衛)
武辺新次郎(護衛)
杉興運 (お客さん)
②ハイラックス
古田歩 (運転手)
舟酒洋二 (護衛)
豊令樹 (ナビゲーター)
縛尾太郎 (歴史アドバイザー)
古田さんは、以前、騎馬武者が襲ってきた時に弓が撃てなかったおじさんだ。
防衛戦の時にハイラックスの運転手に抜擢されて、舟酒さんに気に入られたらしい。
朝食を取った後、直ぐに出発することにした。
「これは一体何だ?」
杉さんが初めて見る車にちょっとビックリしている。
「駕籠の様なものだと考えて下さい。」
「駕籠か、それならば良いか。」
走り出すとさらにビックリして。
「おい!誰も担いで無いのに動いておるぞ。」
「これは自分で動く駕籠なので問題無いです。」
宝満川に出ると、あとは川に沿って北上するだけなので、特にトラブルも無く行けた。
悪路に強い車なので、街道を避けて河原を主に走った。
なので関所等で止められることもなくスムーズに太宰府に着いた。
大きな声では言えないが、豊令さんは要らない子だった。
途中、追って来る人は何人かいたが全て千切ってやった。
そして杉さんにどこで下ろせば良いか聞いて、大きな建物の前で下ろした。




