25.初防衛戦
Side: 府谷恭平
変な言い方だが、待ちに待った筑紫軍がやって来た。
あれから3日も待った。
皆んなからは 『本当に来るの?』みたいな白い眼で見られ、引くに引けなくなるところだった。
監視気球の動画が無かったら皆んなを説得出来なかっただろう。
あやうく危険な状況に追い込まれるところだった。
ある意味、自分的には最大の危機だったかもしれない。
筑紫軍は結局、247人だ。
全てが戦闘員になるかは分からない。
が、全く負ける気がしない。
なぜなら、こちらも有り余る時間を使って要塞化を進めてきたからだ。
①センターを中心に有刺鉄線の柵を外周30m、外周60mで追加し柵を3重にした。
②柵付近の至る所に電気信号式の地雷を埋めた。
③門と通用口の両脇に矢倉を建てて、上から弓を撃てるようにした。
④南と西の森の中にブービートラップを仕掛けた。
その他、装備にも少し改良を加えた。
①長射程連射弓を新たに4台作成し、矢倉に配置した。
②長射程連射弓にレーザーポインターとスコープを付けて狙い易くした。
③盾にスタンドを付けて自立できるようにした、盾に隠れて弓が撃てる。
④ドローン投下物用に巻きビシを用意した。
と、まぁここまで準備した、後は消化試合だと思っている。
筑紫軍はセンター東側400m位の所に布陣した。
丁度真ん中200mくらいの位置に川が流れている。
とりあえず、川を渡る時が最初の攻撃チャンスになるだろう。
と思っていると騎馬武者が一騎、川を渡ってこちらへ向かって来る。
しかし有刺鉄線の柵に阻まれコチラに来れないらしい。
柵の周りを少々ウロウロしたが入る場所が見つからなくて諦めたらしい、その場で口上を述べ始めた。
要約すると『自分達に逆らう不届なお前達を成敗致す。砦を開け渡せば命だけは助けてやる。』との事だ。
掠奪する側は大体似たような事を言うので特に驚きはない。
一応警告として大音量のスピーカーで返答してやった。
「当館への無許可の立ち入りは一切禁止します。不審者は当館の規定に則り対処致します。」
相手は、内容は良く理解出来なかったかもしれないが、音の大きさにはかなりビックリしていたみたいだ、特に馬が。
ブォーオーと法螺貝みたいな音が鳴り始めた、時代劇そのままの音である意味関心した。
敵が一斉に動きだしたみたいだ。
長射程連射弓の射手には敵が川を渡り始めたら攻撃を開始する様に伝えてある。
川を渡り始めた敵目がけて連射弓から矢が飛んで行く。
武装の無い農民兵が次々と倒れていく。
しかし盾を持っている人はなんとか耐えて柵までは辿り着いたみたいだ。
だが柵を乗り越えようと盾を手放した人から矢が突き刺さり倒れていった。
誰も有刺鉄線の柵を乗り越えられない。
脚立でもあれば直ぐに乗り越えられそうなものだがそんな物は用意していないみたいだ。
槍や刀で有刺鉄線を切ろうとしているようだが、矢の雨の中なかなか進まないみたいだ。
ニッパーでもあれば一発なんだけどね。
敵も頭を使って来たらしく、1つの柵に的を絞って突破することにしたらしい。
盾を持った数人がガードを固めて有刺鉄線を断ち切ろうと結構人が集まっているポイントがある。
丁度いいのでポイントを確認して、最寄りの地雷を爆破させる事にした。
皆んなが集まっている後方1mくらいの地面が爆発する。
地雷は柵を破壊しないギリギリくらいに埋めてあるので柵には影響無いが、爆発と共に釘や石に襲われた皆さんは唯では済まないだろう。
何より大きな爆発音で敵兵の皆さんが一瞬、えっ?って止まった。
それから恐慌をきたしたのか皆逃げていく、川向こうに逃げていく。
連射弓は止まらないのでここでも沢山の人が倒れた。
結局、監視気球の映像より、102人倒れたのが確認できた。




