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23.商談

Side: 府谷恭平

武辺さんは医務室に居た、怪我人さん改め杉さんが目を覚ましたらしい。

「どうも、所長の府谷です。」

とりあえず、武辺さんから杉さんへここに来た経緯は説明して貰ったらしい。


「杉豊後だ。助けてくれたらしいな、礼を言う。」

「あ、はい、ですが筑紫氏の兵が襲って来ました。まだ助かった訳じゃありません。」

「それでこれからどうする気だ。」

「武辺さんより太宰府に送って行きたいと聞いていますので、太宰府までお送りしようかなと思っています。」

「それは有難いが、そもそもお主は何者だ。ここは基肄郡であろう筑紫に逆らう村があるとは思えんが。」

「そうですね、敢えて言うなら私達は商人です、それも新参の。商売相手というか友好的に取引を行なってくれる相手を探しています。武辺さんは初めて友好的に接してくれた人なので、此方も相応の扱いをさせて貰っています。是非、あなたとも友好な関係が結べることを願っています。」

武辺さんが、えっ?そうだったの?みたいな顔になっているがスルーしよう。


「ふむ、商人か。博多で話を聞いた南蛮人のようなものか?」

「そうですね、そんな感じです。」

「そうか、助けられたからには礼がしたい、何か望みははあるか?」

「商売というか取引がしたいです。誰かウチと取引してくれる商人を紹介して欲しいです。」

「商人を紹介するだけか?それなら約束しよう。それでそなた達は何を売る。」

「はい、ちょっとお待ちくださいね。」

と言いつつ、チャットで呑家くんにある物を持って来て貰うよう連絡する。

待っている間に、縫野先生の和菓子コレクションを拝借する。


縫野先生は小城羊羹が大好きで、日持ちもする関係で医務室の至る所に羊羹が隠してある、今日は抹茶羊羹を頂くとしよう。

縫野先生が凄い目で睨んでいるが、これはお客様へのおもてなしだ、諦めて貰おう。


「ほう、この甘味が商品か?」

「いいえ、これはただのお茶請けです。」

とお茶と一緒に勧めると、とても美味しかったらしく武辺さんも「がばっ!」と言って口元を押さえていた。

勿論、縫野先生も負けじと食べている。

「かような所で茶が飲めるとは思わなんだ。」

杉さんがホッと一息ついてると、呑家くんが目当ての物を持って来てくれた。


「こちらが商品として考えている物です。」

縛尾くんが杉さんの正体を言い当てた後、杉さんの上司の大内義隆の好みそうな物をリサーチしてみた。

なんでもザビエルがガラス製品を献上したら凄い喜んだという逸話があるらしい。

なので、望遠鏡、眼鏡、鏡、硝子食器、ビー玉などを揃えた。

中でもビー玉は、さも宝石のように桐箱に詰めて見栄えを良くしてある。


「これは何という。」

杉さんも言葉が出ない様だ、武辺さんも口をあんぐりしている。

「これは筑前守護代様に献上致します。さらに同じ品をもう一つ用意しています、こちらは大内様への献上品となります。」

杉さんもコチラが本気モードになったのを察して、ちょっと太々しい顔になる。

こちらが本来の顔なのだろう、さっきまでの柔和な顔は作り物だったらしい。


「分かった、それで太宰府まで帰れる当てはあるのか?」

「そちらは問題ないのですが、まだあなたの身体を癒やす為に後2、3日休養が必要です。でないと傷口が開いてしまいます。」

「そうか、確かに今直ぐには動けんのう。」


そんな時にスマホのアラートが鳴った。

おや?筑紫氏が攻めて来るみたいですね。

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