傍観者として魔の森へ 前編
それから、数年が経過し、今俺シュンとリン、シリルは魔の森のログハウスにきている。 俺はベンチの何時もの席でタバコをふかし、エールをのんでいる。 帽子をかぶり、イヤーカフをしている。 リンも同じくイヤーカフをしている。 シリルは、羽は締まってあるが素の状態で、魔力制御だけしている。
すると、濃紺の眺めのショートに瞳はこげ茶色の20代前半の190CMと長身痩躯の町人風の男性がやってきた。
「はじめてお会いします。 シュン殿、リン殿。 私がゲールです。」
そんなゲールを見て俺はタバコをふかす。
「カールそっくりだな」とついつい言う俺に、リンも「ああ、そっくりだ」と2人で笑いあった。
まじ、若い時のカールそっくりだし。
「父を知る方には、よくいわれます」と笑いながら、シリルのほうへ行くゲール。
「魔王様は相変わらず可愛いですね」といって抱き着こうとしている。
「だきつくなだぞ」といって、そんなゲールを棒ではたくシリルだ。 男に抱き着かれたても嬉しくなしな。 俺の場合、リン以外は勘弁だな。
そんなシリルの態度に苦笑してるゲール。
「久しぶりなんですから、演出ですって。 ていうか、魔王様、私の事を忘れてたって、四天王がいってましたよ」
「そんなことないぞ。 50年ぶりに思いだしたぞ」というシリルにあきれるゲールだ。
そんなシリルとゲールをやり取りを聞きながら、俺とリンは笑ってしまう。
相変わらずのシリルだな。
「シリルは、抜けてるのに、魔界は平穏だな」
「シュン殿、そうですね。 魔族はみんな魔王様が大好きですからね。 ついついお願いきいちゃうんですよ。 なんで、平和です」と言われ、「ある意味、おもしれー魔王だな」とついつい笑う俺だ。
そんなゲールに俺がエールを渡してやった。
「これが、噂の不死鳥ブランドですね。 いただきます」といって美味しそうにのんでいる。 やっぱりアークのエールは旨いしな。
その後、ゲールが現状の人間社会に関して報告してくれた。
事前に報告書も届いていたが、再確認だ。
俺がタバコに火をつけて一服した。 うーん、面倒。
「ようは、ステータスの職業 無職への徹底的な迫害があんのに、その職業の奴がいんかもわからん。 んで、過去2回の魔王襲撃のうち、前回の魔王襲撃で女神の使い魔たちが活躍して脅威をしりぞけたと。 そんでもって、将来また魔物が活性化して魔王が襲撃するといってそれに備えるべきというのが女神の啓示で、女神信仰で特定の職業のみ使い魔召喚してっという事か。」
「ええ、その通りです。まったく人間は悪を作りたがって、鵜呑みにしてますね」
「歴史を学ばねぇーな」といい、俺が笑いながら「シリル、おめーが標的にされてんな」というと、エールをのみながらシリルが「興味ないぞ。 ほっといてくれだぞ」って言ってるよ。
確かにな、ほっといてほしいのに、なぜシリルが標的のまま今も続いているのかが不思議だ。
面白くないから、あの時撤退して、そのまま傍観を決めたんだがな。
「おめーの、ステータスカード、どうなった?」
「あんな、糞カード、みてないぞ」
「確かにな、念のためだ。 見ろ」って言って、シリルは仕方なくステータスカードを見始めた。
[ステータスカード]
名前: シリル
性別: 男
人種: ―
職業: 無職
体力: ―
魔力: ―
属性: ―
称号: 女神の嫌われ者、白銀の黒帝の縁者、不死鳥のお気に入り、大魔王のお気に入り、元竜王のお気に入り、暗殺者のお気に入り、魔族に愛される者、魔王
シリルが「称号が増えてるぞ。 あとは、相変わらず職業が無職だぞ」といって俺とリンに見せる。
「あいかわらず、笑えんな」って俺が笑いながらいい、リンも「ああ、だな。」と笑う。
称号が相変わらず面白いし、笑える。 魔族の愛される者ってなんだよって、心の中で突っ込んでおいた。