魔の森での修行から
月日が流れ、シリルが13歳になる。 身長は、140CMとなっていた。
シリルの得意属性は多く、火、風、雷、闇、水、光、無属性であった。
そのため、単独転移、合成で氷、回復、結界、そして浄化や消滅系など幅広く習得させている。 もちろん念話は始めのほうに教えている。
魔力量も毎日魔力不足になるまで使用させたおかげで、人間の13歳にしても多く、大人の数倍程度はある。 戦闘能力としては、教えている人たちもあるが近接戦、中距離戦を得意とする。 自頭もさほど悪くないため、幅広く魔術を習得できているだが、シュンからみたらまずまずである。 シリルは天然なのか、たまによく抜けるのは相変わらずだった。
シリルが当初復讐を目的としていた事と、今後どうなるかというのもあり、暗殺術も学ばせている。
そして既にシュン、リン、アークと共に適当な盗賊をアジトを見つけては殺させている。
教えているのがシュン達だ。
”殺気のある奴は殺してよい。 魔物も、動物も人間もみな同じ命。 命に重さなどないし、やられなきゃやられる”と教育しており、シリルは人間を殺す事に対する抵抗感や罪悪感など感じていないようだった。 ただ、無益な殺傷はしないようにも調教しているので、殺人鬼にはなっていない。
◇◇◇
こうして、迷宮都市に引っ越す前日。
アーク、シュン、リン、コリー、そしてシリルをいれてバーベキューをしている。
「明日っから、迷宮都市に引っ越すってことは、俺らも含めて久しぶりの人間社会なわけだ。」
「師匠達って、人間社会っていうぞ。 なんでだ?」
「うーん、基本俺ら人間に興味がねーってのがあって、世捨て人みてーな感じだ。 それに、お前抜けてるから気付いてねーと思うけどよ、俺らお前に会ってから老けてねーだろ。」
「そういや、俺だけ成長しるんたぞ。 師匠達は、成長期終わったのかと思ってたぞ。。」
「あはは、確かに成長期は終わってんな。 まぁなんだ、事情は言えないが、俺らはこの世の理から外れていて、この世界の住人でもねーんだ。」
「ほんとなのか! 俺、ビックリしたぞ! でも、なんでここにいるんだ?」
「まぁ、お前のつけてる腕輪だ。 それ作ったの俺でな。 武器は全て魔武器だ。 人間が使うには強力だから、もし適合者が変なやつだったら回収するんだが、代々の適合者は皆なぜかこの世界の嫌われ者だ。 ってことで、代々のやつらが嫌われ者でも生きていけるように強くしてんだ。」
「そうだったのかだぞ。 前の適合者とかその前とか代々って誰だったか俺、親から聞いてないぞ。 うーん、てことは、師匠達って結構年上なのかな。。 まぁいいや、師匠達が強いのもなんかわかる気がするんだぞ」
そういうシリルは、自問自答しながらも、とりあえずシュン達のことを理解しようとしているシリルの表情はころころ変わっていて笑えるのだった。
「まぁなんだ本題なんだがな。。 俺、リン以外の女きれーなんで、人間社会に行くの本当は嫌だが、まぁお前もきをつけろ。 リンとコリーもいくから、そのうち慣れる」
「今はわかんないけど、わかったぞ。 でも、アークさんはいかないのか?」
「俺は人間嫌いでね。 なんで、シリルとは明日でお別れだ。 本来の居住地に帰るんだ。 シュンが、ガキの面倒みれねーからな、お前がある程度大きくなるまで一緒にいただけだ」
「そうのかだぞ。。 アークさん、お世話になったぞ」
そういうシリルの顔は少し残念そうにもなりつつ、アークに頭を下げるのだった。
「ああ、まぁどっかで会えたら会えるかもな。」
そう言ったアークは、シリルの頭を撫でながら、苦笑いしていた。 アークが人間の頭を撫でるのは珍しい。 シリルの事は気に入っているという意味なのだろう。
「あれ? でも師匠、人間社会に明日から行くんだぞ。。。 今さらなんだけど、俺のステータスカードでいけるのか? それに、師匠達はもってないぞ。 迷宮都市にいけるのか? あれ、俺 学園はいれないぞ?」
今さらに、自分の状況を理解したのか、人間社会へまず行けないという事に気付いたシリルは、困った表情になっている。
そんな、シリルを見てシュン達は、大爆笑している。
「今更かよ!!、本当こいつ抜けてんるよな!」
「ほんと、いつも抜けるな。」
「うん、頭は悪くないのにな」
「俺よりひどいんじゃ。。」
俺、アーク、リン、コリーの順番で、シリルを突っ込んでいた。
とりあえず、俺はタバコに火を付けて一服して一息いれた。
「コリー、渡してやれ」
俺がコリーに頼み、シリルにステータスカードと薄緑のギルドカードを渡した。
受け取ったシリルは不思議な顔をしながら、自分のステータスカードをまじまじ見ている。
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[ステータスカード]
名前: シリル・カーティス
性別: 男
人種: 人間
職業: 高位冒険者
体力: B
魔力: C
属性: 風、火
称号: なし
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ギルドカードは仮カードで、ランクGとなっている。
「え! 師匠! 俺のステータスカードの職業が無職じゃないぞ! なんでだ?」
まじまじ見ていたシリルは、驚き目を丸くしている。 俺は、ハリセンでシリルの頭を軽くたたいておく。 口外禁止等の魔術を施すためだ。
「俺の本業は魔術師っていってんだろ。 んなもん、ステータスカード解析して、書き換えた。 ギルドカードは俺の伝手で作ってある。 ついでに俺らもステータスカードとギルドカードも作ってあんだ」
そう言って、俺は、ドヤ顔で、シリルに俺たちのステータスカードと、ギルドカードをみせた。
「おお! 師匠、模擬戦で武器もたなくて強いのに、やっぱ師匠は、魔術師なんだと思うんだぞ」
「うん、こういう時にわれもシュンが魔術師だって気付く」
そう言ってツッコむシリルとリンに俺とアークは苦笑いするしかなかった。 だから、俺って一応魔術師だって言ってんのになぁー。 なんか、コリーはコリーでコクコク頷いているし。。
そんな会話を俺たちはしつつ、夜までバーベキューをしつつ、途中アークがシリルと軽く模擬戦したりなどした。
◇◇◇
ちなみに、ギルドカードはいつものように黒帝の縁者としてギルドに行き、4人分のギルドカードと黒帝と暗殺者カードが使用できるか確認したのちに、ギルドマスターの記憶を消しておいてある。
そして、ステータスカードは、シリルのを参考に俺が複製し俺らの分を作ったのであった。 その際、ステータスカードの事は大体把握しているが、女神が何をしたいのかわからずとりあえず傍観する事にしている。 今回シリルに俺たちの正体を教えていないのは、架空の人物扱いなので特に伝えるのをやめただけだ。。 時が経つのって早いよな。。